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黒潮とグラニオン ~ 鹵獲から始まるガトー級潜水艦の数奇な運命  作者: もろこし


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第八話 伊号 第五〇一潜水艦 1944

 年が明け1944年(昭和十九年)に入ると、日本のすべての潜水艦に新装備が行き渡ったことから潜水艦の喪失は一旦は落ち着きを見せる。だが米軍の暗号解読や対潜装備の進化により日本潜水艦の損害も再び上昇しはじめていた。


 日本側も遣独潜水艦作戦に最新装備を整えた艦を送り出しているため、第二次以降の作戦はすべて成功していた。これでドイツから齎された情報により水中充電装置シュノーケル攪乱装置ボールドの装備も進んでいる。


 また、新しい二二号電探と逆探の装備もはじまっていた。特に二二号電探は潜水艦方位盤にも接続され、正確に距離を測れるようになったことから雷撃の成功率が上がっていた。


 一方で米軍もMK.14魚雷の不具合を是正したことで米軍の潜水艦が本来の能力を発揮するようになり、日本の艦艇・輸送船の被害が急増していた。これに対し日本も海上護衛総隊を創設し、海防艦を量産するなど対抗してはいたが、艦船の被害は増加の一途を辿っていた。




■1944年(昭和18年)11月3日 深夜

 サンベルナルジノ海峡付近

 日本海軍 潜水艦 伊五〇一


 先日レイテ沖で行われた大海戦は惨憺たる結果に終わり、日本の水上部隊と航空部隊は大打撃を受けていた。


 それでも潜水艦部隊はせめて一矢報いようと復仇の時を虎視眈々と狙っていた。艦長が米原少佐から板倉少佐に代替わりした伊五〇一もレイテ島東方に進出していた。


 そしてこの日、伊五〇一は小艦隊に分かれて移動する米艦隊を発見した。


 聴音観測の情報を元に板倉少佐が潜望鏡をあげて素早く確認する。


「正規空母1、軽巡1、駆逐艦4乃至5隻、空母までの距離5000」


「逆探に感!」


「おっと。危ねえ危ねえ」


 板倉少佐がおどけた様子で即座に潜望鏡を下げた。露頂していた時間は5秒に満たない。


「敵に気取られたかな?」


「今のところ聴音に変化ありません。気付かれなかったようです」


「よしよし、いいぞ」


 板倉少佐はもみ手をして喜ぶ。彼は慎重さと大胆さが同居している稀有な潜水艦乗りだった。伊四一に乗っていた頃には日中に堂々と浮上航行し、近寄ってきたB-24に手を振って味方と誤認させたという逸話もある。


 そうやってこれまで何度も死地をくぐり抜けて生還することから、板倉少佐は『不死身』の綽名でよばれていた。


「さて、先任。米軍にしては数が少ないが、どう思う?」


「先日、レイテで大きな海戦があったので小部隊単位で順に補給に下がっているのではないでしょうか?」


「なるほど有り得る話だな。ならば敵は分散していて、もしかしたら気も緩んでいるかもしれん」


「やりますか?」


「当然だ。どうせなら大物を狙うぞ。進路220、前進最微速。このまま海流に乗って奴らの懐に入り込んでやろう」




■1944年(昭和18年)11月3日 深夜

 サンベルナルジノ海峡付近

 第38.3任務群 駆逐艦クラレンス・K・ブロンソン


 シャーマン少将の率いる第38.3任務群はレイテでの激しい戦いの後、一旦ウルシーへ後退し補給を行った。その補給も今日で終わり艦隊はレイテへの移動を開始していた。


 この任務群は本来であれば3隻の正規空母、2隻の軽空母、4隻の戦艦、4隻の軽巡、17隻の駆逐艦からなる大部隊である。だがウルシーでの補給があちこちに分散してしまった結果、任務群は小部隊単位でバラバラに移動する羽目になっていた。


 このため駆逐艦クラレンス・K・ブロンソンも、彼女の所属する第50駆逐艦戦隊(DesRon50)の4隻の駆逐艦とともに、空母レキシントンⅡと軽巡リノを護衛しつつレイテに向けて移動中だった。


