↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/8

第二話 新線計画

舞洲鉄道運転司令室。


朝。


大型モニターには、舞洲鉄道の全路線を走る列車の位置が表示されていた。


舞洲本線。


舞洲東線。


空港線。


朝のラッシュ時間帯ということもあり、モニターには次々と列車が表示されていく。


『舞洲本線、上り列車、舞洲中央駅を定刻で発車しました。』


『了解。』


『空港線、舞洲空港駅を定刻で発車。』


『了解。』


司令長は、いつものように各列車の位置を確認していた。


数ヶ月前まで、この司令室は台風の影響で慌ただしい状況になっていた。


しかし今は違う。


列車は定刻通りに走っている。


駅も正常に機能している。


まさに、いつもの舞洲鉄道だった。


『今日も問題なさそうですね。』


隣の司令員が言う。


『そうですね。』


司令長はモニターから目を離さず答える。


『……ただ。』


『ただ?』


司令長は机の上に置かれている一枚の資料を見る。


そこには、昨日初めて知らされたものがあった。


「舞洲鉄道 新線計画」


『これが気になります。』


『ああ……新線ですか。』


『昨日は概要しか分かりませんでしたからね。』


司令員も資料を覗き込む。


『今日、追加資料が届くんでしたっけ?』


『午後の予定です。』


『どんな路線になるんでしょうね。』


『それがまだ分からないんですよ。』


二人は路線図を見る。


現在の舞洲鉄道には、舞洲本線、舞洲東線、空港線の三路線がある。


そこに、もう一本の線が加わろうとしている。


しかし、どこから分岐するのか。


どこへ向かうのか。


駅はいくつあるのか。


まだ何も分からない。


『まあ、資料が来るまで待ちましょう。』


『そうですね。』


二人は仕事へ戻った。


午前中。


舞洲本線では、通勤時間帯の列車が次々と走っていた。


『舞洲本線、下り快速、舞洲中央駅を発車。』


『了解。』


『続いて普通列車が接近します。』


『進路確認。』


司令長は列車の動きを確認する。


一つの列車が駅を出れば、次の列車が入ってくる。


その列車が出れば、また次の列車が来る。


鉄道のダイヤは、一本一本の列車がつながってできている。


もし新線が開業すれば、このモニターに表示される列車も増える。


そして、それだけ運行を管理する仕事も増えることになる。


司令長はそんなことを考えていた。


昼過ぎ。


司令室に一本の電話が入った。


『はい、運転司令室です。』


司令員が電話を取る。


『……はい。』


少し話を聞いた後、


『分かりました。』


電話を切った。


『司令長。』


『どうしました?』


『新線計画の追加資料が届きました。』


『来ましたか。』


司令長は席を立った。


資料を受け取り、封筒を開ける。


中には、大量の書類が入っていた。


『……かなりありますね。』


『昨日の資料とは全然違いますね。』


司令長は最初のページを開く。


そこには、新線の正式名称が書かれていた。


「舞洲西連絡線」


『舞洲西連絡線……。』


司令員が名前を読み上げる。


『新しい路線の名前ですか?』


『そうみたいですね。』


次のページ。


そこには路線図が描かれていた。


司令長は路線図を広げる。


『……ここから分岐するのか。』


新線は、舞洲本線の途中にある駅から分岐する計画になっていた。


そして舞洲の西側を通り、新しく建設される駅を経由して、別の主要駅へ向かう。


『なるほど。』


司令長は路線図を指で追っていく。


『舞洲本線から分岐して……この駅を通って……』


『終点はここですね。』


『そうです。』


司令員が別の資料を取り出す。


『新駅は三駅みたいです。』


『三駅。』


『はい。』


路線図には、新たに三つの駅が記されていた。


『これだけ駅が増えるとなると、利用者もかなり増えそうですね。』


『そうですね。』


さらに資料を読み進める。


新線の目的も記されていた。


既存路線の混雑緩和。


舞洲西部地域へのアクセス向上。


そして、将来的な沿線開発。


『単なる支線じゃないですね。』


司令長が言う。


『はい。』


『舞洲鉄道そのものを大きく変える路線になりそうです。』


司令員も頷いた。


しかし、司令長が気になったのは別の部分だった。


『……運行計画は?』


『まだ詳細は決まっていないみたいです。』


『なるほど。』


司令長は椅子に座り直した。


『ここが一番大変ですね。』


