↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイヤモンド=ヴァルキリア~青白き球の女神たち  作者: 八島唯
第1章 ダイヤモンドの原石

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/40

違和感

 3回まで、試合は全く動かない。

 氷室は毎回三振。1安打にレイヴンズの攻撃を抑える。

 一方トウ華の方は序盤からフルスロットル。

 160km/hのストレートを連発し、たまにスィーパーを混ぜ打者を翻弄する。

 唯一の例外は、不動の4番いや日本を代表するコンタクト・スラッガーのスカディーナ=フォン=アルンシュタインである。

 早速二回表に打順が回ってきたスカディ。凜は全体的に様子見のサインを送る。

 首を振るトウ華。

 サインを返す間もなく、ど真ん中に剛速球が青い炎をなびかせて突っ込んでくる。

 それをちらりと見送るスカディ。

 しびれた手でボールを返しながら、凜はマウンド上のトウ華を見つめる。

 いつもとは違うトウ華の雰囲気。

 気負っている、とか緊張している、という感じでもない。

 普段はあまり表面に出さない闘志を、静かながらも放っているのを凜は感じ取った。

 その打席は結局四球。しぶしぶながら、凜のサインに従って大きくボールをはずした結果である。

 ベンチに戻る二人。

「大丈夫か?」

 凜がそうトウ華に尋ねる。

「ん?いつもとおんなじダヨ~」

「先発だ。何回まで投げるかわからないけど、ちょっととばしすぎじゃ」

 その言葉にトウ華は口元を緩めながら、微笑み返す。大丈夫!と。凜をぎゅっと抱きしめながら。

 瀬木監督は全く動かない。

 ブルペンすら起動していないのである。

 今日はトウ華と「心中」ということなのだろうか。それだけの根拠がどこにあるのか。

 確かに今日のトウ華のピッチングは上出来だ。いや、今まで最高といっても良い。球速、球威、コースいずれをとっても完璧であった。

 しかし、凜はなぜか不安を覚える。

 それはトウ華自身の様子である。

 首位ファルコンズ、そしてスカディを相手にするということでプレッシャーを感じているわけでもないのだが、得体のしれない感覚。

 勝負事ではこういう虫の知らせが馬鹿にならない。実際、それで後悔することも多かった。

 自分にできること――自信をもってトウ華にサインを送る。トウ華の投げるボールをとにかく受け止める。

 もし――トウ華に少しでも変調が見えるようだったら――

 4回表の投球を受けながら凜は考えをめぐらす。

 その時、どうするのか。

 瀬木監督にこっそり伝えるのか。トウ華の調子がおかしいと。それともトウ華本人に告げるのか。

 首を振る凛。

 今はただ、トウ華のボールを受けるのみである。

 そして、トウ華を援護すること。

 5回表も、ファルコンズは三者凡退に終わる。

 5回裏、レイブンズは下位打線から始まる攻撃であった。ファルコンズ氷室は相変わらず、クオリティスタートを継続中。

 しかし――この回に二回目の凜の打席が回ってこようとしていた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。