 あれだけ大打撃を与えたのだから日本人もしばらくは大人しくしているだろう。そうは思っても艦長のマクゴーラン少佐はなぜか不安を感じていた。


「あれからレーダーに反応はないか?」


「ありません。艦長、やはり先ほどのはノイズだったのでは……」


「ソナーのほうはどうだ?」


「聞こえません。というより現在の航行速度では耳をふさいでいるのと同じです」


「他の艦へ警告を出しますか?」


 副長の問いかけにマクゴーラン少佐は少し悩んでから首を振った。


「いや、止めておこう。いまは海峡を通過中だ。ジグザグ航行はむずかしい。ただ警戒は怠るな」


 この判断をマクゴーラン少佐は生涯悔やむこととなる。




■潜水艦 伊五〇一


 海流の助けも借りて、伊五〇一は見事に敵の小艦隊の懐に入り込むことに成功していた。


「聴音と敵針予測によれば前方1000くらいに敵正規空母が居るはずです。やりましょう!」


 相手は大物である。攻撃を進言する先任は興奮を隠せない様子だった。


「よし、方位盤は追跡を継続。潜望鏡を上げると同時に電探で距離を測るぞ」


 板倉少佐は潜望鏡をあげて素早く敵正規空母を視界にとらえた。同時に二二号電探で正確な距離も測定する。それらの情報はすべて方位盤に送られ、魚雷が自動的に調定されていた。


「敵空母までの距離840、追従中」


「ランプ点灯!発射準備よし!」


「よっしゃ!1番から6番、発射!」


 圧縮空気で6本の魚雷が敵空母に向けて発射された。


 周囲はすべて敵艦である。板倉少佐は自艦のすぐ後方にも軽巡がいることに気づいていた。


「ついでだ、艦尾7番から10番も発射しろ!照準はいらん。攪乱になる」


 伊五〇一は装填していた10本の魚雷全てを放つと即座に回避行動に移った。




■駆逐艦クラレンス・K・ブロンソン


「レーダー反応ありました!」


「やはり居たか!」


「しかし場所が変です。反応は方位180、本艦からみてレキシントンⅡ側です……」


「艦隊の内側だと?まさか……」


 マクゴーラン少佐の頭に最悪の可能性がよぎる。それはすぐに次の報告で裏付けられた。


「敵のレーダー波を検知!レーダー反応と同じ方向です!」


「くそっ!警告を出せ!艦隊内部に敵潜水艦が入り込んでいるぞ!」


 だが全てが遅すぎた。警告を発してわずか数秒後、マクゴーラン少佐の視界の端でレキシントンⅡの横腹に3本の水柱が立つのが見えた。


 さらに反対側で軽巡リノの艦尾にも水柱が立つ。


 これで駆逐艦戦隊はパニックに陥ってしまった。各駆逐艦は手当たり次第にアクティブソナーを放ち爆雷をばらまき始めている。


 これでは駄目だ。マクゴーラン少佐は即座にTBS(Talk-Between-Ships)のマイクを掴むと第50駆逐艦戦隊の各艦に怒鳴った。


「DesRon50各艦、落ち着け!爆雷攻撃は一旦中止しろ!ガトリングとヘアリーはそれぞれレキシントンⅡとリノの救助にあたれ!コッテンとドーチは本艦とともに敵潜水艦へ対処する!」




