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沈んだ船の後継者  作者: ライブイ
2章 風の都と呪われた弓使い
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22話 三人の日常

最近水曜日に更新しているので、水曜日に更新します。……というとさらに遅れそうなので、日曜日に更新したいと言い続けます。

商業ギルド。それは商売に携わるものが所属するギルドだ。商業ギルドは冒険者ギルドとは名前こそ似ているがその役割は全く異なる。商業ギルドとは、商人たちが国に納める税金を回収するための組織である。


 少数で雑貨店を経営する雑貨商、大人数で街から街へ移動しながら商売をする旅商人、個人で屋台を経営する料理人。路上に布と商品を広げて物売りをする者。継続して安定した生活を送れるだけの稼ぎがある商人から税金を回収ための組織だ。国々と商人たちの中を取り持つ組織と言い換えることもできる。


 税金を取る代わりにその店は国家が正式に認めた店であるので、信頼性は確実のものとなる。正確には国家という後ろ盾を持つ組織のだが、それに不満を言えるものがいないという点では同じことだ。


 商業ギルドとは元はギルドという名前が表すように複数の主任がお互いに協力し合うために作られた商人たちの組合を指し、一つの組織を指す言葉ではなかった。しかし、ある時力をつけすぎた商業組合が国に目をつけられ、争うよりも協力し合う方が大きな利益になると考えた当時の者たちが現在の商業ギルドを設立したと言われている。


 ある日アレットは、そんな商業ギルド所属の錬金術師に要件があってやってきた。


 アレットは錬金術が使える。そして錬金術の基礎であるポーションの作成は日課として行っているので文字通り売るほどあるのだ。

 しかしどこの誰とも分からない子供が商店に買ってくれと持ち込んでも、ポーションの品質が分かるものは店頭には基本的にいない。物の売買が仕事なので、鑑定眼が優れた者は店の裏にいるのだ。基本会えない。


 そのためアレットは自分で作ったポーションの品質を保証してもらうために商業ギルドに足を運んだ。


「じいさん。このポーション俺が作ったから値段付けてくれ」

「いや誰じゃ失礼な小僧」


 アレットは商業ギルドの職員に案内され、建物の奥まった日の差さない部屋に通された。

 

 そこにいたのは大量の髭を蓄えぎょろぎょろした目をした老人だった。アレットは一目見て神経質で気難しい老人だと思ったが、別に気にしなくてもいいかと無視した。


「なんじゃ、ポーションの品質じゃと?儂はそんなものを見てやる義理はないぞ。なぜこんなガキを通したんじゃ」

「いえ、それが、この少年は錬金術でポーションを自作し商売をしたいが、品質が分からないものを並べても売れないから、ポーションの品質や錬金術の腕前が分かる人に合わせてくれ。それは新米商人に対する支援の一環の範囲だろうと……」


 気難しそうな老人とアレットを案内した職員が話している隣で、アレットはうまくいったならいいなとじっと立っていた。


 商業ギルドの事業の一つに、新米の商人に対する支援がある。なんの後ろ盾もないぽっと出の人間であっても商売は自体はできる。例えば屋台。冒険者ギルドの討伐証明部位であるゴブリンの耳をミンチにして作るゴブリンの肉団子、飲食店で出る食べ物の捨てるほどに細かい切れ端から作るケバブ。街のチンピラでも人手があるならば派遣会社のように土木工事に部下を派遣する。

 

 そういった利益の少なく不測の事態一つでつぶれる事業であっても、商売であるならば商人として商業ギルドに登録することができ、後ろ盾も横もつながりもない新米商人にも継続して商売をしてもらうために提携できる人たちを紹介してもらうことができる。


 アレットはその新米商人に対する支援を拡大解釈して、商業ギルドが把握している中で自分の錬金術の腕を保証してくれる人物に自分を紹介してくれないかと話を持ち掛けた。


 通常は不可能だが、自分が子供であることを利用して、受付の職員が泣き落としで融通を利かせてくれそうな人物を見つけて話を持ちかけると、ちょうどいまこの建物にいるからと案内してくれた。


 実はその時に建物内に腕の立つ錬金術がいることをアレットはユニークスキル【知恵の書】で把握していたので計算のうちなのだが。


「おい小僧。今ここでポーションを作ってみろ」


 アレットが黙って立っていると、老人と職員の話が済んだようだ。職員はアレットに応援するように手を振って部屋を出ていった。アレットはその後ろ姿に、信じてくれてうれしいけど自分はまだあなたに腕前を見せていないのにそこまで信用されてもと微妙な顔をしたが、信じてくれるなら素直に喜ぶ出来だよなと思い直した。


 アレットがアイテムポーチから故郷で使っていた道具を使い独特な方法でポーションを作ると、老人は目を見開いて驚いた。


「お主。どこで錬金術を学んだのじゃ。品質はこの町の錬金術師の中でも上位に入るが、そんな作り方は初めて見るぞ。錬金術と魔術を組み合わせるなど、聞いたこともない。出来上がるマジックアイテムの効果がぶれてしまうじゃろうが」

「俺の故郷では錬金術は魔術を使ったほうが効果が増幅すると教わったんだよ。ポーションを作る場合は火属性魔術や土属性魔術だと難しいけど、俺のように水属性魔術をつかうなら比較的簡単に上級のポーションが作れるって」

「むぅ……なるほど、その方法は……。いや、お主も錬金術師なら秘術や奥義は付き物じゃな。よかろう。お主の錬金術の腕前はこの錬金術師スタンが保証しよう。

 その代わりというわけではないが、今後も儂の元に遊びに来るといい、お主とは錬金術について教わりたいことが山ほどできた。そのマジックポーチとかな。もちろん儂もお主に錬金術を教えよう」


 アレットは当初の目的以上の収穫に大満足して帰路についた。


 本来商業ギルドから紹介される露店の出す位置やマジックアイテムの買取りをしている商会などを聞き忘れたが、また今度でいいやと珍しくすっぽかすくらいその日は上機嫌だった。





「パンを食べるべきか、ケーキを食べるべきか、これは私の人生で一番難しい」


 アレットが商業ギルドに行っている間、エルフの少女ソフィアは一人でカフェに来ていた


 ソフィアは三人の中で唯一これと言える目的を持っていないが、いままでできなかった女の子らしいことがしたいなと漠然と考えていた。

 いままでってまだ八歳だろうとアレットがいればツッコミを入れただろうが、ソフィアからすれば自分の今までの人生全てなのだから、変だとは思っていない。


 そして女の子といえばおしゃれな服を買い物すると考えて商店街に足を延ばした。


 珍しくモアナは用事があるとかで一人で買い物することになったのは残念だが、精いっぱい楽しもうと洋服巡りをした。


 そして昼下がりに一人で買い物って面白くないなと思い始めたころ、甘い匂いに誘われカフェに突撃した。


(パンなら宿屋で出てくるんだし、ケーキを食べるべき。いや、こんなにおしゃれなお店にあるパンならケーキと同じくらい美味しくておしゃれなパンかもしれない)


 この世界では一般的に文字で書いてあるメニューが一般的で、写真や食品サンプルは存在しない。店員さんに聞けばいいのだが、ソフィアはまだ人見知りであるため、一人で買い物や食事はできるが最低限の事務的な会話しかできなかった。


 結局パンとケーキをどっちも食べた。





 アレットとソフィアがそれぞれ日常を満喫している中、猫獣人の少女モアナは森で超巨大キノコと熱い戦いを繰り広げていた。


迷走している気がする。書きたい主軸はあるが、そこまでの間が難しい。

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