数少ない友人
明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!
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黄昏時の空に飛ぶ鳥たち目に細め、男子寮へと戻るウォーカー。
すると駆け足の足音と共に肩に軽い衝撃が加わった。
「よっ、飯たべたか?」
「なんだ、スナ―か。いや、まだだよ」
振り向くとそこには友人であるラッテ・スナ―がにこやかな笑顔で立っていた。
眉目秀麗とはこの男の為にあると言わんばかりの顔をした、このエルフ種の友人は人間種であるウォーカーにも分け隔てなく無く接してくる数少ない人だ。
もともと分かっていた事ではあるがウォーカーにとってこの学校における交友関係は最悪だった。
まず、選民思想たっぷりの貴族たちは論外。
その上、戦地帰りだと言うだけで穢れるだの何だとけなして言うばかりで、ならお前らは何の学校に入学したと思っているのかと逆にあきれるほどだった。
じゃあ、この学校には他にも戦地帰りの学生もいるから彼らとは仲良くしようとウォーカーが近づいても勲章を見て避けてしまう。
そもそも騎士銀翼章は軍功の中でも勇敢な行為をした者に送られる。
戦場で勇敢な行為を行う兵士が生きて帰ることは少なく、どちらかと言うと二階級特進と同じように死者に送られるものだった。
それを五体満足で胸に着けてる人物がどれ程危険なのかを彼らは実体験をもって知っていたのである。
それに他の数少ない平民出身の学生も劣等種とは仲良くしたくないらしい。
と云う事で編入後、数か月を一人で過ごしていたウォーカーだったが、スナ―とはいつの間にか仲良くなっていた。彼が諜報科だからと言うのは少し穿ちすぎだろう。
「それにしても浮かない顔してんなウォーカーは」
ちょくちょく肩に突っかかるスナ―をかわしつつウォーカーは口を開いた。
「図書館でさ、あの校長と鉢合わせたんだよ」
「えっ、マジで?」
「マジで」
「……あーそりゃ、仕方ないな」
そう呟くスナ―の横で無言で肩をすくめるウォーカー。
ここ、帝立士官学校はバルギニス帝国が設立した軍学校であり、国内に複数ある軍学校の中でも優秀な人材を輩出するとして有名であった。
それはバルギニス帝国軍士官の半数以上がこの学校の出身であることからも窺えるだろう。
また首都グラニースタに位置しているにもかかわらず、建国以来続く由緒ある帝立学校の為広大な敷地を有している。
そして、帝立士官学校には多くの人がその門戸を叩く。
学生の間は身分が保証され、授業料は無料。
さらに少ないながらも賃金も発生するという好条件な為、毎年多くの入学希望者が集まっていた。
しかし残念な事に、ここはあくまでも帝国貴族の学校であり、平民の入学は生徒数を補充するためのわずかな席しか空いていなかった。
そんな貴族の中でも家督を継ぐことが出来ずに自力で出世の道を切り開かねばならない次男、三男。
さらに、帝国貴族の慣習で嫁入り前の婦女子などが主に在籍していた。
更に貴族界隈のゴタゴタしたものが学校内部にも大いに影響を及ぼしていた。
その代表的なものが学校長のポストであり、政争に敗れた貴族がやって来る場合が多くみられたのだった。
仮にも帝国の国防の明日を担う士官を育成する学校の長であるからそれなりの人物が送られてくるのだが、ここ数年、荒れる貴族界の影響で完全に閑職となり果てていた。
その様に飛ばされた貴族の人徳など知れたもので、特に今回の校長はかなり前評判が良くなかった。特に選民思想が強いと云う事で。
でも人間種だと言って毛嫌いする訳でも無く、他の生徒と同じように対応していたし、前評判とは意外に違っているのかも。
道端の小石を蹴飛ばしつつウォーカーは呟いた。
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