■潜水艦 伊五〇一


 伊五〇一は水深80メートルほどで無音潜航をつづけていた。西への海流に乗って静かに敵艦隊から離れつつある。


「空母に命中3、こちらは撃沈確実でしょう。後方でも一つ爆発音が聞こえました。もしかしたら軽巡の方も仕留めたかもしれません。大戦果です!」


 先任の言葉に司令塔内の乗員は静かに喜びをかみしめた。


 敵は探針音を乱れ打ち、明後日の方向に爆雷をばらまいている。明らかにパニックに陥っていた。


「敵は混乱しとるな。これなら上手く逃げられるかも……」


 板倉少佐がほくそ笑む。だがあと少しで艦隊の外に出られると思えた直後、探針音が突然止んだ。爆雷の投下もピタリと止まる。


「ほう、敵はもう立ち直ったか。指揮官が優秀なのか。これは気を引き締めんと生き延びられんかもしれんな」


 しばらくして再び探針音が響きはじめた。今度は先ほどと違い明らかに整然としている。


「推進音が3つ近づいてきます。すべて2軸。駆逐艦と思われます。探針音を放っているのは両端の2隻です」


「駆逐艦は5隻いたはずだ。残りの2隻は救助に向かわせたか。そしてじっと耳を澄ませている奴が1隻いるな」


 板倉少佐は海面の状況を想像する。敵はまだ探知していないにも関わらず、こちらに向かってきている。海流を利用して離脱しようという動きを読まれたらしい。


「電動機始動。微速。針路180。敵の針路から逸れよう」


 相手との位置関係を考えながら板倉少佐は指示をだす。だが内心では探知は避けられないと思っていた。




■駆逐艦クラレンス・K・ブロンソン


「コッテンより報告!敵潜を探知!コッテンより方位20、距離1000ヤード(914メートル)、深度260フィート(80メートル)!」


「やはりこっちに居たか……」


 彼は敵潜水艦が海流に乗って西へ逃れるだろうと踏んでいた。予想が当たりマクゴーラン少佐の口角がわずかに上がる。


「コッテンとドーチは敵潜を左右から挟み込むようにして攻撃しろ。本艦は耳を澄ませる。敵の動きを見逃すな」


 マクゴーラン少佐は彼我の位置関係を素早く計算し2隻の駆逐艦に指示をだす。


 彼らの背後では空母レキシントンⅡが完全に横転していた。もう艦の喪失は確実だった。これで同名の艦が二度も撃沈されたことになる。軽巡リノも機関部を破壊され航行不能となっていた。これほどの被害をもたらした敵は絶対に逃がす訳にいかなかった。


 しばらくして先行した2隻の駆逐艦のK砲(爆雷投射機)から爆雷が次々と発射されるはじめた。数秒後、海中で爆発が起こり海面が白く変わった。




■潜水艦 伊五〇一


 船体を探針音が連続して叩いた。


「探知されたようです!」


「攪乱装置、放出!」


 司令塔の後部から小さな円筒形の物体が海中に飛び出した。ドイツから伝わったボールドを制式化した三式攪乱装置である。内部の水素化カルシウムが海水と反応し大量の水素の泡が発生する。


 その泡は敵の探針音を妨害してくれるはずだった。だがすでに複数の敵に捉えられているため探針音の追従は止まらない。


「駄目です。探知はずれません!海面に突発音多数!爆雷攻撃きます!」


「クソっ!ドイツ人のおもちゃは役に立たねえな。電池群直結!前進強速!取舵一杯!針路40!」


 板倉少佐は艦を反転させた。伊五〇一は従来の日本潜水艦では真似の出来ない急加速で反転する。


「爆雷くるぞ!各部、対爆雷防御!」


 伊五〇一は間一髪で爆雷を回避した。艦の背後で爆雷が次々と爆発する。


「艦長、危険です。正面にはもう一隻の駆逐艦がいるはずです。例の耳を澄ませている奴です。このままではその真下を通る事になります」


 爆雷の衝撃で揺さぶられながら先任が進言する。


「分かっとる。前方の敵が爆雷を投下したら深度180まで一気に潜る。準備しておけ」


 板倉少佐の指示に司令塔の中が凍り付いた。


「艦長、本艦の安全深度は90メートルです。180だと倍となります。それにこの辺りの水深はもっと浅い可能性も……」


 先任が指摘に、司令塔の乗員が固唾をのんで板倉少佐の言葉を待つ。板倉少佐は先任と皆の目を見て静かに言った。


「大丈夫だ。伊号でも200まで潜ったという噂を聞いたことがある。俺を信じろ。まあ水深については測深儀も有ることだし、それでも駄目なら上手く着底できることを祈ろう。とにかく絶対に皆を死なせはせん。俺が不死身って呼ばれているのは知ってるだろう?」


