↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈んだ船の後継者  作者: ライブイ
3章 森へと続く道
41/62

38話 危険な植物

 エニアについて六日目。薬草採取の依頼という戦闘能力があまり役に立たない仕事に四苦八苦しながらこなしつつ、時間も中途半端なので今日以降はパスファルが来るまで仕事は受けないことにした。


「ねえ。錬金術ってどうやるのか見せてもらってもいい?」


 アレットは一人でポーションや自作の魔術が付与された矢をいじって遊ぼうと考えていたが、この日は珍しくソフィアが食いついてきた。


「いいよ!やってみる?」


 錬金術とは術者が習得している属性魔術を武器に付与する術と、素材の魔力に属する魔術効果を刻み込む二つに分類される。

 一つ目は錬金術師の属性魔術と錬金術の腕で決まる。アイテムに付与する魔術効果の上限が属性魔術レベルで、自分が習得している属性魔術をどの程度反映させられるのかが錬金術スキルのレベルで決まる。

他には素材だ。魔術の効果の付与されるアイテムとその触媒だ。剣や槍などの武器にせよ、ランプやレンジなどの日用品にせよ、アイテムそのものに魔力との親和性が高いものを使用すると、上限を超えてより魔術の効果を高めることができる。

 二つ目は素材の魔力のみで魔術効果を発現させる方法だ。こちらは術者の属性魔術に関係なく、錬金術スキルのレベルと触媒と素材で決まる。基本的に竜などの高位の魔物やミスリルなどの上等な金属であれば同じく上等なマジックアイテムになるが、ゴブリンなどの低位の魔物や鉄くずであれば下級のマジックアイテムになる。

 そして魔術を刻む触媒、魔石を砕いて粉末状にしたもので文字や文様を描き素材の持つ魔力の引き出し方向を決めてマジックアイテムに変化させるのだ。


 どちらの方法にせよ、すでに属性魔術と魔力操作を習得しているソフィアは錬金術を習得するための前段階を終了しているといえる。


 アレットは遊び相手が増えたと大喜びで教えることにした。


「じゃあ早速まずはこの魔石を砕いて、その後にこの薬草に混ぜこねてみて。これが一番簡単な習得方法だから」


 アレットは早速腰に着けたアイテムポーチにため込んだ魔石と魔力を含んだ薬草を取り出して宿の床に並べ始めた、すり鉢で魔石を磨り潰してハンバーグのようにこねて混ぜる。無駄は多いがほぼ確実にマジックアイテムができるため、アレットの故郷では初心者が最初にやることとして教えられていた。


 アレットは水属性魔術と錬金術を高いレベルで習得しているので、水属性の武器や火属性の素材を使い熱源となるマジックアイテムを制作できる。その上最近はユニークスキルの虚実夢幻を用いて、習得していない火属性や空間属性、時間属性や闇属性のマジックアイテムも作れないかと試行錯誤している。

 つまりレベルが違うのだが、アレットにとって錬金術は故郷で親に学べと言われて学ばされたものであり、嫌いではないが、一緒に勉強してくれる相手がいたほうが楽しいのだ。


「……無心でごりごりやるのも、意外と楽しいわね」

「でしょ」


 何事も最初に学ぶ基礎は地味であり集中力のないものは大人でも投げ出すが、ソフィアは単純作業にも楽しみを見出したようで楽しそうだ。


「‥‥‥‥‥‥」


 しかしそうなると楽しくないのはモアナだ。戦闘スタイルは肉弾戦、しかも飽きっぽくてめんどうくさがりなモアナは錬金術には全く興味がない。いつもなら姉妹のように育ったソフィアか最近仲良くなれた気がするアレットのどちらかが一緒にいた。しかし今は同じ部屋にいるのに全く入れない話をしている。

 面白くない。


「……依頼、受けてくる」

「今から?夕飯までには帰ってきてね」

「モアちゃんなら大丈夫だろうけど、気を付けてね」


 話に入れないのがなぜかいたたまれなくなり、冒険者ギルドで簡単な依頼を受けるという口実で出ていこうとするが、二人はモアナを心配する様子は無い。いつもならば信頼の現れと受け取るそんな軽い言葉も、心がささくれている今のモアナには早く出て行けという言葉に聞こえてしまう。


 部屋から出ていく足取りは、どこか逃げるようだった。





――どうしようかな


 一人で冒険者ギルドまでやってきたモアナは、うすぼんやりした目で依頼ボードを見ていた。


 部屋にいるのがつらくて出てきたので、あまり計画性はない。なんとなく今日終わるやつ、危ないやつ、危険なやつ、安全なやつと取り止めなく視線を動かしている。


 ここ数日で専門的な採取依頼をこなしている。大抵の街で依頼される採取依頼はそこが魔物の生息地という危険地帯だからであり、薬草の採取それ自体は非常に簡単だ。

 しかしこの街の採取依頼は非常に難易度が高い。根っこを土ごと救い上げ持ち帰ればいいのではない。採取の手順を間違えると麻痺毒や神経毒を発するなど魔物と殺し合う以上に危険な薬草が多い。


「ねえ、今から植竜の採取依頼を受けるんだけど、一緒にどうかな?」


 一瞬混乱したが、どうやら自分のようだと顔を向けると、知らない青年が立っていた。


「えーと、君、この間うちの屋台に来た子だよね。あの人種とエルフの子たちと一緒にいた。数日前にとんでもなく優秀なちびっこ冒険者が現れたと聞いて君たちのことだとピンと来てね。知ってるかい?植竜」

「……より高位の魔物に擬態する特殊な魔物の一種で、竜に擬態する植物系の魔物。ランクは最低で4」


 この間のパンを売っていた屋台の人かと思い至る。


 モアナはこの数日しか依頼で街の外に出ていないので、まだ遭遇していない魔物の一種だ。調べ物は全てアレットが担当しており、モアナはよく知らないが、たしかアレットがこの町の近くにいる危険な生き物について教えてくれた気がする。


「そうそう。今回は討伐と採取を兼任していてな。討伐だけで金貨十枚!持ち帰った分だけ上乗せもあってな。今は2,3人ほぼ助っ人を探しているんだ。これでもC級冒険者なんだぜ!」


 C級冒険者と聞いてモアナの目が少し見開く。たしか才能のない一般人が堅実に活動すれば、引退する三十代後半のころにD級になると聞く。青年といえる年でC級ならば才能があるのだろう。


「……なんで私?」


 モアナは端的に疑問を聞く。最近この街に来たばかりの自分を誘うよりも、この街に長くいる人のほうがよりこの街の冒険者ギルドの依頼に精通しているだろう。


「俺もこの街に来たばかりでな。知り合いを増やしているところなんだ。いまはD級のおっさんを二人案内人として勧誘したんだが、念のため戦力を増やしておきたくてな。戦えば俺が勝つが、お嬢ちゃんは俺の一個下くらいには強そうだ。

 どうだ?他のパーティーに参加するのもいい経験になるぜ」


 いい経験になる。優秀になれる。二人ももっと自分を見てくれる。

 一瞬でそう考えたモアナは一も二もなくうなずいた。


はやくなろうっぽい人間社会の話が書きたい。貴族とか学校とかそういうの。

まあ隠居した最強やら神秘の森というなの田舎にいるせいなんだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。