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沈んだ船の後継者  作者: ライブイ
1章 目覚めの島
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13話 決着

 アレットは自分のことを弱いと認識している。子供にしては強いが、あくまで一人前の大人一人分の強さしかないと。そんなアレットが強くなる方法は大きく分けて三つある。人間の強みを生かせばいいのだ。

 

 一つ目は技術。すなわちスキルを磨くこと。アレットが身に着けている戦闘系スキルの中で最も得意なものは【水属性魔術】だ。これと【弓術】を組み合わせて戦うことを最も得意とする。この二つのスキルをさらに極めることでさらに強くなれる。

 しかし、すぐに上達することは現実的ではない。まだ八歳のアレットは将来的には上位スキルを身に着けることもありうるが、いますぐ目の前の敵と戦えるようになることは不可能だ。


 二つ目は連携。すなわち仲間と力を合わせること。数というものはそれだけで力になる。連携し数の力を最大限高めあうことは人間の一番の強みだ。

 一人では適わない敵でも信じえる仲間とともに力を合わせて戦う。現実では起こりえない綺麗ごとだが、それを実現させたとき、人間は神の定めた運命さえも覆すのだ。

 だが、今はこの方法は取れない。二人を守るために一人で飛び出したというのに、自分と違い一撃でも食らえば死にかねない二人を頼るなど本末転倒だ。


 三つめは一番簡単で手っ取り早く、そして確実な方法。アレットが取った手段は、より強い武器を使うことだ。


 錆びついた鈍らの剣よりも名工の鍛えた剣を使用するほうが強い。人間であれば誰にでもわかる。


「双弓装着」


 アレットが取り出した武器は、アレットの故郷がクロスボウの延長として開発したものだ。


「魔術弓起動」


 かつてのアレットには使いこなせなかったが、前世の記憶を思い出したアレットには、それは地球でいう銃によく似ていると気が付いた。


「魔力接続。魔術矢製造。循環開始」


 そんな特殊な弓を両腕に身に着け、アレットは敵の前に飛び出した。


 飛び出したアレットに無数の刃が飛んでくるも、アレットに双弓から無数の矢を撃ちだし全ての刃を打ち落とす。


(よし!今なら使いこなせる!)


 後方の二人と前方の男が目を見張るのを感じながら、自分の武器を再確認する。


 アレットが取り出した武器は魔術弓と呼ばれる、矢を装填し放つ工程を魔力操作で行うクロスボウの様な弓だ。


 クロスボウはこの世界では昔から存在していた。この世界には武技という魔力を消費して放つ高度な技が存在する。しかし武術を身に着けるのは時間がかかり才能にも左右されるため、引き金を引けば矢が飛んでいき一定の効果が望めるクロスボウは昔から使用されていた。地球では銃の前身でもある。


 しかし、クロスボウが主要武器にはならなかった。なぜなら武技が使えないからだ。

 身に着けた武技はどんな武器でも使用できるが、引き金を引くだけで使用できてしまうクロスボウでは武技を使用する余地がなく、その武器の性能以上の効果は引き出せない。


 しかしアレットの故郷では弓そのものに発射機能を着けるという点に注目し改良を重ねた。


 そしてできたのが、魔力で矢を創り装填し、魔力操作で極小の魔力爆音を起こし発射する武器だ。


 弓は本来遠距離で使用できることが強みだが、この武器は矢を魔力で構成しているため遠距離では使用できない。加えて矢の製造と発射を魔力で行っているため、魔術師よりも消費魔力が多くなり普通の弓術士には魔力がすぐに底をつき使用できない。


 そのかわりに、使いこなせれば一秒間に数十発数百発数千発という圧倒的な連射性能を誇る弓。それがアレットの切り札だ。


 弓も魔術弓を同じ【弓術】の範囲内だ。武器の規格が変わり不完全な動きになるが、それを思考したものを現実にできるユニークスキル【思考存在】で補完する。前世の記憶にある銃やフィクションにしか存在しない弓の使い方を参考に現実に反映することで今まで使いこなせなかった魔術弓を使いこなすことに成功した。


 アレットは一秒間に数十発の矢を飛んでくる刃にぶつけ男の攻撃を逸らしていた。アレットの製造する矢は持続時間を可能な限り削っているため一本一本にかかる魔力は少なくて済んでいる。逸らすだけなら十分だ。


(焦ることはない。相手は目に見えて体が薄くなっている。攻撃に使う魔力と体を構成する魔力は同じものだ。俺の魔力が尽きるよりも早く相手が消滅する。それにっ!)