「……分かりました。艦長を信じます。深度変更準備!急げ!」




■駆逐艦クラレンス・K・ブロンソン


「探知しました。敵潜、本艦にまっすぐ向かってきます。方位正面、距離500(460メートル)、速力8ノット、深度260フィート(80メートル)」


「度胸だけは認めてやろう」


 そうだ。頭を押さえられ左右から挟まれたら逃げ道は背後しかない。予想通りの敵の動きにマクゴーラン少佐の笑みが深まった。


「コッテンとドーチに敵潜の位置を教えて後ろから追わせろ。タイミングをあわせて攻撃するぞ」


 これで退路も塞いだ。もう再反転は出来ない。爆雷を避けるには深度を変えるしか手はない。だがこれからその逃げ道も塞いでやろう。


「左右および艦尾、爆雷投下用意。深度は400(122メートル)、450(137メートル)、500(152メートル)の3つの設定を混ぜて落とせ。爆雷は出し惜しみするな。一気に決めるぞ」


 クラレンス・K・ブロンソンの両舷6機の投射装置、そして艦尾2条の投下装置から大量の爆雷が次々に投下された。




■潜水艦 伊五〇一


「海面に突発音多数!爆雷攻撃また来ます!」


 水測員が叫んだ。次にくる爆発音に備えてヘッドホンを慌てて外す。


「針路このまま。深度180!」


「下げ舵一杯!目標深度180!手すきの者は艦首へ走れ!急げ!急げ!」


 先任が艦長の指示を伝達する。あらかじめ準備を整えていたため、すぐに床が前方に大きく傾きはじめる。


 伊五〇一は、深度180メートルに向けて一気に潜っていった。それを追うかのように艦の後方で爆雷が次々と爆発する。


「深度80……90……安全深度超えます」


 皆が無意識に艦の天井を見上げた。今の所は何の問題もない。伊五〇一は更に深みを目指していく。


 だが120メートルを超えたあたりで艦のあちこちから不気味な軋み音が響きはじめた。


「深度140……深度150……」


 航海長がさらに深度を読み上げる。軋み音はもう無視できないほどになっていた。皆の顔を汗がつたう。それは緊張だけが原因ではない。艦内温度も急激に上昇しはじめていた。


「水測、海底までの距離を読み上げろ」


 そんな中でも板倉少佐は平気な顔で指示をだしていた。


「はい、海底まで55……45……」


「ふう、どうやらギリギリだな。目標深度このまま」


「艦長、深度180に到達しました」


 伊号潜水艦でも運が良ければこの深さに潜れる可能性はある。だがその場合もリベット剥離や水漏れなど深刻な問題が起きる恐れがあった。


 だがこの伊五〇一は違っていた。軋み音こそ聞こえるが、溶接構造の内殻(耐圧殻)はリベットも飛ばさない。水漏れも皆無だった。


 とりあえずなんとか無事に目標深度に到着したことで皆の顔に安堵の表情が浮かんだ。


「ツリム水平。皆、衝撃に備えろ。そろそろ最後の爆雷が来るぞ」


 直後、伊五〇一の頭上で多数の爆発が起きた。




■駆逐艦クラレンス・K・ブロンソン


 大量の爆雷が設定深度で次々と爆発した。海面が盛り上がり白い泡が噴きだす。


「艦長、しばらくソナーは使えませんね」


 泡立ちが消えない海面を見ながら副長が言った。


「……爆雷は敵潜の上下左右に万遍なく撒いてやった。これで仕留めたはずだ。浮遊物や油が浮いてこないか確認しろ」


 マクゴーラン少佐は敵潜の撃沈を確信していた。




■潜水艦 伊五〇一


 皆がパイプに捕まり身を縮める。だが襲ってきた衝撃は思っていたより小さなものだった。


 水圧の関係で上方での爆発は下にあまり影響を及ぼさない。爆発音こそ派手だったが、艦の揺れは最初の爆雷攻撃よりはるかに小さかった。


「敵さん、此方の動きを読んで調定深度をずいぶんと深くはしたようだが、まだまだ甘いな。電池群直結解除。両舷微速。また反転するぞ。針路220。深度はこのまま。敵の聴音は当面使えまい。今のうちに逃げるぞ」


