第二十三話
図書館まで来ると本当に入るの?という顔で見て来た。
にっこり笑った水戸に続いて入ると奥の学習部屋へと向かう。
水戸は部活があるのでちゃんと勉強ができるのは帰ったあとか、
こう言った空間だけだった。
効率よく勉強をしないといくら時間があっても足りないのだ。
「そういえばこの前物理やばかっただろ?」
「えっ……なんで知ってんだよ!」
「おばさんから聞いたんだよ」
「母さんが?なんでたかちゃんに教えてんだよ!」
「ほら、分からない所言ってみろ?」
「………ぶ…だから…」
「なに?聞こえなかったんだけど?」
月島は顔を赤くさせながら、はっきり、ゆっくりと言葉を出し
たのだった。
「だから〜、全部だって言ったの!」
「あの悲惨な点数って……」
「悲惨とか言うな!」
それでも頑張ってみようと努力はしたのだ。
だが、全く頭に入ってこなかったのだった。
数学も同じで散々だった。あの後補習も受けた。
その間、廊下で楠木を待たせていたのを思い出すとなんだか
可哀想に思えて来た。
「今日はみっちりやるぞ!」
「えーーー!」
「ほら、ここ解いてみろ」
「ふぇっぇ〜〜〜ん!」
その日は夕方までみっちり勉強タイムになってしまったのだった。
気を紛らわせる為に遊びに行ったはずが、まさかのスパルタ授業。
遊ぶどころではなかった。
逆に水戸にとっては誰もいない二人っきりになったらと思うと、
自分の心臓がドキドキしていて、抑えるのに苦労していた。
なので頭を冷やす為に勉強という手段を取ったのだった。
勉強中ならじっと見つめててもおかしくないし、頭に触れても、耳
に触れても何も言ってこないし、意識されない。
「もうっ、ちょっとくすぐったいんだけど?」
「ほら、まだ解けないのか?」
「もう、やめてってば〜、集中できないじゃん〜」
「俺のせいか?違うだろ?ほら〜、しっかりやれよ〜」
弄ぶように身体に自然と触れられた。
やっぱり……俺は………。
「ちょっとトイレ行ってくるから、しっかり解いておけよ」
「ふぁ〜い〜〜〜」
やる気のない返事を聞きながら席を立った。
周りが暗くなると図書館も閉館時間になった。
みっちり勉強したせいか月島は頭がいっぱいだったらしい。
「ほら、帰りに唐揚げでも買ってこうぜ」
「行く〜〜〜唐揚げ〜〜〜もう、お腹すいたぁ〜」
買い食いしながらのんびりと駅に向かった。
駅を挟んで反対側が図書館、側にショッピングモールがあった。
駅を通り過ぎると家の方へと向かう。
そんな時、月島がピタリと足を止めた。
「どうした………?」
何かを見つけたのか、視線が一ヶ所を眺めていた。
そこにいたのは王子こと、楠木祐介だった。
隣にいる美人な女性は誰だろう。
大人の女性という感じだった。
腕を組んで、まるで恋人のような感じでベタベタとしている。
「あっ…………ッ……」
「蛍っ……!」
走り出す月島を追いかけるが、どうやって慰めるべきか悩んだ。
これは完全にアウトな気がしたからだった。




