ロンベールおじさん
いつも読んでいただきありがとうございます
「おい!ロンベール!!棄権しなくて大丈夫なのか?」
「へい!!オイラはやってきますぜ!!金…いや!!名誉の為に」
いやいや。世の中にはお金で買えない物もあるんだよ。
命はプライスレスなんだから。
俺がみた限り、武器らしいものは牛追いの鞭だけしか持っていないが大丈夫なのだろうか?
そろそろロンベール着ぐるみを脱がなければならないのでは?
あれ?チャックはどこだ?
「イタタタ!!旦那!!痛いですって!!」
「あぁ。悪い」
チャックないぞ。
せっかく、着ぐるみ脱がしてやろうと思ったのに。
着ぐるみの中から美男子のスーパーロンベールが出てくるんじゃないのか。
ロンベールのオッサン具合は伊達ではない。
漫画なら観客席に座ってそうな顔だ。
やられ役フラグ立ちすぎである。
しかもロンベールの相手は全大会準優勝者なのだ。
アゲードはジャスパーにはアッサリ捻られてたが、あの時は酔っ払いだったし…素面だとかなり強そうだ。
巨漢な上にでかい刀剣をぶら下げてる。
それをこのオッサンがどうするというのだ。
俺達はオヤジ狩りの目撃者になってしまうのか…。
まだ先の試合のどよめきが収まってはいないのだが、司会者のピエロが高らかに両選手をコールする。
「第2試合は全大会準優勝者の登場です!!今年は優勝を狙えるか?アゲードVSロンベール!!」
ヤバイ…始まってしまう。
生きて帰ってきてね。
闘技場中央に立つ二人を見比べると大人と子供…いや。大人とオジサンである。
「はじめっ!!」
ピエロが開始を宣言するとお互い後ろに飛び退き距離を取る。
アゲードは躊躇う事なく巨大な刀剣を鞘からスルスルと引き抜いた。
「おい!!オッサン!!俺は虫の居所が悪いんだ!!このドラゴンスレイヤーで真っ二つにされるか棄権するかどっちだ!!」
「ほう。旦那の刀はドラゴンスレイヤーなのですか?竜を断つ剣なのですよね?」
ほぅ…あれがドラゴンスレイヤーか。
あれが今からオジサンスレイヤーになってしまうのか。
「そこまで分かってるならどうするオヤジ?」
「そうですねぇ…」
ロンベールは顎に手を当てて不敵な笑みを浮かべる。
そして手を開き地面を叩くと見たこともない魔方陣が現れた。
《出でよ!!夜刀神!!》
魔方陣から巨大なドラゴンが召喚されていく。
(おいおい…なんの冗談だ?)
「そのドラゴンスレイヤーが本物かどうか試してみてください」
ロンベールがドヤ顔です!!
あまりのドヤ顔っぷりに、俺はアゲードを応援したくなる程です
そして召喚されたばかりのドラゴンが巨大な咆哮をあげる
《ヴァオオオオオオ!!!!》
咆哮だけで会場中がビリビリと振動する。
ミントが俺に話しかけてきた。
「ジェード…あのドラゴン…」
「ああ。凄いな…」
「うまそうだ。」
うん。ミントさんって食べれるか食べれないかが基準だよね。
しかしまさかロンベールが召喚術師だったとは。
そういえばトウモロコシ輸送だって魔獣出ない事もないだろうに、いつもひとりで配送していたな。
俺は左手で鞭に触れる。
ガーネットの鞭、豚に真珠くらいに思ってたけど、ホントは使えたのかもしれないな。
ごめんロンベール。
返す気はないけどとりあえずごめん。
「うおおおおおぉー!!」
アンバーが叫んで気合いを入れる。
そしてドラゴンスレイヤーで夜刀神の首を突くが、ドラゴンの鱗は貫けない。
夜刀神は首を大きく振るう。
アンバーは刀身を縦に構えてガードを試みるが簡単に吹き飛ばされてしまう。
しかし、すぐに立ち上がり刀を振るう。
アンバーは何度も吹き飛ばされるが1刀1刀力任せに打ち込んでいる。
その一撃一撃はドラゴンの鱗に阻まれているが火花を散らす程の激しいものだった。
その諦めない姿は観衆を味方につけ、会場中アンバーコールが巻き起こる。
《アンバー!!アンバー!!アンバー!!》
ロンベールの顔からはドヤ顔が消え、真剣な眼差しに変わっていく。
既にロンベールは悪役だ!!
ドラゴンを操る凄いオジサン改め、ドラゴンを操る悪いオジサン扱いなのだ。
でも会場のみんな!!忘れないでほしい!!
彼はトウモロコシを運ぶオジサンでもあるのだ。
なんだか、会場中のアンバーコールにダメージを受けてるような気がしなくもないが大丈夫なのだろうか?
なんか胃の辺りを押さえているが。
ってか、メンタル弱いなロンベール!!
観衆からの精神攻撃に耐えかねたロンベールは鞭を振るう。
「夜刀神!!やっておしちみゃい!!」
《噛んだ!!》
会場中が、ロンベールの噛みっぷりに驚き、そして心がひとつになったその刹那
夜刀神が飛び上がり翼で風を操り始めた。
「ぐ…うおおおお!!」
アンバーは身を低くして耐えているがそれは時間の問題であろう。
風は徐々に強くなっていき、小型の竜巻を作る。
「くっそおー!!」
アンバーは高く舞い上げられた後、地面に叩きつけられた。
(…ロンベールやりすぎだろ…)
ツッコミたかったが、俺以上に焦っている男がいる。
ロンベールである。
慌てっぷりがハンパない。
俺達の心配をよそにアンバーは剣を杖がわりにして立ち上がる。
膝は震えているがどうする気だろうか?
「敵わねぇ…ギブアップだ。」
《負けたけどカッコイイ!! アンバー!!アンバー!!アンバー!!》
会場中がアンバーコールに包まれていく
そしてコソコソ控室に戻ってくるロンベール
これじゃあどちらが勝者かわからないくらいだ
しかし勝ちは勝ち
俺は戻ってきたロンベールと固く握手を交わす
「やったな!!ロンベール!!」
「次は旦那の番ですよ!!頑張って!!」
次は俺の番である。
ミネヴァやロンベールには負けてられない。
俺も良いとこ見せなくちゃ!!
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