第2話:有名人の帰還(後編)
迫り来る巨影
タランチュラの前方に展開されたレヴィアサンの装甲艇部隊。
だが、スコーピオンが「テール」の精神波ビームを放とうとした瞬間、部隊の波を割って「一隻の巨大な黒塗りの安宅船(サイバー戦艦)」が姿を現した。
「……チッ、挨拶回りの前に、とんでもない大物が直々にお出迎えか」
戦艦の甲板に一人の影が立っていた。
漆黒の鎧兜を身に纏い、腰に二本の巨大な刀を差した男――鬼将アシュラ。
その顔面は今、冷酷に歪んだ**「泣(NAKI)」の面**を向けていた。
『久しぶりだな、スコーピオン……お前が生きていたとは哀しいことだ。再びこの手で殺さねばならんのだからな……』
合成音声の悲しげな声が、宇宙空間の通信回路を濡らす。
嘲笑う「三面」
「お前さんのその嘘泣きには、昔からヘドが出そうだったぜ、アシュラ!」
スコーピオンはタランチュラから跳躍し、真空の宇宙空間へ身を躍らせた。
腰から解き放たれたナノメタル・テールが青白い精神波を極限まで励起し、アシュラの胸元へ一直線に放たれる!
ズドォォン―――!!
直撃の瞬間、アシュラの首が「ガチリ」と高速回転した。
現れたのは、不気味に口元を吊り上げた**「笑(SHO)」の面**。
『フハハハハハ! 無駄だ! 我が「笑の面」の前では、お前の精神波などただの温風に過ぎん!』
スコーピオンの放った必殺のビームが、アシュラの身体に触れた瞬間に幾重もの光の粒子となって霧散する。
「なっ……サイコエネルギーが消された!?」
コクピットからモニターを見ていたドミニクが息を呑む。
激突と予感
アシュラの首が再び回転し、次は角を逆立てた**「怒(IKARI)」の面**が正面を向いた。
『死ねい、スコーピオン!!』
アシュラが引き抜いた大刀から、宇宙空間を切り裂く超振動波の斬撃が放たれる。
スコーピオンは間一髪、テールのしなやかな反動を使って残像のようにかわすが、タランチュラの装甲の一部が鋭く削り取られた。
「やれやれ……相変わらず愛想のねえ面だ。笑ってるのか怒ってるのか、ハッキリしやがれ!」
スコーピオンは煙草を咥え直し、ニヤリと不敵に笑う。
「だがな、アシュラ……どんな面に変わろうが、俺のテールが突っ込む穴(弱点)は必ずどこかにあるはずだ」
「スコーピオン! 無茶よ、一旦撤退して!」
シエルの叫びと共に、タランチュラが緊急加速し、スコーピオンを回収して超空間ジャンプ(ワープ)へと逃れ出た。
闇の中に残されたアシュラは、再び**「泣(NAKI)」の面**を向け、静かに刀を納めた。
『逃げられんぞ、スコーピオン。古代兵器の鍵、そしてお前の命……このアシュラが必ず引導を渡してやる……』




