ナンパ
結局、合コンは3時30分きっかりに終わった。
あのトイレの後、榎本彼方とあたしは、いろいろ問われた。
けど、榎本彼方は、
「別に」
の一点張り。
そのお陰で、女2人にちょー睨まれたし。
「真夏ちゃーん」
む。
この声は。
「なに?」
「真夏ちゃん、俺、真夏ちゃん送るよ」
「あ、大丈夫。
家近いし、寄るところあるし」
「いいよ、付き合うから」
え・・・。
ちょっとイヤだな。
「彼方く~ん」
うわーぉ。
すっごい甘ったるい声。
声の主は、嶋奈津美。
ダイナマイトボディの持ち主。
「私ぃ、この辺のことよく知らないのぉ。
それにぃ、視力が悪くて色んなものにぶつかっちゃうのぉ。
おまけにぃ、よく迷子になるからぁ・・・。
送って☆」
Fカップ・・・らしい胸を、榎本彼方の細い腕に押し付けてる。
榎本彼方は、あからさまに嫌そうな顔してるし。
「コンタクトすれば?」
「私ぃ、目に異物入れるとか無理なのぉ。
何かぁ、怖いしぃ・・・」
その時、榎本彼方の顔に、冷ややかな笑みが出来た。
「おっかしいね。
アンタ、カラコンは平気なのにね・・・」
嶋奈津美の顔は、すっごい歪んだ。
周りもシーンってなってるし。
「あとさぁ・・・寄せて上げただけの胸、押し付けないで。
当たり心地悪いし気持ち悪い」
「っ・・・」
わーぉ。
言われちゃったね。
てゆーか、あの胸やっぱ偽物だったんだ。
それより・・・この状況、チャンス!
「それぢゃ皆、バイバイ!!」
「あっ、真夏ちゃ、」
あたしは足には自信がある。
「はぁ、はぁ」
全力疾走して、辿り着いたのは、映画館のすぐそば。
「おねーさん♪」
「あーそぼ♪」
うげっ!!
ナンパ?!
「ねぇねぇ、何でそんなに疲れてんの?」
「今暇でしょ?
俺らとお茶しなーい?」
うざい!!
言いたいけど、疲れて呼吸もままならない状態では、言葉が出てこない。
「ぢゃ、行こっか♪」
い、嫌だ!!
誰か助けて!!
ナンパ男の腕が、あたしの肩に触れる。
「俺の彼女に触んないでくれる?」
え?
俯いててもわかる。
この声・・・。
「ちぇ、彼氏持ちかよ」
遠ざかっていく足音。
「アンタ・・・」
ようやく声が出た。
「何してんの?」
そこに立っていたのは・・・・。




