豪邸
「何で・・・」
そこにいたのは・・・
「別に」
榎本彼方。
「別にとかぢゃなくて、ちゃんと答えて!!」
「理由ないんだよ」
はぁ・・・何ソレ??
その時、見ちゃいけないものを見てしまった。
見たくないもの。
聞いちゃいけないものを聞いてしまった。
聞きたくなかった。
「小夏、大丈夫か?」
「平気。
雹牙、次どこ行くの?」
入り口から出て行く、綺麗に着飾った小夏と・・・。
爽やかな笑顔を、小夏に向ける伊藤君。
まるで2人は、雑誌から出てきたみたいで、並んで絵になっていた。
周りの人も、男女問わず、2人に釘付け。
「へぇ。
双子か」
小夏・・・伊藤君のこと、雹牙って・・・。
「そっくりだけど、よく見たら・・・違うな」
「・・・・」
何も言わなかった。
言えなかった。
「はぁ」
頭上で、榎本彼方の溜息が聞こえる。
「来い」
腕を引っ張られたけど、動く気になれず、あたしは踏ん張っちゃった。
そんなことしなきゃ良かった。
「?!」
急に体が引き寄せられた。
榎本彼方に。
「ちょっ・・・」
「いいから黙ってろ」
そういうと、あたしは肩を抱かれたまま、どこかに行った。
「着いたぞ」
ようやく離れた腕。
結構筋肉質だったな・・・。
「ここ・・・」
目の前にあったのは、綺麗な豪邸。
「俺ん家」
うそぉ!!
こ、こんな豪邸に住んでるなんて・・・。
「入れば」
でもでも・・・・。
綺麗過ぎて、庶民の自分にはあまりにも不似合い過ぎる。
「手のかかる奴だな」
そう言うと、榎本彼方はあたしを引っ張り込んだ。




