3/4
水平線
母が下船し、すべてが解決してしまった。結局自分が生きていた理由は母を探すためであったということに気がついた。自分の人生のはずなのに、自分のために使っていなかった。もう、母と会うことは無いだろう。もう、船で働くことはないだろう。もう、海で過ごすこともないだろう。「海で生きてきたのだから、山でノコノコ過ごすかな」と思いながら、船乗りとしての人生を終えた。その後の母は父を恨んでいた。もう死んでいることなど関係ない。借金を作り、霊感商法にハマっていた。闇金業者にまで手を出し、自己破産。その後父を恨みながら自殺したそうだ。その時の母は、保証人の欄に私の名前を書いていた。借金を肩代わりすることになった。それと同時に裁判所立てこもり事件の犯人の子供であることが世間にバレた。犯罪者の息子というレッテルを貼られながら借金を返済する日々を送る。そんな時ふと思った。「そうか、父の血を引いている私も恨んでいたのか。」と。自分を優先した人生を送ろうと思っていたのに。こんな人生無茶苦茶だ。船乗りを始めようと決めた海岸に来た。海はそんな人生の問題などちっぽけだと言うように僕を包みこんでいるようだった。
続く




