↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/8

第4話:雲海の狂科学者(前編)

亡霊の蠢く鉱山


酸性の黄色い雲海がどこまでも広がる惑星ゴースト・マイン。

岩肌にへばりつくように建つ旧時代の自動採掘プラント――Dr.ガロの隠れ家「雲上ラボ」へ、タランチュラが静かに着陸した。

「ウッ……ひどい視界とにおいね。フィルターを通しても酸の匂いが鼻をつくわ」

ドミニクが胸元を押さえながら眉をひそめる。

「まあ、偏屈なジジイが引きこもるにはおあつらえ向きの場所さ。……シエル、留守番は頼んだぜ」

「了解。怪しい反応があれば、いつでもこのプラントごと吹き飛ばしてあげるわ」

シエルがコクピットから可愛らしくウインクしてみせる。スコーピオンはニヤリと笑い、ドミニクの腰をそっと抱き寄せてタランチュラを後にした。


狂気の診察室


怪しげな蒸気と機械油の匂いが充満するラボの最奥。

無数のモニターとサイバネティクスパーツの山の中に、車椅子に乗った痩せた老人がいた。義眼のレンズを無気味に伸縮させ、ニタリと歪んだ笑みを浮かべている。

「ハッ! 誰かと思えば、死んだはずの毒蛇……いや、サソリの坊主か。それに銀河警察の小娘まで連れて、何の用だ?」

「お前さんの作った芸術品……アシュラの『三面システム』の買い取り交渉に来たのさ、Dr.ガロ」

スコーピオンは煙草に火をつけ、紫煙を吐き出しながら老人の前に歩み出た。

「あの『笑の面』は出来が良すぎる。俺の毒針テールをまったく受け付けてくれなくてね。裏口のバックドアを教えてもらおうか」

「ガハハハハ! ワシの最高傑作を破りたいだと!?」

ガロはダミ声で高笑いすると、車椅子の肘掛けを叩いた。

「教えるわけがなかろう! あれはワシの最高のアートだ! ……だが、どうしてもというなら、ワシの『ゲーム』に付き合ってもらおうか」

ガロが手を叩くと、天井から液体で満たされたカプセルと、恐ろしい形状のインジェクター(注射器)が降りてきた。


命を賭けたテスト


「あのアシュラの『笑の面』が波形を解析して位相を反転させるまでの時間は、正確には0.03秒。そのコンマゼロ数秒の隙間に、波形が変わる『変異精神波』を撃ち込むしかない」

ガロは不吉な赤色に光る薬品を提示した。

「これはワシが開発した神経拡張薬『ヴェノム・ブースター』だ。これを脳内に直接打ち込めば、お前のテールの波形は0.01秒単位で不規則に変化する。だが……適合しなければ、お前の脳ミソは3秒でドロドロのスープに変わるぞ?」

ドミニクが青ざめて叫ぶ。

「危険すぎるわ! そんな出鱈目な薬、人間に耐えられるはずがない!」

「ハハッ、だから『テスト』なのさ。死んだらそれまでの男だったということだ」

ガロが嘲笑う中、スコーピオンは無言でカプセルへ近づくと、ガロの手から注射器をひょいと奪い取った。

「スコーピオン、やめて!」

「なあにお嬢さん……俺の体は昔から、毒にはめっぽう強く出来ていてね」

スコーピオンはニヤリと笑うと、躊躇することなく自らの首筋へ、その猛毒の注射器を突き立てた――!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。