第45話 『ぎゅっ! 枕ぎゅっ!』
「ではドハドルさん、お先失礼します!」
「おうユレス。その前に少し時間貰っていいか。話したい事あっからよ」
「? はい。何でしょう・・・・・・」
朝に見た夢を振り切り、出勤して仕事に打ち込み——夕刻。
仕事から上がろうとしたユレスをドハドルは精算場から呼び止めた。
まさか、何かやらかしてしまったのか、とユレスは不安になりつつ彼の家に入れる扉の前から少し移動してドハドルの隣に並び立つ。
ありえる話だ。振り切ったとはいいつつも脳裏には取れない汚れのように夢は想起されているし、今日の夜にはあの異父姉妹との話し合いがあるのだ。
仕事に集中出来た、と言ったらそれは完璧な嘘だ。
心持ち姿勢を伸ばして、彼が口を開くのを待つユレス。
そして、ドハドルは真剣な顔つきでこう言った。
「急な話なんだがな。明日から七日・・・・・・この店を改装する事にしたんだよ」
「改装? なぜですか?」
「お前も見たろ? あのうはうは美少女楽園をよ。ふざけた名前だが、店内は本当に見事だった。まぁさすがにあんな綺麗どころを揃えるのは無理だがよ。内装に武器置き場、それぐらいなら俺も見習えるからよ。それで昨日決めて、改装出来る知り合いに片っ端から声掛けて、明日から実行する事になったんだ」
「なるほど・・・・・・確かに立派でしたね。名前以外は」
「ああ。それにうちも大分ガタ来てたからな。この際だから改装しちまうかってよ。それで改装にかかる日数が七日ってワケよ。だからユレス。悪いが明日からの七日間は休んでくれ。改装完了したら俺が直接お前が暮らしてる宿屋に行って伝えるぜ」
「分かりました。それでは七日間のお休みをいただきます。では改めて、お疲れ様でした」
「おう! 楽しみに待ってなっ。ぜってーあの武器屋には負けねぇぜ!!」
右拳を突き上げる姿は、やる気が漲って仕方ないと伝えているようだ。あのうはうは美少女楽園はドハドルにとっていい刺激になったと見える。
頭を下げつつ、彼の家に入り裏口から外へと出る。ユルフ、リフルと話し合うのは夜からだ。
「・・・・・・・・・・」
表通りに出て周囲を観察する。特に変なモノはなく、あの全身を舐められるような悪寒も感じない。
ここで悪寒を感じた時は、近くに勇者がいたという事か。
なぜリフルから自分を助けたのか、いまだにその解は出ないままだ。ただ倒すだけが目的ではないのだろうか。
打倒ユレス勇者は何を考えている・・・・・・?
「(目的がまったく見えない・・・・・・私に出来る事は、警戒を緩めない事だけだな)」
ひとまずは部屋に帰ってハルマレアと合流だ、とユレスは帰路を辿っていく。
今向き合うべきは、彼女達だ。
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——夕刻も過ぎ、日が沈んで夜。
先に夕食を済ませ、ハルマレアと共に彼女達が働いている武器屋、うはうは美少女楽園へと向かう。
そうして、そう時間もかからずに、
「来ましたねユレスちゃん。・・・・・・あとハルマレアも」
「こんばんはユレスさん、ハルマレアさん」
うはうは美少女楽園の入り口の近くに立っているリフル、ユルフの元へと着く。彼女達からうはうは美少女楽園の店内へと視線を移すと明かりは付いているままだ。どうやらまだ営業はしているらしい。
ちなみに彼女達の服装はこの武器屋の正装ではなく、昨日も見た袖口が大きい独特な服装だ。
「お疲れ。君達、もうご飯は食べたかい? 私達は済ませてしまったんだが」
「いえ、わう達はまだ食べてません。お話終わったら食べようと。ね、リフルちゃん」
「はいユルフちゃん。しょーじきお腹ぺこぺこですが、これから大事な話を交わし合うので我慢します。なんならどれぐらい我慢強いか見せてあげましょうか。例えばここから目的地まで逆立ちで進むとかですなー。よっと」
