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知らなかったこと


伊藤君?

何で?

どうしてなの?


「伊藤!どこ行ってたんだ!」


コーチのすっごい怒鳴り声。


「すいません!

 怪我をした女子生徒を運んでました!!」


怪我をした女子生徒。

百発百中、小夏のこと。


「そうか・・・だが、今は試合中だ。

 以後気をつけろ」


「はいっ」


頭を深々と下げる伊藤君。


「おっしゃー!!

 PK戦気張ってくぞーーー!!」


男子って元気。


伊藤君が急にどっか行ったことで、皆の集中が逸れてしまい、あっという間に逆転。

それで、今はPK戦。


「海東さんさ、双子いるんだね」


「えっ」


橘さんが、金森君を見つめながら言った。


「結構美人じゃん」


「あ・・・あはぁ」


やっぱ、皆から見ても小夏は美人なんだ・・・。



それから。

PK戦は、瞬きくらいの速さで終わった。


伊藤君の活躍で。


「伊藤君」


あたしは勇気を振り絞る。


「さっき、どこ行ってたの?」


「あ・・・保健室」


嘘って丸分かりだよ。


あたしさっき、氷の補充のついでに保健室行ったもん。

先生も、誰も来なかったって、言ってたし。


「そっか・・・」


一応聞いとく。


嘘つかれちゃった。


あたしの心は、冷たいもので埋め尽くされてしまった。





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