第十話
誰もいなそうな場所へ来ると、腰を下ろした。
「今日はここで食べましょ!先輩」
「うん、でも…ここって誰も使ってないの?」
「そうですね〜、前に先輩が泣いてた場所も静かでよかったん
ですけど、最近騒がしい連中が出入りしてたんで」
「ごめん、あの時も奥にいたの?」
「えぇ、まぁ…そんなところです。でも、俺は運がよかったです」
「…?」
「だって、いの一番で先輩の涙を止めれたんですから。」
こういうセリフを言われるとドキッとする。
普通面と向かって言えないような言葉でも、楠木は言ってくるのだ。
「あ、飲みもの買い忘れちゃった。ちょっと待っててくださいね」
「いや、いいよ。僕が買ってくるよ、大丈夫だよ〜すぐ近くに自販機
あるの知ってるし」
「なら、俺も行きます」
「大丈夫だって、すぐそこだし…」
月島はいつも買いに行かされていたので、学校にある自販機は全部
知っていたのだった。
「なら、帰って来たら…先輩のして欲しい事聞かせてください」
「なっ…//////」
真っ赤に照れると出て行ってしまった。
本当に素直で可愛いと心の中で思ってしまった。
自販機の前に来ると小銭を出してボタンを押した。
前まではこんな気持ちになる事はなかった。
両思いというのも悪くないかもしれないと思い初めていたのだった。
「やっと一人になったな?」
「えっ……い…一条………せん…ぱい」
「なんだよ?俺の事、もう忘れちまったのか?」
「な…なんの用ですか?」
帰ろうとするのを遮るように前を塞いできた。
「ちょーっとお話しをしようじゃねーか?なぁ〜?」
「やめてくださいっ!僕は……」
「俺の代わりはあのイケメンの後輩くんか?」
「代わりって……別にそんなんじゃ……」
手首を強く握ると無理矢理に引っ張っていく。
そこはいつもの空き教室だった。
ドアを開けると中に蹴り飛ばされ転がった。
「いっ……たぁ……」
「おいおい、パシリくん乱暴にしていいのか?」
「別に俺のもんに何してもいいだろ?」
そこには数人の3年生がたむろっていたのだった。
「お前抱きして欲しいとか言ってたっけ?キスして欲しいとか?」
「おいおい、一条やんのか?」
「おもしれーじゃん!やったれよ!」
面白がるように周りがやいやい騒ぎ出す。
月島は怯えたような視線を送ると余計に怖くなって俯いてしまう。
「おい、怖がってねーか?」
「そうだよな〜、好かれるんじゃねーの?勘違いじゃね?」
「おいおい、怯えんじゃねーよ?お前がして欲しいっていってた
じゃん?今からやってやるって言ってんだろ?」
顎を掴むと逃げられてしまった。
ムキになると頬を思いっきり引っ叩いた。
バシィーンと大きな音がして、月島は床に倒れ込んでいた。
おとなしくなったところでがっしりと顎を掴み壁に押し当てた。
唇に触れると柔らかく、女子となんら変わらなかった。
舌を入れると血の味がじわっとして来たのだった。
いきなり引っ掻いて来た月島に唇を離すと腹に膝蹴りを入れた。
ずるずると床に座り込むと腹を抱えて震えていた。
「なんだよ…それ……」
「おーい、一条くん、もしかして嫌われてる?」
「だよな〜、めっちゃ嫌がってたじゃん?」
「おもしれーじゃん、嫌がってるのを無理矢理っていいじゃん。
いっそ最後までヤってやれば?また惚れ直すんじゃね?」
「最後までって?」
一条の質問に仲間が答えたのだった。
「セックスに決まってんじゃん」
「こいつ男だぞ?どこに入れるんだよ?」
「あ〜、知らねーのか?男には気持ちいい穴があるんだよ。これ
見てみて〜」
ゲイ用に動画を見せると、あきらかに尻の穴に性器をぶち込んで
いる姿が映っていた。
そこでは気持ち良さそうに喘ぐ男性が映し出されていたのだった。
「ほら、こいつ顔は悪くねーじゃん?小柄だし、細いし、バック
からなら抵抗なくできるんじゃね?」
「確かに…それもそうか……」
一条も乗り気になると早速とばかりに月島を抑えにかかったのだ
った。




