セドの居城
表現がおかしいところがありまして訂正致しました。
短めで申し訳ありませんがお付き合いくださいませ。
俺達はセドの居城を目指し、紫雨の森を歩いている。
「ブラッド〜。お城まだ〜?」
フェンリルは甘えたような声を出す。
確かに目的地迄の距離が判らないのは、なかなかに辛いものである。
「ああ。そうか。フェンリルもヘルも、セドの居城に行くのは初めてか。前、セドに会ったのは森の浅いところだったからね。」
ブラッドの話によると、森の深部にある小高い山に居城あるらしいのだが、どんなところだろうと城なんて構えてたらバレバレなんじゃないか?
「ほら。あの山だよ。」
「え?城なんてないじゃん。」
俺は思わず声を出した。
「あの岩が城への入り口だ。」
ブラッドは麓にある岩を指差し近付いていく。
この岩に魔力を手を当てて魔力を流し込むと入り口が現れる仕組みらしい。
「二人とも少し離れているんだ。岩が動くからね」
ブラッドが魔力を流し込むと岩は音を立てて動き、洞窟の入り口が現れた。
その洞窟の中を歩いて行くと徐々に明るくなってくる。
左右を見ると鉱石らしい物が光を放っていた。
(これ…オーク村に欲しいな。)
オーク村は照明がない。
蝋燭のようなものはあるのだが、この鉱石はそれよりもずっと明るい。
この鉱石をいかに戴こうか思案していると鉄の扉が見えてきた。
この扉を開けるとセドの居城になるのであろう。
《ギイイィィィ》
冷たく重い金属が軋む音を立てる。
扉の奥には人工的な世界が広がっていた。
(……明るい)
俺は壁を撫でる。
白い大理石。
なんという事でしょう。
床や壁も白くする事で照明効果を高めているのです。
これが匠のなせる業なのです。
しかし山の内部に作った弊害なのだろうか。
窓がない。
まぁ窓があったら大変か。
雨が入り込んできたら城内水浸しになるだろうし。
しかしこの世界はテレビもないし、ネットもない。
景色も見れないこんな中にいるなんて……さぞつまらないだろうに。
《いらっしゃいませ》
メイドさんが、いるのか。
若い女の子だし、やっぱり楽しそうで羨ましいです。
普通にセドの生活に憧れてしまった。
これでネット小説があったら最高だ。
しかしこんなところに人間がいるとは。
洗脳でもされているのか?
そんな事を考えていると、この城内にいるもう一人の人間であろう、白銀の鎧の男が長い白髪を揺らしながら近付いてくる。
「ブラッド。セド様がお待ちだぞ。」
「ああ白狼君。任務ご苦労様。」
ブラッドは右手を上げて白狼を労う。
この話ぶりだと、白狼よりブラッドの方が立場が上なのか?
「因みにセドはどこにいます?」
「研究室にいらっしゃる。」
そう呟くと白狼は俺達から離れていきメイドになにやら指示を出している。
その様子を一瞥したブラッドは研究室の扉を開く。
扉を開けると薬品の刺激臭がが鼻を襲ってくる。
研究室には二人の人間がいた。
あれ?
どちらがセドだ?
いや。たぶん、というか間違いなくこちらであろう。
一人は黒い艶やかな髪を揺らした若い女性。
そしてもう一人。
金髪で碧眼。無精髭の男。
右目には眼帯が当てられている。
(……人間なのか?)
セドは両手を広げ、ブラッドの両肩に手を添える。
「ブラッド君!この度は御苦労をかけてしまったようで申し訳ないね!」
「いや。いいさ。」
ブラッドは肩に当てられた手を煩わしそうに外し、女性を見た。
視線を感じた黒髪の女は歩み出てきて挨拶をする。
「エリクシールです。勇者ブラッド様ですね。お久しぶりでございます。」
「ああ。エリクシール。変わらないね。」
「ブラッド様も。」
「まぁまぁ。二人とも堅苦しい挨拶は抜きだ。積もる話もあるだろうし、これからの話もある。お茶の用意が出来ただろうからそちらに移動しよう。」
そしてセドはこちらを向く。
「狼のお嬢さん達も一緒にどうぞ。」
跪き、俺達の顔を覗き込む。
俺達は部屋を移る。
高級そうな食器が並んでおり、先程のメイドがお茶を注いでいく。
部屋中が薔薇の香りに包まれた。
「ローズマリーね。ありがとう。」
エリクシールがニコリと笑いメイドに礼を述べる。
「いえ……。」
メイドの女は静かに微笑みティーポットを机に置き、扉の横に立つ。
メイドさん可愛らしいんだけど、なんとなく生気が感じられないんだよなぁ。
「彼女がホムンクルス(人工生命)?」
「ああ。凄い出来だろ?」
セドが両手を広げる。
「ええ。驚きだわ。ホムンクルスは錬金術の永遠のテーマなのに。」
「いやいや。エリクシールの《命の実》も素晴らしいよ。」
その中で一人だけ静かにお茶を飲む男がいる。
ブラッドだ。
二人の話が一段落した時、口を挟む。
「セドの願い通りエリクシールを連れてくる手伝いはした。……で。僕の願いは叶えられるのか?」
「ああ。もちろんさ。俺の願いを聞いてくれたブラッドの手伝いはさせてもらう!」
セドはニヤリと笑い俺達、銀狼一族を舐めるように見つめてきたのだ。




