↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/9

第4話:雲海の狂科学者(後編)

スコーピオンがニヤリと笑い、注射器のピストンを一気に押し込む。

「スコーピオンっ!?」

ドミニクが悲鳴を上げた瞬間、彼の首筋の血管が青黒く浮き上がり、全身の細胞が暴走するかのような激痛がスコーピオンを襲った。全身の皮膚が引きつり、左腰のナノメタル・テールが激しい火花を散らして異常発光を始める。

「ガハハハハ!バカめ!人間の脳が耐えられる毒ではないと言ったろうが!」

ガロが高笑いし、ドミニクが絶望に顔を歪めた――そのとき。

「ふぅ……」

スコーピオンは口から静かに青い煙を吐き出し、何事もなかったかのように首をゴリッと鳴らした。浮き上がっていた血管が急速に元に戻り、テールの発光が静かで密度の高い青紫色の光へと落ち着いていく。

「……な、なにぃ!? 脳が溶けていないだと!?」

ガロの義眼が外れんばかりに飛び出す。スコーピオンは空になった注射器を指先でクルクルと回すと、ガロの膝元へ放り投げた。

「言ったろ、ジジイ。俺は毒には慣れすぎてるんだ。……これで『変異精神波』のトリガーは引けたわけだ」

そして、スコーピオンは呆然と立ち尽くすドミニクの腰にするりと手を回し、その耳元に甘く低い声を吹き込んだ。

「でお嬢さん……約束通り、耐えきったぜ? 今夜のスケジュール、空けておいてくれるかい?」

ドミニクは一瞬だけ赤くなり、すぐにフッと呆れたような、けれど愛おしそうな溜息をついた。

「……バカね。命を捨てるようなマネをしておいて。……ええ、いいわよ。ただし、アシュラを倒して生きて帰れたら、の話だけどね」

「交渉成立だ」

スコーピオンがニヤリと笑ったその時、ラボの通信コンソールがけたたましい警報音を鳴らした。画面に映し出されたのは、雲海を割りながら迫り来る、あの漆黒の安宅船――三面鬼将アシュラの超巨大戦艦だった。

「お楽しみの前に、まずは野暮な邪魔者を片付けるとしようか!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。