楠木side
楠木side
朝から騒がしい女子の声を聞くと憂鬱になってくる。
先輩が来ているかを確かめようと2年の教室へと向かったのだった。
ちらっと見ると見知った顔は近づいて来ていた。
「蛍先輩いますか?」
「今日は体調悪くて休みだよ。それに君に聞きたい事があったんだ、
少しいいかな?」
水戸に言われるがまま楠木は後をついて行った。
外に通じる踊り場まで来ると静かで誰も居なかった。
校庭では遊んでいる人の姿が見てとれた。
「聞きたい事があったんだよ。楠木くんって言ったよな、昨日蛍と何
をしたんだ?いや、どこまでやったと聞くべきかな?」
「嫌ですね〜、どこまでってホテルまで行って何もしないとでも?」
「…無理矢理じゃないよね?」
「ふぅ〜、冗談ですよ。何もしてないですよ。いきなり倒れた相手に
手を出せる訳ないでしょ?」
「………」
「先輩って眠れてないんですか?」
「あぁ、そうらしいな。精神的なことらしい。その原因がお前なんじ
ゃないかと思ってるんだよ。一条先輩の件。お前が仕組んだものだ
ろう?」
急に核心について来る質問だった。
「違うといったら…信じますか?」
「信じて貰えると思ってる?俺は多分だけど、間違ってるとは思って
ないよ。それに蛍の事最初から知ってたよね?」
「そうですね…ここに入る前から知ってます。入学してから探してい
たくらいなので」
「あいつをどうするつもりであんな事をしたのか聞きたいところだけ
ど…もし傷つけるつもりならさっさと別れて欲しいんだけど…」
真剣なのは見ていてわかる。
友人としてというより、もっと親密な気がする。
「嫌だって言ったら?」
「俺はあいつが幸せならそれでいいって思ってた。でも、不幸にした
り、何かに利用するために付き合ってるのなら無理矢理にでも引き
離すつもりだよ。覚えておくといい。」
「…」
水戸が帰ろうとするのを、楠木は引き止めるか迷った。
自分は本気なのだと…
それを言っていいのだろうか。
「水戸先輩は……蛍先輩を好きなんですか?」
「それはあいつは決める事だろ?俺はいつでもあいつの保護者だからな」
保護者という意味を履き違えてなければ、それはすなわち恋愛対象では
ないという事だった。
その日の帰りに月島んp家の前に来ると悩んでいた。
インターホンを鳴らすべきか、それとも…。
迷っているうちに誰かが来て、つい隠れてしまった。
それは水戸先輩だった。
同じクラスなのだから、おかしくはない。
中に入ってから、なかなか出てこない。
何をしているのだろう。
二人っきりだと思うと余計に気が気でなかった。
昼の牽制が余計に悔やまれる。
何か言っているのだろうか?
全部楠木の計画だと話してしまったのだろうか?
もしそうなら…軽蔑されるのだろうか?
月島から軽蔑されたら、流石に辛い。
その日は出て来るまで待つことも出来ず帰って来てしまったのだった。




