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たとえ今、好かれなくても…  作者: 秋元智也
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楠木side

楠木side


最近、少しずつだけど先輩が心を開いてきてくれている気がしていた。


毎回家にまでいくようになった。

まだ中には入れてもらえないけどそう近くないうちには中に入れて貰

えるようになろう心に誓った。


「気をつけてくださね。ではまた明日」

「気をつけてって、もう目の前家だし?」

「それでもですよ、大事な恋人を危ない目に遭わせるわけにはいかな

 いですから。ちゃんと家に入るまで見送る事にしたんです」

「大袈裟だよ〜」

「それでもです。俺は好きな子には尽くすタイプなんで。」

「そっかぁ、楠木くんの恋人になる子はあ幸せだね」

「えぇ、もちろんです!では」

「うん、ありがとう」


別れ際に手を振ると家に入って行った。


「やっぱり可愛いな〜。先輩自分の事過小評価するからな〜」


もっと自信を持って欲しい。

自分が愛されてるという自信を。

男だとか女だとかそんな性別こだわってほしくない。

楠木はいつも顔で勝手な想像をされてしまっていた。


『いつもモテてるでしょ?だったら私とも付き合ってよ』


誰とでも付き合っているような言いがかりにはうんざりしていた。

まだ誰とも付き合ったことはない!

そんな事を言っても誰も信じないだろう。

だって………顔いいし。


そんな事は聞き飽きたのだった。

顔じゃない別のところを見て欲しい。

そしたら本当に好きになる人ができるのに…。


無償の優しさなんて信じない。

だって、下心があるから人に優しくできるのだろう。

そう思っていた楠木に月島は違って見えたのだ。


名乗りもしなかったし、顔を見て普通に優しく接してくれた。

初めて会う同性からは大体が嫉妬の眼差しを受ける事が多かった

新鮮だった。


この学校を受験してよかったと思った。

入学してから、何度か彼を探した。

やっとみつけた時には、知らない2個上の先輩の事を見つめていた。


自分じゃない、別の人を。

いつも見つめるうちに、思いが膨れていった。


それと同時に、振られるのを楽しみにするようにもなった。

今の状態が長く続くとは思えなかったからだ。

どう見ても相手はノーマルで、同性の月島先輩では勝ち目はない。

だったら傷ついた時に声を掛ければ…


そう、残酷かもしれないが普通に声をかけるよりは落とせる成功率が

上がるのではと思ったのだった。


それからというもの、空き教室に出入りしているのを知ると先に隠れ

ているようになった。


ずいぶん雑に扱われているのを知ると余計に苛立ちが募った。


そして、やっと別れを切り出された時はチャンスだと思った。

泣きながら蹲る彼に近づくとハンカチを差し出す。


「大丈夫ですか。」


これでいい。

だって、これから俺に惚れさせればいいのだから。




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