「んー、いくら夜とはいえ、外で逆立ちで歩こうとするなんて常人の発想ではありませんっ。素晴らしいです! そこに痺れて憧れますぅ!! そーれお腹さすさすからの太ももすりすり~♡」
「わうわうわうわうわうわうわうわうわう」
「(さすがにそれは変態の域だと思うのは、私だけか?)」
逆立ち状態のリフルに遠慮なく触るユルフに呆れるユレスだが、内心は以前のように戯れ合う彼女達に安堵だ。
そうして、
「では行きましょうか。場所は誰にも入り込めないような場所が望ましいですなー」
「なら私達が借りている宿屋の部屋へ行こうか。あと逆立ちのまま話すのは止めて欲しい。逆立ちしてる姿が気になり過ぎて言葉が上手く頭に入ってこないから」
「仕方ありませんなー」
「ユレスよ。リフルの奴なぜか拗ねてるぞ。逆立ちしていたかったのではないか?」
「そんな衝動的に逆立ちされてもこちらが困るだけだ」
「ユルフは喜んでおるぞ」
「彼女は妹のやる事ならなんでも好意的に受け入れる傑物なんだ」
ただし、昨日の人質などは別だが、とユレスは心中で呟きつつ彼女達に部屋を案内するため、
「こっちだ。ついてきてくれ」
「あ、そういえば今日の夕刻頃にとある部分でユルフちゃんを勝ったお客様が来ましてなー。いやー、凄かったですなー」
「さすがのわうも負けましたねぇ」
「そ、そうか」
逆立ちを止めたリフルとユルフにそれだけを返してからユレスは歩き出す。とある部分というのは大体想像がつくが、さすがに口にするのは気恥ずかしいためここで閉話休題にさせてもらう。さっさと部屋に行く。後ろで変わらず雑談をしている異父姉妹の会話が耳に入ってくるが、気にせずに行くのだ。
——さすがに自分の部屋ならば、件の勇者も干渉出来ないだろう。
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「この宿屋が、私達の拠点だ」
そう遠くない距離を歩き、目的地に着いたユレスはそう彼女達に紹介してから入り口の取っ手を右手で掴み、開けて入っていく。そのユレスに追随するようにハルマレア、リフル、ユルフも入っていくと、
「・・・・・・? あら! あらあら! これは可愛い子がたくさん来ましたねぇ」
清掃道具を持って、店内清掃をしていたグレセスと鉢合わせした。目を丸くしながらこちらを見るグレセスにユレスは、どこか気恥ずかしさを覚えてしまう。
客観的に今の自分を見たら、ユレスは見目麗しい少女を二人も自分の部屋に呼んだのだ。別にやましい事など何も無いのにどこか背徳感を感じてしまうのは自分が男だからか。
「掃除の邪魔をしてすみません。すぐに部屋に戻るので」
「いえいえ。・・・・・・時にバレハラードさん」
「はい?」
頭を下げつつ通り過ぎようとしたが、グレセスはユレスだけに言いたいのか、清掃道具を床に置くと小走りでユレスに近づき、耳元に口を寄せてきたのだ。
そして、彼女は左手の小指だけを立てつつ小声でこう言ってきた。
「(あの白と黒の手袋を着けているお二人は、バレハラードさんの〝これ〟、ですかぁ?)」
「(こ、〝これ〟ってグレセスさん・・・・・・)」
どうやらグレセスは、リフルとユルフは自分の恋人なのかと言いたいらしい。
まさに邪推だ。こういう事はハッキリと正さないとな、とユレスは、
「(ただの知り合いですよ。知り合ったばかりですけどね)」
「(本当にですか?)」
「(え、ええ。本当ですとも)」
なぜここまで食い下がるのだろうか。
首を傾げるユレスの疑問を理解したのか、若干無表情だったグレセスは「おほほ」と左手で口元を隠しつつ笑うと、
「(ごめんなさいね。年を取るとついこういう恋の話が気になって。やぁねぇあばあさんで。ですが安心しましたよぉ。バレハラードさんに恋人がいなくてね)」
