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第三話 フロンティア

朝。


舞洲鉄道運転司令室には、いつもと変わらない一日が始まっていた。


大型モニターには、舞洲本線、舞洲東線、空港線を走る列車が表示されている。


『舞洲本線、上り列車、定刻で舞洲中央駅を発車しました。』


『了解。』


『空港線、下り列車、舞洲空港駅に到着します。』


『進路確認。』


司令長は次々と入ってくる報告を聞きながら、列車の位置を確認していた。


数ヶ月前、台風によって大きく乱れた舞洲鉄道。


その時と比べれば、今は驚くほど穏やかだ。


しかし――。


司令長の机の上には、昨日から一つの資料が置かれている。


舞洲鉄道 新線計画。


その計画は、これからの舞洲鉄道を大きく変えようとしていた。


『司令長。』


『はい?』


隣の司令員が資料を持ってくる。


『昨日の新線計画について、追加の資料が届いています。』


『またですか?』


『はい。』


司令長は苦笑しながら資料を受け取った。


昨日だけでも大量の資料を確認した。


それでも、まだ新線について分からないことは多い。


『今日は何が書いてあるんでしょうね。』


『開いてみましょうか。』


二人で資料を確認する。


最初のページには、新線の概要。


次のページには、新駅の設備。


さらにページをめくっていく。


そして、一番最後。


そこに大きく書かれていた。


「FRONTIER」


『……フロンティア?』


司令長が読み上げる。


『これ、新線の名前ですか?』


司令員が尋ねる。


『そうみたいですね。』


資料には、新線の正式名称として「フロンティア」と記されていた。


『なんでフロンティアなんでしょう?』


『どういう意味なんでしょうね。』


司令長は少し考えた。


フロンティア。


それは、新しい場所や未知の領域を意味する言葉。


新しい路線。


新しい駅。


そして、舞洲鉄道がこれまで進んだことのない場所。


『……なるほど。』


司令長は資料を見ながら呟いた。


『この名前、結構ぴったりかもしれませんね。』


『確かに。』


司令員も頷いた。


その時、別の司令員が会話に入ってきた。


『フロンティアって、新線の愛称なんですか?』


『正式名称みたいですよ。』


『へぇ……。』


司令室に少しだけ新しい空気が流れた。


新線の名前が決まった。


これまで「新線」としか呼ばれていなかった路線が、初めて一つの名前を持った。


フロンティア。


それは、これから始まる新しい時代の象徴のようにも感じられた。


しかし、名前が決まったからといって、問題がなくなるわけではない。


『司令長。』


『はい。』


『フロンティアの運行本数、どうするんでしょう?』


『そこなんですよね。』


司令長は別の資料を取り出した。


そこには、新線開業後の利用者予測が書かれていた。


朝夕の通勤時間帯。


昼間。


そして、大規模イベント開催時。


時間帯によって利用者数が大きく変わる。


『イベントの日は、かなりの利用者が見込まれています。』


『新線だけで対応できますかね?』


『難しいでしょうね。』


司令長は路線図を広げた。


フロンティアは舞洲本線から分岐する。


ということは、フロンティアを走る列車だけを考えればいいわけではない。


舞洲本線を走る列車。


舞洲東線を走る列車。


空港線を走る列車。


それぞれの運転間隔を調整しなければならない。


『例えばフロンティアに列車を増やすと……』


司令長が路線図を指差す。


『舞洲本線との接続部分で、列車が集中します。』


『なるほど。』


『逆に本線の列車を減らすと、今度は既存の利用者に影響が出る。』


『じゃあ、直通列車を増やすのは?』


『それも一つの方法ですね。』


司令長はメモを取る。


新線を開業する。


それだけなら簡単に聞こえる。


しかし、実際には数え切れないほどの調整が必要だった。


列車。


車両。


運転士。


車掌。


駅員。


信号。


ポイント。


そしてダイヤ。


どれか一つでも上手くいかなければ、列車を安全に走らせることはできない。


午後。


司令長たちは、新線「フロンティア」の現地確認に向かうことになった。


まだ営業開始前のため、当然ながら線路には営業列車は走っていない。


建設が進む新しい駅。


真新しいホーム。


まだ完成していない設備。


そこには、これから多くの人が利用することになる新しい鉄道の姿があった。


『ここが新駅ですか……。』


司令長はホームから周囲を見渡した。


『まだ工事中ですが、かなり大きいですね。』


『完成したら雰囲気が変わりそうです。』


駅員が話す。


『この駅には、将来的に多くの利用者が来る予定です。』


司令長はホームを歩きながら、線路の先を見る。


その先には、まだ誰も乗ったことのない列車が走る場所が続いている。


『フロンティア……。』


司令長が小さく呟く。


新しい路線。


新しい駅。


そして、新しい利用者。


すべてがこれから始まろうとしていた。


その日の夕方。


司令室に戻った司令長は、再び路線図を見ていた。


『どうでした?』


司令員が尋ねる。


『実際に見てみると、やっぱり違いますね。』


『ですよね。』


司令長は笑った。


『あそこに列車が走る日が楽しみです。』


しかし、その直後。


別の司令員が一枚の資料を持って走ってきた。


『司令長!』


『どうしました?』


『フロンティアの開業に関して、新しい情報が入りました。』


『新しい情報?』


『はい。』


司令長は資料を受け取る。


そこに書かれていたのは――。


開業初日の特別運行計画。


そして、その内容を見た司令長の表情が変わった。


『……これは、かなり大変ですね。』


『ですよね……。』


フロンティアの開業初日。


それは、ただ新しい路線が開業するだけの日ではなかった。


舞洲鉄道にとって、これまでにない規模の運行が始まろうとしていた。


そして、その日は少しずつ近づいている。


司令長は資料を閉じた。


『準備を始めましょう。』


『はい!』


司令室に、新たな緊張感が生まれた。


舞洲鉄道の新しい時代。


その名は――。


フロンティア。


そして、その先に何が待っているのか。


まだ誰にも分からない。


第3話を読んでいただき、ありがとうございました!


今回は、ついに新線の名前が明らかになりました。


その名も――「フロンティア」。


「フロンティア」という名前には、これまで舞洲鉄道が進んできた場所とは違う、新しい領域へ進んでいくという意味を込めています。


そして今回は、司令長たちが実際に建設中のフロンティアを訪れました。


まだ完成していない駅や線路を見ながら、これからここを列車が走ることを想像する場面は、個人的にもお気に入りです


しかし、最後には開業初日の特別運行計画が登場。


フロンティアの開業は、どうやら普通の新線開業では終わらなさそうです……。


Season 2はまだ始まったばかり。


これからフロンティアが舞洲鉄道にどんな変化をもたらすのか、そして司令長たちは無事に開業の日を迎えられるのか。


次回もぜひお楽しみに!


それでは、第4話でお会いしましょう!

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