楠木side
楠木side
先輩を見つけると駆け足になった。
隣の誰かと楽しそうに話しているのは気に食わないが、それでもただの
幼馴染みだと言うのだから信じなければならない。
「ばーか!それ不健全だろ?」
「ち…違うもん!」
揶揄い気味に話ているのを見るとやっぱり気持ち的にざわざわーする。
「いい加減揶揄うのやめてもらえますか?」
「お、やっと来たな?王子様〜」
「王子じゃないです。行きましょ、先輩」
「うん…」
自分のが有利なんだと言いたげに見ると、さっと月島を差し出された。
「ほら、行ってこい。ちゃんと時計持ってるか?」
「持ってるもん!どこ行くと思ってるの?」
「ははっ、王子ちゃんとそいつ見といてやれよ!」
「言われなくてもわかってます!」
一言多いが、一応は自分たちの仲を知っているのは確実だった。
それに反対はしてない?のだろうか?
「さっきに人には俺達のことって…」
「話してるよ?嫌だった?」
「そうではないんですが…同性のこういう事って…偏見というか…」
「大丈夫だよ、貴之は偏見とかないから。僕がゲイだって言った時も
今まで通りだったし、ちゃんと応援してくれてるんだよ」
「そうなんですね」
ちょっと味方という事に安心はしたが、嫉妬めいたものも感じる。
いやいや、そんな事は考えちゃいけないな…これでは心が小さいと思
われてしまうじゃないか!
「今日はここで食べましょ!先輩」
「うん、でも…ここって誰も使ってないの?」
「そうですね〜、前に先輩が泣いてた場所も静かでよかったんですけど、
最近騒がしい連中が出入りしてたんで」
「ごめん、あの時も奥にいたの?」
「えぇ、まぁ…そんなところです。でも、俺は運がよかったです」
「…?」
「だって、いの一番で先輩の涙を止めれたんですから。」
少しキザかなとも思ったが、はっきり言った方が通じる気がした。
「あ、飲みもの買い忘れちゃった。ちょっと待っててくださいね」
「いや、いいよ。僕が買ってくるよ。すぐ近くに自販機あるの知っ
てるし」
「なら、俺も行きます」
「大丈夫だって、すぐそこだし…」
月島はいつも買いに行かされていたので、学校にある自販機は全部
知っていたのだった。
「なら、帰って来たら…先輩のして欲しい事聞かせてください」
「なっ…//////」
わざと一人になるように仕向けたのだった。
最近ずっとつけられている事も知っていたし、殺気立った視線を先輩
の横にいると感じた。
そろそろ動く頃合いだろうと踏んでわざと泳がせる事にしたのだった。
後からこっそりつけるように眺めていると、案の定彼らが動いたのだっ
た。
一人になったのをいい事に、いつもの教室へと連れて行く。
「さて、どうするかな〜」
楠木はどこに行ったかを見送った上でとある先輩に電話をかけたのだった。