「(え、なぜですか)」
「(だってあなたにはまだ早いですもの。そうですねぇ、二十歳になってから始めるべきですわ。二十ならもう大人の仲間入りですからね)」
「(そうですかね・・・・・・)」
自分は十九歳だが、恋愛をするのはまだ早いのか。
最近だとラゥルやミーゼ、リフルにユルフと女性の知り合いが増えたが、生まれてこの方異性とそういう関係になった事もないので恋愛というものがよく分からない。
興味が無いと言えば当然嘘になるが、それでも自分に恋人が出来る想像は・・・・・・出来ないのが本音だ。
「(・・・・・・グレセスさんがそう言うならそうしてみますよ。では私達はそろそろ行きますね)」
「(ええ。お時間取らせていただいてありがとうございました。・・・・・・バレハラードさん。安心してください。きっとあなたに相応しい異性が、あなたの前に現れますよ)」
「(そうだといいですねぇ。期待して気長に待ちますよ。それでは)」
「(はい、また)」
ペコリ、と頭を下げ合い、ユレスはグレセスから離れて自分の部屋に向かい始める。
ふと振り返ってみると、グレセスはたおやかに微笑みながらこちらを見ていた。
「・・・・・・・・・・」
「ユレスよ。グレセスと何を話していたのだ?」
後ろについてきているハルマレアにそう訊かれるも、ユレスは「ただの世間話さ」とだけ言って顔を前に戻す。
ハルマレアに話す程の話題ではない。こればかりは、自分だけの問題だろう。
「(いつかは、私にも・・・・・・)」
名前も何も分からない未来の恋人に少しだけ思いを馳せつつ、部屋の扉の前に着いたユレスは——扉を開けたのだった。
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部屋に全員が入った直後、リフルは真っすぐとハルマレアのベッドに近づくと・・・・・・、
「とーう」
ぼすんっ、と突如、全身をうつ伏せの状態でベッドの上に投げたのだ。
いきなり意味不明な行動の前にユレスは硬直してしまう。逆立ちといい、リフルは突発的に何かをするため行動が読みづらくて仕方がない。
そして、彼女は「むぉ」と鼻が詰まったような声を上げて、
「このベッド・・・・・・いいベッドですなー。わう達が借りている部屋のベッドよりも上質だって事が全身で分かりますなー」
「うむうむ。そうだろうそうだろう! なんだリフル、なれ話せるではないかっ」
「・・・・・・ユレスちゃんもしかして、こっちのベッドはハルマレアが普段寝ている・・・・・・?」
「そうだが」
「とう!!」
瞬間だった。
ガバッ、と起き上がったリフルはハルマレアのベッドを踏み台にし、前宙で空中を数回程回転しながらユレスのベッドへと移動したのだ。
そして、一度ユレスのベッドの上で跳ねたリフルは全身を伸ばして仰向けになりつつ、こう言い始めた。
「おお・・・・・・明らかにこちらの方が上質で寝心地が圧倒的ですなー。先程のベッドなんて寝たら体が硬くなってどうしようもないですなー」
「んー、ハルマレアさんのベッドだと分かった瞬間気持ちいい程の手のひら返しをするリフルちゃん・・・・・・今までの可愛さを裏切る程に可愛いです! 二重の意味で裏切ってきましたね♡」
「いや喜ぶ所じゃないだろこれは」
「ふー・・・・・・あても嫌われたものだな」
やれやれと言いたげに肩をすくめたハルマレアは、自分のベッドの元まで近づき腰を下ろす。
ユレスはその彼女を見つめた後、頬に片手を当てて熱い視線を妹に送っているユルフに口を開く。
「ユルフも適当に座ってくれ」
「ではわうもリフルちゃんと同じく、ユレスさんのベッドをお借りしますね」
「じゃあ私はレアのベッドに座るか・・・・・・」
そう決めるとユレスはハルマレアの隣に腰を下ろし、ユルフはユレスのベッドに静かに腰を下ろした。彼女が座った直後にリフルも仰向けから起き上がり、ユレスの枕を抱きかかえつつ姉の隣に座り直す。
