一条side
一条side
「諦め良すぎだろ?」
イラつきながら外を眺めた。
一年の王子様は今日も女子に囲まれてさぞかしいい気分だろう。
「あいつらはただの信者で、ヤれなきゃ意味ねーだろ?」
お高く止まった女子達は、ガードが硬い。
いくら好きでも身持ちが固ければ何も楽しめない。
つまらない女なのだ。
響には尻軽な女が一番楽だった。
廊下を曲がると見慣れた後ろ姿を見つけた。
いつも来なくなった月島だった。
隣にいるのは友人だろう。
何を話しているのかわからないが、楽しそうに話していた。
「ふ〜ん、新しい男か?」
いきなり後ろから声をかけるとビクッと驚きながら振り返った。
友人が後ろに隠すように月島を庇う。
やっぱり確定だ。
俺を好きって言っておきながら新しい男を漁ってたんだ。
やっぱり、あれは嘘だったんだ。
「俺が好きなんだろ?なんで昼来なかったんだ?」
「……」
「いく必要ないだろ?蛍の事振っといて今更何を言ってるんです
か?先輩」
「え〜別に振ってないよ〜。今暇だから〜相手してやるって言っ
てんの〜。ほら、こいよ」
「蛍、聞かなくていい」
「…」
友人の後ろに隠れたまま黙ってしまっている。
「おい、だんまりか?」
「先輩、下級生を脅すのやめてもらえますか?」
「お前もうざいんだけど?黙れよ」
「蛍、行こう!」
月島と一瞬目があったが、いつものように笑顔ではなかった。
まるで怯えるような視線に、避けにイラつきを覚えた。
「なんだよ。俺が遊んでやるって言ってるのによっ!」
近くのドアを思いっきり蹴ると大きな音が廊下に響き渡ったの
だった。
イライラは無くならない。
自分の教室に帰っても、誰といてもつまらなく感じた。
「あいつのせいか…俺とした事が、全く調子狂うぜ」
いつもどうでもいい事でつるんでいる仲間に声をかけた。
「おい、ちょっと面白い遊びしねーか?」
「ん?一条なんだよ…」
「ちょっと付き合えよ!生意気な後輩〆るんだよ」
「後輩っていや〜お前の子分どうしたんだ?あの可愛い顔の
後輩いただろ?」
「そいつを〆るんだよ」
「なんだよ、振られたのか?だっせー」
「違う!俺が振ってやったんだよ!そしたら携帯も取らねーしよ」
「いや、それ普通だろ?」
響には理解できなかったのだ。
だから、報復するんだと言っていた。
それから帰りに待ち伏せしようとして、思いがけない場面をみる
事になったのだった。
月島の横にいたのはさっきの友人ではなく、後輩の王子様こと、
楠木祐介だったのだ。
人が少なくなるといきなり手をつなぐと、月島は嬉しそうに笑った
のだ。
あれは紛れもなく、自分にむけていたはずの笑顔だった。
「どうなってんだこりゃ…」
家まで行くと、玄関を入りまで見送っていた。
女にでもここまではしない。
それが、女に困らないほどのイケメンの王子様がどうしてわざわざ
男の月島なんかに?
響はその夜、さっきの出来事を考えながら眠ったのだった。