 板倉少佐の言葉で司令塔の乗員らはホッとした空気が流れた。


 数分後、再び探針音が聞こえ始めたが、それは遥か遠くからだった。これで当面の危険は去ったと言えた。




■駆逐艦クラレンス・K・ブロンソン


 駆逐艦クラレンス・K・ブロンソンは、僚艦のコッテン、ドーチとともに泡立つ洋上を観察し続けた。


 だがいつまで待っても何も浮かんでこなかった。


「何も浮かんできませんな……」


 副長の言葉にマクゴーラン少佐は顔を顰める。


「あの攻撃を避けるなら600フィート(183メートル)は潜らないといけないはずだ……日本の潜水艦にそんな真似ができるのか?」


「艦長、この辺りは海流が速いです。もしかしたら遺留物や油は海中で流されてしまったのかもしれません」


「そうかもしれんな。ソナー、反応はあるか?」


「音波状況はまだ怪しいですが、今の所反応はありません」


 マクゴーラン少佐は窓の外を見た。すでにレキシントンⅡは過半が海中に没している。軽巡リノも洋上に停止したままだった。


 しばらくして艦橋に無線室からの伝令が入ってきた。紙を副長に渡す。それを一読した副長が顔をマクゴーラン少佐に向けた。


「司令部からです。0700まで救助作業を継続。その後レキシントンⅡを雷撃処分せよとのことです。リノについては艦隊曳船ズーニーを送り出したので、到着したら我々第50駆逐艦戦隊(DesRon50)はこれを護衛しつつウルシーに向かえとのことです」


 マクゴーラン少佐は黙って頷いた。


 結局、マクゴーラン少佐は未確認ながら敵潜水艦1隻を撃沈したと報告した。これが誤認であったことは戦後の調査まで明らかになることは無かった。




■潜水艦 伊五〇一


 伊五〇一は潜航したまま海流の力も借りて密かに西へと進んでいた。もう探針音も聞こえない。敵艦隊は遥か彼方となっていた。


 さすがに危険を感じたのか板倉少佐は深度を90メートルにもどしていた。今では軋み音も消え艦内温度も正常に戻りつつあり艦内は落ち着いていた。念のため各所を確認させつつ、先任が艦長に言った。


「しかし艦長、さっきはかなり危なかったですよ。さすがの私も生きた心地がしませんでした」


「先任、ちゃんと180でも耐えたじゃねぇか。なにしろこの艦は米帝様謹製だからな。出来が違うよ出来が」


「それを聞くとあまり嬉しくないですね……」


「そう言うな。それで助かったんだから喜ぶべきことだろう」


 実はあの時、彼らはガトー級潜水艦の最大潜航深度記録を大きく更新していた。他のガトー級で損傷し浸水しながらも150メートルまで潜って生還した例もあったが、実は伊五〇一もかなり危険な状況であったことは間違いなかった。


 その後、伊五〇一は更に6時間海中に留まった後に浮上した。そして今度は白昼堂々と浮上したままサンベルナルジノ海峡を超え、トラックに帰投した。


「はっはっは、こっちの方が安全じゃねえか。今度は星条旗も掲げておこうか」


「艦長、それは国際法違反では……」


「バレたら、そん時に仕舞えばいいんだよ」


 こうして板倉少佐は『不死身』の異名に新たな伝説を追加したのだった。

【あとがき】


板倉少佐はまさに「破天荒」って感じの人ですね。


モチベーションのアップになりますので、評価や感想をいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
さすがは酸素魚雷。 レキシントンⅡを撃沈できたのは嬉しいですね!! そして帰還した事も嬉しいです。
投稿乙でした。 日本海軍のハードウェア上の問題が次々に解決されてますので、 次は連合艦隊司令部に潜水艦参謀がいないなどのシステム的な問題が解決されればもっと戦えそうですね。 史実だともうすぐ回天という…
レキシントンを撃沈とはなんとも不運な名前になってしまいましたね。同じものを使えば日米で相応の結果にはなりますよね。複数の潜水艦からならばもっと酷いことになってるでしょうね。
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