「(なぜ私の枕を・・・・・・?)」
気恥ずかしくなってしまう。訊こうにもなぜか抵抗感を感じて訊けない。このまま進行するしかないだろう。
ごほん、と切り替えるようにユレスは咳払いをしてから、
「さて、じゃあ和解のための一歩を踏み出そうじゃないか。とりあえず・・・・・・私達から話そうか? 何が訊きたい?」
「そうですね・・・・・・では、ユレスさんとハルマレアさんのご関係を」
「分かった。私とレアは言うなれば・・・・・・共存関係と言った方が一番しっくりくるかな」
「共存、ですか?」
「ああ。レアと出会ったのはアムヘル真月の時でな。偶然私の実家である教会に転がりこんで来たレアを私が発見し、事情を聞いたら家出をしたとか言ったんだよ。その時はまだ、私はレアを魔王の娘だとは分からなかった」
「懐かしいな」
「あれからもう二つの月が過ぎたもんな。それでだ、信じられないかもしれんが、レアと出会うまでの私は・・・・・・魔法を持ってなかったんだ。生まれた時からずっと」
「魔法を・・・・・・? 確かに信じられませんなー。わうでも苦手とはいえ魔法を使えるわけですし」
「だろ? けど本当だ。それに最近出会ったんだが、私以外にも魔法を使えないという男がいた。しかしその男は魔法ではない・・・・・・何か、不思議なチカラを使える男だった」
あの男——シェルストはイムソウだのなんだの言っていたが、正直何を言っているのか理解出来なかった。
情報が足りなさすぎる。
「・・・・・・話が少し脱線したな。そんな魔法を持っていなかった私だが、レアからあるモノを受け継いで使えるようになった。そのモノというのが——『魔王』になる〝位〟だ」
「「魔王・・・・・・!!?」」
二人同時に声を揃えて、同じような顔で驚愕の視線をこちらに向けてくる。
さすが姉妹だな、と感心しつつユレスは頷き、
「そう。今の『魔王』はレアの父親であるヴァルノートでも、レアでもない。この私なんだよ」
「ユレスちゃんが魔王・・・・・・なるほど。でも疑問ですなー。なんでハルマレアは人間であるユレスちゃんを魔王にしたんですか? ユレスちゃんが頼んだのですか?」
「いや、私は魔王になりたかったわけじゃない。魔法を使えるようになるから、『魔王』になったんだ。正直言って『魔王』の資格なんかいらないが、しかしその資格を捨てたら魔法まで捨てる事になってしまう」
「あては資格も『黒魔刻魔法』もいらないから、ユレスに受け継がせたのだ。ちなみに父には無理やり受け継がせられた」
リフルに使ったあの黒い雲が『黒魔刻魔法』だ、とユレスが付け足すと、リフルは抱いているユレスの枕に顎を乗せつつ、
「では、この王国に来た理由はなんですか?」
「それは・・・・・・私の故郷はテルスタ村と言うんだが、レアと出会ってからはしばらくテルスタ村で暮らしていたんだ。しかし、テルスタ村にある集団・・・・・・『怪魔』の集団が来てな」
「ッ・・・・・・その方達はなぜ?」
強張ったような顔でそう訊くユルフ。『怪魔』がやってきた、というだけで悪い方向に様々な想像を脳裏に浮かべたのだろう。
何を想像したのかは分からないが、彼女のその想像は恐らく間違っていない。
「いなくなったレアを探しに来たみたいだ。今魔王軍はレア探しを優先的に活動しているようでな。それでテルスタ村に来たそいつらは・・・・・・そいつ、らは・・・・・・」
「ユレスちゃん?」
「いや・・・・・・そいつらは・・・・・・」
おかしいな、とユレスは言葉が詰まってしまう自分の口に疑問を覚える。
何と言うか、閉じていた栓が外れて溜まっていた水が溢れるような・・・・・・。
——そうか、とユレスは女々しい自分に納得する。
