表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイヤモンド=ヴァルキリア~青白き球の女神たち  作者: 八島唯
第1章 ダイヤモンドの原石

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/25

チャンス

 トウ華は好投を続ける。

 安打を打たれこそすれ、大事なところはきちんと抑えるピッチング。三振を取ることに拘泥せず、状況に応じて打たせて取る判断はまるでベテランのようであった。凛の方ではあまりサインのイニシアティブをとっていない。もっぱらトウ華の決めたサインを了承するのみである。

 なぜなら、それが一番の最適解と感じたからだ。

 小さい体。細い手足。それに不似合いな豊かな銀髪が踊るたび、0点の表示が増えていく。

 レイブンズの投手コーチは目を見張る。確かに逸材とは思っていたものの、ここまで好投するとは夢にも思わなかったからだ。

 1-0の投手戦。オルカスは5回から、すでに継投策に出ている。

 一方、トウ華も3回をすでに投げきっていた。

 そろそろ、交代のピッチャーをブルペンに......と連絡端末を立ち上げようとするが、それを瀬木監督が目で咎める。

「......何回まで投げさせますか」

 投手コーチが小さな声でそう相談する。

「そうだね。打たれるまでかな。いや、本人が嫌になったらでもいい。でも多分、そんなときはこないと思うよ」

 はあ、と投手コーチはわかった風を装う。

 そうこうしているうちに6回裏も2安打されつつも、失点ゼロでトウ華は切り抜ける。

『9番バッター、九条』

 アナウンスの声が響き渡る。レイヴンズの応援歌がチャンステーマに変わる。

 7回表、フォアボールから内野安打でランナー23塁のチャンスを迎えるレイヴンズ。ワンアウトながらチャンスで凛の打席である。

 ここまで3打数ノーヒット。そもそも打撃を期待されていない選手とはいえ、ここは期待が高まる。

 代打は――ない。どうやらトウ華とセットが前提であるため、ここで凛を外す選択はないようだ。無論、そのことを知らないファンからは不満の声も上がる。

「代打使わんか!九条じゃ無理や!代打ださんかい!」

 幸いスタメンを外れている外国人選手ソルテリーノが控えていた。最近不振なためスタメンを外れていたが、ミート力はぴか一である。

 しかし瀬木監督は動かない。

 腕を組んで目を閉じサインも出さない。

『おまかせ』するスタンスである。

 まいったな、と凛はバットを構えながらボールを見極める。

 ボール。これで2ボール1ストライク。

 相手のピッチャーはオルカスのセットアッパー永山である。150kmを超える速球とよく落ちるフォークボールを武器に活躍中の新人である。今季ももう15試合目の登板。安定感も半端ではない。

 そして、凛が苦手なタイプのピッチャーでもあった。

 高めの速球そして低めの変化球。いずれもタイミングが合わない。せめて『運命視』により、そのコースを決定できれば勝負になるのだが、いかんせん永山の『運命視』の能力が常に上回っていたのである。

 2ストライクと追い込まれる凛。

 ファールで粘っては見るもののどうしても、タイミングが合わない。

 完全に凛は八方塞がりになっていた。

 その時――彼女の脳裏に声が響き渡る。それはトウ華の声が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