『運行計画ですか?』


『はい。』


新線が開業すれば、当然そこにも列車を走らせなければならない。


しかし、車両には限りがある。


運転士にも限りがある。


駅員にも限りがある。


『例えば新線に列車を増やしたら、その分どこかの列車を減らす必要が出てくるかもしれません。』


『でも、利用者が増えるなら既存路線も減らせませんよね。』


『そうなんです。』


司令長は路線図を見つめる。


『だからダイヤ改正が必要になる。』


『大規模な改正になりそうですね。』


『かなり大きくなると思います。』


司令室では、すでに新線開業後のダイヤについて話し合いが始まっていた。


『舞洲本線から新線への直通列車を設定するのはどうでしょう?』


『それも考えられますね。』


『ただ、そうすると舞洲本線側の列車間隔が変わります。』


『じゃあ、新線専用列車を設定する?』


『車両が足りるか確認しないといけません。』


次々と案が出てくる。


そして、そのたびに新しい問題が出てくる。


司令長は資料にメモを書き込んでいった。


新線は、ただ線路を一本増やすだけではない。


駅が増える。


列車が増える。


運転士の仕事も増える。


そして司令室の仕事も増える。


夕方。


新線計画についての説明会が開かれた。


会議室には、運転司令だけではなく、駅員、乗務員、車両担当、設備担当など、多くの関係者が集まっていた。


前方のスクリーンに、新しい路線図が映し出される。


『それでは、舞洲西連絡線について説明します。』


担当者が話し始める。


『開業予定日は――』


司令長は資料に目を落とす。


そして、日付を確認した。


『……思ったより早いな。』


『そうですね。』


説明は続く。


新駅の設備。


信号方式。


列車の折り返し方法。


既存路線との接続。


そして、開業後の運転本数。


話を聞くほど、計画の規模が大きいことが分かってくる。


説明会が終わった後。


司令長は一人で資料を見返していた。


『これ、本当に間に合うんですかね……。』


司令員が苦笑する。


『まあ、まだ時間はありますから。』


『そうですね。』


司令長は最後のページをめくる。


そこには、新線の開業予定日が書かれていた。


『……ん?』


司令長の手が止まった。


『どうしました?』


『この日付……。』


司令員が資料を見る。


『新線の開業日ですよね?』


『はい。』


司令長は別の資料を取り出した。


そこには、数ヶ月後に舞洲で開催される大規模イベントの日程が記されていた。


司令長は二つの日付を並べる。


『……同じ日です。』


『え?』


司令員がもう一度確認する。


『本当だ……。』


二人の表情が変わった。


新線開業。


そして、大規模イベント。


数多くの利用者が舞洲を訪れる日に、新しい路線が営業運転を開始する。


しかも、新線開業に合わせてダイヤ改正も予定されている。


『これは……かなり大変な一日になりそうですね。』


司令長は黙って路線図を見る。


『ええ。』


しばらくして、司令長は静かに言った。


『でも、まだ先の話です。』


『そうですね。』


『まずは新線を安全に開業させること。』


司令長は資料を閉じた。


『それが私たちの仕事です。』


その日の夜。


舞洲本線を走る最終列車が、駅へと向かっていた。


いつものように、列車は走る。


しかし舞洲鉄道の未来には、今までとは違う一本の線が加わろうとしている。


そしてその開業日は――。


大規模イベントと重なっていた。


新線計画は、まだ始まったばかり。


司令長たちを待ち受ける試練も、まだ誰も知らない。


第2話を読んでいただき、ありがとうございました!


今回は、ついに新線計画の詳しい内容が明らかになりました!


新しい路線に、新駅が3駅。

そして舞洲本線との接続など、舞洲鉄道にとってかなり大きな計画になっています。


さらに、新線が開業する日と舞洲で開催される大規模イベントの日程がまさかの同日。


これは司令長たちにとって、かなり大変な一日になりそうですね……。


Season 2はSeason 1よりも長く、30話前後の長編を予定しています!


その分、一つ一つの出来事をじっくり描いていきたいと思っています。


第2話も約3000文字となりました!


これから新線開業に向けて、ダイヤや車両、駅など、いろいろな部分がどう変わっていくのか。


ぜひ次回もお楽しみに!


それでは、第3話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。