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ダイヤモンド=ヴァルキリア~青白き球の女神たち  作者: 八島唯
第1章 ダイヤモンドの原石

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ミーティング

 ミーティングルームに集まる選手たち。みなレイヴンズのベンチ入り選手である。大阪AR機構・オルカスの本拠地AR第三ドーム球場のビジターエリアに選手たちは集合していた。本日の18:30プレイボールに臨んで、作戦会議が開かれていたのである。

 ルームの中空には可視化されたいくつもの図。選手たちは試合と同じAR投影による説明でミーティングの内容を理解するのだった。

 立体的なスタメンのメンバー表が表示される。細かいネオセイバーメトリクスの指標とともに、蓮子と凛の名前も記されていた。

 「今日の先発は鷹見蓮子」

 女性の投手コーチがそう告げる。いえーいと、蓮子の合いの手。ほかの選手たちもそれにつられて笑う。

 なんだかんだ言って蓮子はムードメーカーとしての資質は高い。今回、ベンチ入りしたのもチームの雰囲気を変えたいという気持ちもあるのかもしれない。

「スタメンキャッチャーは九条凛。お互い気心が通じているあたりでお願いしたい」

 はい、と凛が答える。久しぶりのチャンス。これで結果が出せなければ、今シーズンの出場はもうないかもしれない。当然、気合が入る。

「凛、ミーティングしよ」

 蓮子が凛の袖をつかみ、ブルペンへと引っ張ろうとする。

 凛はプロテクターを手に、ミーティングルームを後にした。

「......いいんですか?監督代行」

 投手コーチがそれまで奥の椅子に座っていた『監督代行』という中年の女性にそう話しかける、

 その声はあまりに不安に満ちていた。

「大阪オルカス相手に、鷹見のような投手を使って」

 ゆっくりと立ち上がる中年の女性。まったく投手コーチの言葉を意にも解さぬように。

「まあ、うまくいくさ。悪くはない選手だ」

「......私が言うのもおこがましいのですが、リリーフ陣も壊滅的で」

「あるだろう、『ダイヤの原石』が。そのために鷹見を先発にしたんだ。それ以上に九条をスタメンキャッチャーに」

 投手コーチはびくっと反応する。

「『ダイヤの原石』って......まさかあの子を使う気ですか?あくまでもテスト生ということでベンチに登録しているだけでは......」

「おやおや、うちのチームはいつからそんなにぜいたくになったんだい?使いもしないピッチャーをベンチに入れるくらい」

「しかし......」

 投手コーチの肩をポンと叩く監督。

「私が責任を取る。大丈夫、これ以上悪くはならないよ。それならなんでも試してみなきゃね」

 そういわれて投手コーチは押し黙る。

 奥州マテリアルレイヴンズと大阪AR機構オルカスのナイトゲーム。

 スターティングメンバーが球団の応援歌とともに球場の中に響き渡る。

『奥州マテリアル・レイヴンズ、本日の先発は――レンコ・タカーミ!!』

 ファンの歓声。絶不調でかつビジターであるにも関わらず、ファンは全力で応援する。ここからの復活を心から祈りながら――

 ここから『ダイヤモンドヴァルキュリア』の新しい伝説が始まることとなる――

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