↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
20/350

草花を愛で景色をいとおしむVS水泳部女子を愛で体操部他女子をいとおしむ。ですか?

前もって顧問に申請すると、写真部は金曜日だけ理科準備室の暗幕のある小部屋が借りられるんだ。

暗室って事で。

けど、今日は曜日が違うんで、いつもの1階の多目的室で活動だ。

一応ここも暗幕があるから暗室っぽくもなるけど現像は無理。

僕らは首からカメラぶら下げて校内をうろうろするのが主な活動だ。

ハッシーとワダマサは掛け持ちの運動部に行ってるからいない。

アッくんは3年生を追い出す会の実行委員の仕事でいない。

部長と記録係なんか今年になってからここで見たことない。

居るのは、僕、コマッちゃんと、臨時顧問のババァこと馬場満子(ババミツコ)国語教師の3人だ。

マサキチくんは、ババァに睨まれてるんで、必ず遅れてくる。

『写真に残した、草花を愛で景色をいとおしむ』とかほざくババァと『写真に残した、水泳部女子を愛で体操部他女子をいとおしむ』を人生の命題にしてるマサキチくんじゃ、スタンスが違いすぎる。

それにババァ、風紀委員会担当代理だ、女子生徒から『盗撮された』『変なコラ作られた』とかのマサキチくんの活動実績が、耳に入って来るんじゃないかな。

「先生、昨日からの引き続きでしばらく動物写真を撮ろうと思うんですが」

「それは良いですね。昨日の野鳥以外にも撮ってみなさい。我が校には県指定校にしかない、情操教育のための飼育園もありますから」

コマッちゃんが続けた。

「去年の秋に、文化勲章を受賞なさった写真家の江口ちかぶ(エグチチカブ)先生の【愛しきケモノ】を図書室から借りて来ました。この写真集を参考にしたいのですが」

「よろしいでしょう。飼育園管理の担任先生に話しをしておきます。皆さんは活動の後はきちんとしておかえりなさい」

満足そうに頷く。

んで、のっしのっしと巨体を揺らし後ろの出入り口からババァは職員室に帰ってくのだった。

「ありがとうございました」

コマッちゃんがお見送り。

引き戸を閉めた直後。

コマッちゃん掃除用具入れの扉をいきなり開ける。

「何するんですか?」

平坦なマサキチくんの声がするぞ。

そんなとこ、いたのた。

「何してるんた?」

上ずった声でコマッちゃんが聞き返した。

「ちょっと瞑想しただけなのに、聖なる力がみなぎり、僕の中の野獣がいきり立って暴れてるんです。だからポーに、誰が主人だか解らせるために、僕の手でしごいて調教してただけです。内包した熱いたかまりを迸らせれば、野獣はおとなしくなるんですから。ここには焼くべき敵もいませんし」

【聖なる力】【みなぎり】【僕の中の野獣】【いきり立っ】【暴れる】【ポー】【誰が主人か】【解らせる】【しごいて】【調教】【内包した】【熱いたかまり】【迸らせれば】【おとなしく】【焼くべき敵】マサキチくんは通常運転の模様。

「ここを雑巾臭い上に烏賊臭くして更に栗の花の香りにまですんなよな。何するんならそこのトイレで何してこい」

「……じゃ」

「見えてるから、しまって行け!」

「大丈夫。別に、気にしてません」

「こっちが嫌なんだから、しまえ」

「廊下の反対までなんだから平気です」

「しまえよ!」

マサキチくんの格好の事を言ってんのかな?

コマッちゃんのからだの影で僕んところからはマサキチくんは脚ぐらいしか見えんが、どんな格好?

「何をしまうしまわないですか!飼育園の……使用……許可……とれま……した……」

いきなり引き戸が開かれた。

ゲェー、ババァ再臨。

「あっ、馬場先生」

コマッちゃんが珍しくおどおど後ろにさがった。

あ、マサキチくんが見えた。

後ろ姿だが変なとこないぞ?

何をしまう?しまわない?

「…………」

無言でババァ見上げるマサキチくんの制服の後ろ姿。

視てるの不細工ババァの顔だろな。

「…………」

無言で見下ろすデカブツババァ。

すんげー、目、見開いてくんですが。

こわ。

視てるのは、マサキチくんの顔……じゃないなぁ……もっと下。

マサキチくんのベルトのあたりとかその辺、どっか一点視て、固まってるババァ。

こえぇ。

何かだんだんババァの顔が赤く……怒り心頭?

コマッちゃんとマサキチくんが騒いでたからか?

こえぇよぅ。

「許可出したぞ。そこで、飼育園担当の俺が、馬場先生に会えてお前らラッキー……だった……」

赤い顔の置物んなったみたいなババァの後ろから、お気楽な体育教師の声がして、ババァの肩からひょっこり担任先生、顔を出して……固まる。

担任先生は青ざめる。

赤と青だな。

「……」

コマッちゃんがだまって後ろからマサキチくんの肩押した。

マサキチくんはゆっくりと向かいのトイレに。

「……生理現象。生理現象だから仕方ないんです。馬場先生、保健体育の教師として言います。理性ではどうしょうもない生理現象です。分かりますね、生理現象です。繊維なんかの刺激での摩擦による激痛を避けるために、ああしておいた方が良い場合があるんです。保健体育教師が言いますよ、どうしょうもない生理現象があるんです……」

固まってる赤ババァに『保健体育教師が言います、どうしょうもない生理現象です』と担任先生が催眠術のキーワードみたくリフレイン。

そう言いながら、ババァを歩かせ職員室方面に二人で退場。

10分位で、マサキチくんはトイレから出てきた。

いつものボサボサ髪に愛嬌がある顔。

まあ、僕もそんな感じだがな。

通常の制服姿上履き。

「じゃ、撮影にいって直帰します」

普通に薄ら笑いを浮かべてデジタル一眼レフを首からぶら下げて出ていく。

マサキチくんは通常運転。

何も変わってないんだが。

コマッちゃんの顔は真っ青。

「コマッちゃん、早退する?」

「大丈夫。飼育園行こう」

僕らは体育館横の飼育園にゴー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。