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ダイヤモンド=ヴァルキリア~青白き球の女神たち  作者: 八島唯
第1章 ダイヤモンドの原石

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23/25

決戦前の雑音

 奥州マテリアル・レイブンズの本拠地は、仙台の街中にある。

 駅より徒歩で十数分。ここ数年低迷が続いているチームではあるが地元熱は高い。

 ましてや、『中学生の怪物、天城トウ華』が予告先発となれば。

 球場に向かうファンの列は最高潮に盛り上がっていた。

 応援タオルを振り回しながら、行進するファンもいる。『天城トウ華』だけではなく、『九条凛』の名前の入ったタオルも多い。

 レイブンズ・マテリアル・パークは球場の周りに設置されたボールパークである。

 まるで祭りのような喧騒の中で、トウ華や凛のグッズも数多く売られている。コラボした弁当や、応援グッズ。

 ここ数週間で、まさに球団の顔となりつつある二人である。

 人気急上昇中の二人。テレビやインターネットなどでも話題がつきない。

 レイブンズのロッカールームでスマホをじっと見つめる凛。そこには――


『【悲報】レイヴンズ捕手・凛さん、今日も打てない5

1: 雨降れば名無し

 凛 昨日の試合4打数0安打1四球 なお

3: 雨降れば名無し

 でも最後打つからセーフ

5: 雨降れば名無し

 3 それな 帳尻の神

8: 雨降れば名無し

 打率.178で草 

12: 雨降れば名無し

 8 トウ華専用機やぞ 多分赤い

18: 雨降れば名無し

 12 あいつのリードでトウ華覚醒ワロス

22: 雨降れば名無し

 トウ華「凛がいないと投げられない」

 ↑これ強すぎるウゴ』


 スクロールするごとに新しい書き込みが増えていく。

 野球好きのネット民が立てた掲示板らしい。あまり精神衛生上良くないものとはわかっていても、つい見入ってしまう悲しい性である。

「また変なの見てる~」

 後ろからどんと叩かれる凛。振り向くとそこにはにやにやしながら、グローブで口元を隠す蓮子の姿があった。

 蓮子も最近は中継ぎで好投を続けていた。最近のレイヴンズの快進撃に乗る形でいい成績を残し、一軍にその位置を確保ししていた。

「そんなの見てると心が病んじゃうよ。まあ話題にのぼるだけありがたいってもんだけどね」

 そういいながらぽんと、ドリンクを凛にわたす。

「今日はあの、天城の先発だよね」

 静かに凛は頷く。

「まあ、ファルコンズ相手にどこまでやれるか――」

「多分、勝てる」

 へえ、と蓮子はグローブを叩く。

「で、そんな自信があるくせにそんな不安そうなのはなんでなんでしょうかね?正捕手に駆け上がった九条様は」

 じっと、蓮子を見つめる凛。それは軽口に対する怒りの目ではない。

 なにか戸惑っている――なにかこう、はっきりとしない不安――

「まあ、あんまり点数取られないようにリードしてあげなよ。いくら怪物様とはいえ、ルーキーの中学生だ。まして相手はあのファルコンズ。『あの』四番打者もいるしな」

 

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