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たとえ今、好かれなくても…  作者: 秋元智也
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第十二話


怖くて、そして情けなくて…自分一人じゃ何も出来なかた事に悔し

くて涙が止まらなかった。

そんな自分に優しくしてくれる楠木に後輩に助けられる先輩なんて

恥ずかしくて抱きしめられる手を振り解くと拒絶してしまった。


「……ぃ……いやっ………触らないで……」

「せん…ぱい……?」


楠木の胸を両手で押し返すと離れようとした。

こんな情けない姿見て欲しくない!

幻滅されるのもいや…でも、一番嫌なのは…初めてのキスが一条だ

った事だった。


「大丈夫だから…ね?落ち着いて俺を見て…」

「離して………触らないで……」


泣き続けるのを自分では止める事ができない。好きなのに…裏切っ

たみたいで胸が痛い。

後から駆けつけた水戸がその場を見てどう思ったか理解できる。


ビリビリの服の月島を必死に宥めようとする楠木。

それを泣きながら嫌がる月島。


「蛍っ!」

「違っ…これは……」

「いい、おいで…もう大丈夫だから」


つい楠木から離れると水戸に抱きついてしまった。

後から後悔した。

なぜなら、離れた瞬間の彼の傷ついた顔が印象的だったからだ。

場所を変えると授業が始まっても水戸が付いててくれた。


「楠木、悪かったな?ここはもういいから授業に戻りなさい」

「でもっ……」

「後で話詩を聞かせてくれ。今はそっとしておいてくれるか?」

「…はい」


ちらちらとこちらを見ながら帰って行く姿を見送ると水戸は何も

聞いて来なかった。

ただそばにいるだけで、抱きしめられた温もりが温かくて、ホッ

とした。


「たかちゃん… ごめん……授業さびらせちゃった…」

「別にいいよ。大丈夫か?」

「うん……ごめんね、取り乱して…」

「まぁ〜取り乱すのはいつもの事だしなっ!」

「……」

「なんとか言えよ。」


ぐしゃぐしゃと頭を撫でるといつもの口調で話しかける。

また気持ちの整理がついていない月島にはこの水戸の態度が幾分

楽にさせてくれた。


問い詰めるべもなく、言うまでずっと待っててくれる。

きっと気になってるだろうけど、ただ待つだけの姿勢。


いつも水戸には感謝しかない。

何があっても、ただ聞いてくれるし。

どんな事にも動じない。

否定しないし、態度を変えないからだった。


「僕が男が恋愛対象だって言った時…たかちゃんは何も言わなか

 ったよね?なんで?嫌いにならなかったの?」

「お前なぁ〜、どれだけ長い時間一緒にいると思ってんだよ?ま

 ったく蛍の事は幼稚園の時から一緒なんだぞ?今更態度を変え

 られるかよ」

「でもさ〜………気持ち悪くなかった?」

「蛍がか?な訳ないだろ?蛍は蛍だろ?男が好きでも女が好きで

 も何も変わらないよ。」

「……」

「なんだよ。惚れ直したか?」

「うん…そうだね。たかちゃんを好きになってたら何か違ってた

 のかな?」

「まぁ、今は落ち着くまで一緒にいてやるから…」

「うん……」


そんな優しさが今の月島には嬉しかった。

もちろん危ないところに助けに来てくれた楠木にも感謝はしてい

る。

でも、来

こんな情けない姿を見られたくはなかったのだった。


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