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たとえ今、好かれなくても…  作者: 秋元智也
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第三十三話

病室に戻ると水戸は差し入れのプリンを見せた。


「食べるか?好きだたったろ?」

「うん…ありがと」

「待ってろ、開けてやるからな…ほら、あーんして…」


パクッと水戸の手づから食べると本当に美味しそうに食べた。

次々に口に運ぶとまるで雛鳥のように食べて来た。


「ぷっ……」

「なっ…何笑ってんだよ〜」

「だって……蛍って食いもんだけはいい食べっぷりするよな〜」

「なんだよ、もう〜。今日は学校いいのかよ…」

「うん、ちょっと停学くらっててさ…」

「停学!?いったい何をやったんだよっ!」


心配そうに言ってくる月島に話を誤魔化す。

一年を殴ったなど、月島には言えなかった。


あいつの事を思い出させたくなかった。

あの時の感情を思い出させたくなかったのだ。


「もうっ、自分で食べるからぁ〜貸してよ〜」

「ダメだ、蛍には俺が食べさせてやるって、ほら、口開けて〜」

「うぅ……」


唸っていても、結局は誘惑に負けて口を開いたのだった。

食べ物に弱いのは相変わらずだった。


「蛍…あのさ〜今も恋愛対象って男なの?」

「!?」

「もし…もしだけど……」

「ごめん…、もう、いいかなって……」

「蛍……」

「ごめんね…僕は変な事言ったせいだよね?たかちゃんが僕のこと

 避けないって思ってたからさ……いつもと変わらない態度のまま

 でいてくれるから甘えてたんだよね〜。大丈夫だよ〜、別に僕と

 付き合って欲しいとか思わないから〜、それにさぁ分からなくな

 って来ちゃったんだよね…」


黙って聞く事にすると、苦笑いを浮かべながら大丈夫だからと告げ

てきたのだった。


「大丈夫じゃねーよ……」

「たかちゃん…?」

「俺は恋愛対象がどうのとか関係ない。蛍が好きだよ。それは昔か

 らずっと変わらないから…、お前が悲しむのだけは絶えられない

 それだけは、絶対に変わらないから…」

「えっ……ちょっ……たかちゃ………」


引き止める前に、出て行ってしまった。

それが何を意味するのかなど考えられなかった。

なぜなら、大事な友人で家族のような存在で………恋愛対象としては

全く見ていなかったのだから…。


その日以来、気まずい空気が流れていた。


次の日も顔を合わせると話す言葉に迷った。


「お…おはよ……気分はどうだ?」

「う…うん………、今日からリハビリ方に移るって……」

「そっか、ついていこうか?」

「いや、大丈夫……看護師さんが付き添ってくれるって……」

「そっか…、なら、俺はこれで帰るな……明日また来るから」

「うん…分かった…」


実に気まずい。

なんでこんなに気まずいのだろう。

いっそ、はっきりとしてしまった方がいいのだろうか?

しかし、それも余計に気まずい気がする。


親同士が仲がいいので、逆に気まずくなると、色々と面倒なのだった。

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