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ダイヤモンド=ヴァルキリア~青白き球の女神たち  作者: 八島唯
第1章 ダイヤモンドの原石

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12/25

変える未来

 全くサインがない状態で捕球を迫られる凛。

 一方柳川は『運命視』を外角に外れるボール球に決定した。

 多分未来はそうなるであろう。

 柳川ほどの選手であれば『運命視』のポテンシャルは極めて高い。自分の望む未来を容易に作れるはずだ。ましてや相手が初マウンドの中学生であれば。

 しかし、未来は柳川を裏切った。

 外角にボールが変化する。

 しかし縦の変化はない――スライダー?いやスィーパーか?瞬時に判断した凛はミットを構える。

 柳川の『運命視』を裏切るコース。サインを出さなかったのはそのせいだったのか。

 (小細工を!その程度の変化であれば『運命視』は十分対応可能だ!やや高めにミーティングポイントを設定してやれば......』

 さすがはオルカスの主砲。瞬時に『運命視』を調整し、スィーパーの変化に対応する。『バルドル量子演算プロトコル』へのアクセス。そして、命令パケットの変更。瞬時の間に対応できる能力の持ち主――それが選ばれたヴァルキュリアの証である。

 先ほどは流し打ちであったが、強引に引っ張る方向に変更。結果として変化球を捉えた打球は、外野の壁に直撃するタイムリーという未来が再構築される――はずであった。

 どーんと耳をつんざく音。それはミットに青き球が収まった音である。

 柳川はフルスイングの態勢を崩して、バッターボックスに膝をつく。バットは空を切っていた。

 トウ華は帽子を飛ばしながら、同じようにマウンドに膝をつく。にやり、と笑みを浮かべて。銀色の髪が流れ出る。それはまるで勝利の舞を舞うように、大きく溢れ出す。

 AI審判の判定が響き渡る。

『ストライク!バッターアウト!』

 しんと静まる世界。

 少しの沈黙ののち、歓声が上がる。

『すごい!主砲柳川を三球三振!どうやら『運命視』の競り合いだったようですがルーキーの天城がその競り合いを勝利したようです』

「ちがう」

 凛は小さくつぶやく。

 そうではない。

 明らかに柳川は『運命視』において勝利していた。スライダーからスィーパーに球種を変更したのは意外だったが、それすら柳川は対応していた。

 しかし――柳川のバットは空を切ったのである。

 柳川自身がしきりに首をひねる。

 おかしい、完ぺきにとらえたはずだったのに。

 それをベンチから見つめる美濃川。彼女はあることに気づいていた。柳川がトウ華のボールを完ぺきにとらえていたことに。

 それならなぜ、バットは空を切ったのか?

 その理由はまだ定かではない。

 このあとトウ華は続くバッターをゴロフライの凡打でさばく。

 先ほどとは異なり、ごくごく普通の投球によって。

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