 男が遠距離に刃を飛ばす武技を止め格闘術の構えをとる姿をみて、アレットは矢を一点に集中させる。数十発の矢を同じ場所に打ち出すことで貫通力を上げたのだ。


 男は思考能力が下がっており、アレットに近距離で攻撃するときは一直線に突っ込んでくる。


 男の拳とアレットの矢が衝突する。アレットは衝撃波を利用して移動し、空中で回転しながら弓術の【曲射】で攻撃し、水属性魔術の【水重呪】で相手に鈍化の呪いをかけ、【身代わりの水人形】を使い撹乱する。


 男は魔力で構築されており、身に着けている籠手さえ魔力で出来ている。矢が体に当たろうと籠手や服に当たろうとその耐久力は変わらず傷つき、その傷を治すためにまた魔力を消費し、結果相手が消滅するまでの時間が短くなる。


(よし!これなら勝てる。精霊術は矢で逸らして格闘術は矢を集中させて相殺する。最悪でも【神鉄骨格】を使えば相手の拳にも耐えきれる。

 このまま時間切れを狙えば勝てる)


 しかし、アレットは気を緩めたわけではなかったが、男の次の手には度肝を抜かれた。


「生まれろ【狐火】」


 その言葉とともに一気に数百の火の玉が空間を埋め尽くした。


(なっ!そんなことをすれば一気に体を構築する魔力が底を衝くはず……。減ってない!?そんな馬鹿な!?)


 男は今までで最大規模の精霊術を使用したにもかかわらず、男の体を見るに魔力を消費していないのだ。


 ではどこからそんな魔力を持ってきたのかをと考えていると、ふと空間中の魔力が減っていることに気が付いた。


(まさかこいつ、自分が使って空間中に散った魔力から魔術を発動したのか!?)


 武技も魔術も魔力を消費して発動するが、消費した魔力はこの世界から消えて無くなるわけではない。魔力は空間中に散り空気に溶けてなくなるのだ。そしてそれは一瞬で起こるわけではなく、ある程度は残り香の様な特徴を持つ魔力が残る。


 この男は、そんな残り滓の様な魔力から新たな魔術を発動したのだ。


 アレットは想像を絶するほど高度の精霊術に絶句するが、即座に次の手を打つ。まだ火の玉は作られただけだが、アレットを狙って打たれてもその勢いは止まらず後方の二人も確実に焼き殺すことは想像に難くない。


 時間切れを待つ猶予はない。アレットは相打ち覚悟で勝負に出ることにした。


「【神水創造】、【魔矢創造】、【魔力圧縮】、【限界突破】……。」


 神から加護を受けた時の魔力を【思考存在】で再現した魔力で神水を創り、神水で無数の矢の形にし、無数の矢を一本の矢に圧縮し、限界を超えて全ての魔力を込める。


 それをゼロ距離で撃ち込むために【神鉄骨格】で全身の骨を強化し、男に突撃する。


 男の使用した無数の火の玉がアレットに襲い掛かり、アレットと衝突する瞬間に神水の矢を放つ。


≪【水属性魔術】、【弓術】、【限界突破】、【魔術制御】、【神鉄骨格】、【思考存在】、【魔術耐性】、【物理耐性】スキルのレベルが上がりました≫

≪【高速思考】、【並列思考】スキルを獲得しました≫





 アレットが目を覚ました時、魔力は底をつき、弓は壊れ、体は焼死寸前ながらも生きていることに安堵した。 

 男は消滅し、自分が守ろうとした二人も重度のやけどを負いながらも生きている。


 魔力回復薬を飲み二人を治療しながら、激戦を超え守りたいものを守れたことを噛みしめていた。

守り切れてないじゃん。死にかけてんじゃん。


俺、普通の冒険小説を書きたい。冒険者になって、魔物と戦って、冒険して、お金稼いで、商売して、恋愛も書いてみたい。

この小説もいずれそういう展開書きたいんだけど、現状全然違うな。どうなっているんだろう。


インフレしていくけど今度素でこいつ以上のステータスは出てきません。

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