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たとえ今、好かれなくても…  作者: 秋元智也
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第四十話

力強く抱きしめられると、どうしても抗えない。

心地いい温もりに包まれていたいと心では思ってしまうからだ。


「ちょっ……離して………」

「本気で…そう思ってますか?」

「…」


そんな事、聞くのはずるいと思う。

なんで、なんでこんなに涙が止まらないんだろう。

なんで……こんなに離れたくないとしがみついてしまっているの

だろう。


月島自身分からない。

ずっと、胸にぽっかり開いてしまった穴へ全ての感情が流れて

行ってしまっている気がした。


最近は食欲もなかった。

無理矢理食べさせてくる水戸には悪いと思いながらも、自分から

はあまり摂取しようとしていなかった。


そのせいで治りも遅いのだろうと言われたっけ…


「もう一度聞かせて?俺の事嫌い?俺と付き合ってくれない?」

「いや…だ………もう誰とも付き合わない……」

「なんで?」

「だって…もう不安になりながら待つのは嫌だ……きっといつか

 は他に好きな人ができるもん……」

「できない!絶対に先輩以外に振り向く事なんか…ない!」

「そんな事言えるわけないじゃん……この前だって…」

「あれは誤解なんだ。あの女は俺の姉で…これ見てくれよ」


家族で撮った写真を出した。

そこにはあの時見た綺麗な女性が映っていた。

そこ横に母親と父親が写っている。

よくみると、似ている気もする。


「分かっただろ?あいつは姉で……」

「でも、楠木くんは男が好きなわけじゃないじゃん」

「それは…でも、俺が好きなのは先輩で、男とか女とか関係ない

 んだ」


涙を救うように頬にキスすると何度も頬を合わせてきた。

避けても避けても追ってくるようにされるとくすぐったい。


「ちょっと、やめてって……」

「やっぱり先輩は笑ってて欲しいですね。可愛いよ」

「そんな事言うの…楠木くんだけだよ」

「名前で…呼んで?」

「祐介くん……」

「はい…蛍先輩」


嬉しそうにしながら、何度も触れられると恥ずかしくなってくる。

下からは見えないが、やっぱり学校でこんな事は恥ずかしい。


「キスして?」

「ここでは…ちょっと……」

「なら、俺の恋人になってよ」

「……ごめん」

「どうして?先輩は俺の事好きでいてくれるんでしょ?なら…いい

 よね?」


目を伏せると首を振ってきたのだった。


「付き合うつもりはないよ…」

「どうして?」


てっきり了承したと思ったのだが、そうではなかった。

頑なにうん、とは言わなかった。


「どうしたら、先輩と付き合えますか?」

「卒業するまで…それまで待って……それでもまだお互い好きなら

 付き合おう?それじゃいや?嫌ならこの話は無しで…」

「嫌じゃない!俺、絶対に卒業までに先輩を惚れさせますから!」


楠木は目をキラキラさせながら俄然やる気を出していたのだった。


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