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生存者

 

 村の入り口で下車した二人は周囲に警戒しながら、駆け足で村の中に入っていく。


「すみませーん! 誰かいますかーっ!」

「生きている人が居たら返事をしてくださーい!」


 口々に叫ぶ二人。

 家々は火がついて大分経ったのか、ほとんどが焼け落ち、煙と臭いが辺りを包んでいる。

 そして延焼している村を囲っている木々の炎で紅く照らされていた。


 村の中央広場には決して動かない人々が山積みに成っていた。

 ぴちゃりと鳴った足元を見ると、赤黒いものがそこら中一面に広がっていた。


 中には服を剥ぎ取られているモノ、剣が突き刺さったままのモノも、まだ幼い子供もいた。

 その苦悶の表情はどう考えてもまともな死に方では無かったことがありありとうかがえた。

 そもそもこんな状況でまともな死に方など有るはずも無かったが。


「……本当にひどすぎる」

「そうだね……」


 もはや眉を顰めるほどしかできない二人。

 この目の前に広がる光景は今まで通ってきた村と同じモノだった。


 既に胃液すらも吐ききっていてこれ以上吐くことは無かったが、胸のこみ上げてくる衝動が消えることは無かった。


 いくら人間種が魔法の使えない劣等種だからといって、何故ここまでされなくては行けないのか。

 やるせない怒りがキリクの中を幾度となく駆け巡っていた。


「ん?」


 何かが聞こえたのか傍耳を立てるウォーカー。


「どうした? ウォーカー」

「何か聞こえない?」


 眉をひそめてそう言うウォーカーにつられ、キリクも耳を澄ます。


 ……パチパチと周囲の木々が焼ける音。

 ……家々が焼け落ちる音。


 ……誰かのうめき声。


「「うめき声?!」」


 二人同時に叫んで顔を見合わせた二人はどこかにまだ生存者が居る事を確信した。


「どこですかーっ!」

「返事をしてくださーい!」


 辺りを見渡し走り出す二人。

 家々を駆け巡っても何処も焼け落ちていて、どう見ても生きた人がいる様子はない。

 畑にも、馬小屋にも、あるのは死体だけだった。


 息を荒げたまま、再び広場に戻った二人。


「さっきの声は何処からしたんだ?」

「もしかして、あの中?」


 そう言ったウォーカーが指さしたのは先ほどの村人の死体で築かれた山だった。


「行くか!」

「うん!」


 駆けだす二人。

 目に飛び込む壮絶な臭いと光景に生理的な衝動がこみ上げていたが、二人は構わず遺体を次々と引きずり下ろした。


「あっ! この手今動いた!」


 バッとウォーカーの声にキリクが振り向くと確かに隙間から出ている手が力無く動いていた。


「よし! 早く引きずり出すぞ!」

「わかった!」


 さらなるスピードで遺体を引きずり下ろす二人。

 その手の持ち主はどうやら大分下の方にいるようで中々姿が見えなかった。

 ウォーカーがまた一人引き釣り下しながら叫ぶ。


「お兄ちゃん、腕まで見えた!」

「よし!引きずり出すぞ!」


 その腕を握り力一杯に引っ張るキリク。

 ウォーカーは他の引っかかってそうな遺体を押しのけ、隙間を広げている。


「せーえのっ!」


 渾身の力を込めて引っ張るキリク。

 すると手の持ち主は山の中から勢いよく飛び出してきた。

 勢いあまって後ろにコケるキリクと遺体の山に頭から突っ込むウォーカー。


 飛び起きた二人が観たのは、


「子供?!」


 見たところまだ6、7歳の幼い女の子だった。




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