第4話 ギルドの扉の向こうで
俺はメリアと手を合わせて、パン粥を頂くことにする。
メリアが小さな両手で木のスプーンを握り、アムッ、と一口パン粥を食べた瞬間――その青い瞳が、まるで夜空の星のようにキラキラと輝き始めた。
「おいちい!」
そう言って、不器用ながらもどんどんスプーンを動かし、メリアは夢中で口にパン粥を運んでいく。
口の周りに少しお粥をつけながら頬張るその姿を見て、俺の心はじんわりと温まっていった。
パーティーの雑用として義務で作る飯ではなく、純粋に誰かに喜んでもらうために食事を作るというのは、やはり気持ちが良いものだ。
そうして俺も、スプーンを自分の口に運ぶ。うん、素材の旨味も出ているし、味の深みも完璧だな。
メリアと向かい合って楽しく食事をし、俺は深い満足感とともに、器を空にする。
「ごちしょうさまー!」
メリアはぽっこり膨らんだお腹をさすりながら、満面の笑顔でそう言った。
俺も食べ終わって、ふうと温かい息をつく。
「お粗末さま、上手にご飯食べられたな」
布巾で口元を拭ってやりながら、俺は次の課題について考え始めた。
朝食を食べ終わったし、次はメリアの服とか日用品を買いたいな。
今のメリアも破壊的に可愛いが、ずっとこのままで外を歩かせるわけにはいかない。
だが、三歳児の女の子に合う服って、一体どういうのを買えばいいんだ?
サイズ感も分からないし、肌に優しい素材の見分け方も知らない。
俺は子供を育てた知識もないし、前世の社畜としての経験も、育児においては全く役に立ちそうになかった。
俺は子供とかそういった知識もないし、前世の経験も全く役に立ちそうにない。
「うーん、どうするかな……」
俺が腕を組んで本気で迷っていると、ふと、とある人物の顔が頭に浮かんだ。
そうだ、いつも世話になってる冒険者ギルドの受付嬢、ミナさんに聞いてみるか。
面倒見の良いあの人なら、女の子の育児に関する知識や、子供服の店を教えてくれるかもしれん。
そう思い立ち、俺は椅子の上で足をブラブラさせているメリアに視線を移す。
「メリア、これからお外に服を買いに行こうと思うんだが、お出かけしても大丈夫か? 疲れてないか?」
「だいじょーぶ! おふく、かいたい!」
メリアは両手をピンと上に伸ばし、元気一杯に返事をした。
これなら、外に連れ出しても良さそうだな。
俺はメリアを革のコートでしっかりと包み込むと、助けを求めて冒険者ギルドに向かうのだった。
◇ ◇ ◇
「ここ、こわいでしゅ……」
「大丈夫だよ。まあ、怖い顔をしたおじさんたちが多いけどな。パパが一緒だから安心しろ」
俺の大きな革のコートにすっぽりと包まり、不安そうに見上げてくるメリアの小さな頭を優しく撫でながら、俺は冒険者ギルドの重厚な木扉を押し開けた。
カランカラン、と無骨なベルの音が鳴り響く。
朝一番だというのに、ギルド内にはすでに特有の熱気と古臭い匂いが充満していた。
革鎧の匂い、安いエール酒のアルコール臭、そしてむさ苦しい男たちの汗の匂い。
朝っぱらから木製のジョッキを片手に酒を飲み、ゲラゲラと下品な笑い声を上げている荒くれ者たちの姿があちこちに見える。
壁一面に張り出された巨大な依頼ボードの前には、すでに多くの冒険者たちが群がり、血走った目で次は何の依頼を受けるか、どれが一番稼げるかと品定めをしているようだ。
俺はそんな喧騒を横目に、メリアをしっかりと抱き抱え直した。メリアは怯えたように俺の首にギュッとしがみついている。
とりあえず、馴染みの受付嬢のもとへ真っ直ぐに向かおうとした、その時だった。
「おい! ガルド! お前、あの『輝きの剣』から追放されたって噂、本当か!?」
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