第九話
楠木は毎日のように家まで送ってくれるようになった。
部活を入っていないせいか、暇だからと言っていたが、それにしても
家に入るまでずっと見届けてくるのだ。
「なんかおかしくな〜い?」
「何がだ?」
水戸に早速相談している。
「だーかーらー、楠木くんだよ。最近ずっと家までだよ?中入るまで
帰らないのっ!」
「ふ〜ん。安全でいいじゃん」
「えぇ〜!おかしいでしょ?前は近くの公園だったり、駅で分かれた
りしてたんだよ?それにいくら言っても必ず来るし」
それもそうだろう。
水戸が前日にあった事を楠木に話しておいたのだから。
余計に警戒するに決まっている。
流石に連日で、警戒しているだろう。
それと、楠木がまさか家まで送っているとは予想外だった。
「まぁ〜いいじゃん。家に入れてやれば?」
「もうっ!人ごとだと思って〜」
「嫌なのか?」
「嫌じゃないけど……だって色々準備してないし………」
この準備とはあきらかに明白だった。
「健全なお付き合いだったんじゃねーのか?」
「…//////」
「ばーか!それ不健全だろ?」
「ち…違うもん!」
揶揄いがいがあるに越したことはなかった。
「いい加減揶揄うのやめてもらえますか?」
「お、やっと来たな?王子様〜」
「王子じゃないです。行きましょ、先輩」
「うん…」
最近では昼もこの後輩と一緒に食べるようになったらしい。
いい事ではあるのだが、水戸としては少し寂しかった。
「おーい、水戸一緒に食わねーの?」
「あぁ、すぐに行く」
まぁクラスメイトでもいっか…
幼馴染としてはあいつが幸せでいる事が一番なんだよな…ほんとに。
いつしか親目線で物事をみるようになった自分に少し悲しくなった。
「はぁ〜俺って老けたかな…」
「何言ってんだよ。まだ10代じゃん」
「そうなんだけどな〜…はぁ〜〜」
「ため息付くなって!飯が不味くなるだろ?」
水戸だってまだまだ若い高校生なのだ。
幼馴染の相談役で、心優しいお兄さん的存在だったはずなのだ。
なのに、最近ではどう考えても母親目線な気がしてショックを受けた
のだった。
「もっとしっかりしなきゃ…」
「お前、苦労してんだな……」
「そうなんだよ…人の気も知らないで……」
お気楽にイチャイチャしているであろう友人を思い出しながら弁当を
口に運んで行ったのだった。