振り切ったと思ったが、自分はまだ——ソムロスが殺された事や村の皆が死んだ事を引きずっているのか。
結局、顔を俯かせつつ口を閉じてしまったユレス。そんなユレスに異父姉妹は察したように目を伏せ、ハルマレアは、
「そいつらは、村人を脅してあてを探させ始めてな。ユレスの父であるソムロスに村人三人を人質に取られて且つさすがに時間の問題であったから、あてはその集団の頭であるダラネモアの前にユレスと共に出たのだ。そしてユレスの『黒魔刻魔法』でダラネモアを倒せたが・・・・・・それは一時的な事であった」
「一時的?」
「うむ。瀕死だったダラネモアは、ソムロスを介抱していたユレスに不意打ちの赤熱魔法を放ってな。そしてソムロスはユレスを庇って・・・・・・死んだのだ。さらに村人まで全員殺されてな・・・・・・」
「・・・・・・なるほど。昨日経験者と言ってましたな。ユレスちゃんはお父上を・・・・・・ユレスちゃんとハルマレアがここにいるって事は、そいつらを結果的には倒したって事ですよね?」
「・・・・・・ぁあ。だが後に残ったモノは何も無い。何もな。それでこのままテルスタ村にいてもまた魔王軍の奴らが来る可能性が高いと判断して、私達はこの王国にやってきたというわけだ。つまり逃亡生活を送ってるわけだな。・・・・・・それがここまでの私達のいきさつ。どうだい、他に訊きたい事はあるかい?」
話づらい事をハルマレアが言ってくれたおかげで、なんとか口を開けるようになったユレスはそう話を締めて異父姉妹に問いかける。
そして、
「——ユレスさん、ハルマレアさん。辛い事までお話していただき、ありがとうございました。もう十分です。あなた達がどんな思いでここまで来たか理解致しました。ね、リフルちゃん」
「はいユルフちゃん。さすがのわうも、ユレスちゃんを悪だと断じるのはもう出来ませんなー。・・・・・・まぁ、一応ハルマレアも」
深く頭を下げた姉と違って、そっぽを向くリフルに「一応とはなんだ一応とは」とハルマレアが文句を言うが、彼女を口を尖らせたまま無視だ。
心情的には、まだハルマレアとは仲良くなれないって所か。
「では、次はわう達ですね。少し長くなるかもですけど、真摯に話してくれたユレスさん達のようにわう達も話します。どうか聞いてください」
「勿論。そのためにもう一度こうして場を設けたんだからな」
「うむ。存分に話すがいい。あてはまだまだ目が冴えてるからしっかりと聞けるぞ」
「ユレスちゃん、もしハルマレアが寝たらわうが叩き起こしてもいいですか?」
「是非頼む」
「是非!? というかユレスよっ、その保護者感を出すのはやめい! どちらかというとあての方が保護者であろう!」
「どの口で言ってるんだ・・・・・・」
多分年齢で言ってるんだろうな、とは気づきつつも、世間的に見たら自分の方が圧倒的に軍配は上がるだろう。
そう思案するが、口に出したらまた話が脱線しそうなので思案だけで留めておく。今のユレス、まさに大人。
そうして、クスクスと笑っていたユルフは、
「仲が良いのですねお二人共。羨ましいです。ね、リフルちゃん」
「はいユルフちゃん。ですが、わうとユルフちゃんの方が圧倒的に仲良しさんですなー」
「んー、素直に同意せず反抗心で上に立とうとするリフルちゃん・・・・・・嫉妬丸出しで超可愛いですぅ♡ もう可愛すぎて食べたいぐらいです! てかもう食べちゃいますっ、がじがじがじ!!」
「わうわうわうわうわうわうわうわうわうわう」
「(本当に頬を噛んでるぞこの姉!!?)」
しかも妹の方も無表情且つ動かずに噛まれるがままだ。
リフルの言う通り、仲の良さでは圧倒的、というか恐らくここまで仲が良い姉妹はいないのではないか? と思う程である。
そんな異父姉妹を見つめながら、ユレスとハルマレアは彼女達が口を開くのを待つしかなかった。
てか、結局脱線したのだった。




