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本戦

御意見御感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ブックマーク及び評価ポイントありがとうございます

「では皆様こちらへ…」


ピエロに促されて俺達は本選会場となるコロッセオ闘技場へ歩を進める


扉を開いた瞬間《ワー!!》という衝撃と歓声が俺達の体を叩いた



闘技場中央に立つと観客席がぐるりと俺達を囲んでおり、古代ローマ帝国のコロッセオを彷彿とさせる


観客は殺気まじりの異常な盛り上がりを見せていた



平和な日本に住んでいた俺にとってそれは狂気にしか見えなかった



俺は異世界に来てから何度も戦いを味わってきた



食物連鎖の戦いであったり、大切なものを守る為の戦いである。

しかし今回のコレは違っていた


賞品に目が眩んだ俺も悪いが、参加するべきでなかった


これではただの見世物である


いや。人前で戦うのを否定はしない。


ボクシングだって人前で戦うのだ。


しかしそこにはルールが存在している


今から参加する闘技大会はルールがない


国の威を示す。


ただその目的だけの為に命を懸けて人を戦わせる


この国はなにかズレている


先程から感じていた不快感の出処がわかったとこでどうしようもないのだが…


不快感に任せて棄権したら申し込みをしてくれたアンバーの顔が立たなくなるだろう。



白黒ピエロが前に進み出てハンドサインを使い歓声を静めた


「…ただいまよりユグドラシル王女様より開会の御挨拶を頂戴致します」



観客席の更に上。


スルスルと幕が上がる


幕が上がると観覧席が現れた


いわゆるVIP席という場所であろう。


一人の女性が歩み出る


「ただいまよりユグドラシル闘技大会を始める!!国民よ!!ゆるりと楽しんでいくがよい!!」



長い金髪を風にそよがせて開会を宣言した王女の声は透き通っており、会場中に響き渡る


そして大仰なほど深々と拝礼したピエロが俺達の方に振り向き、組み合わせを発表する


第1試合


黒曜騎士団副官シドVSミネヴァ



「ち…女かよ」と聞こえてきた。


シドは三白眼の若者である。


そう。確かに女性だけど、甘くみない方がよい。


第2試合


全大会準優勝アゲードVSロンベール


とにかくロンベールは無事に帰ってきてほしい。


明日もトウモロコシの配送だよ。


もしかしたら背中にチャックがあるかもしれないが、とにかく命を大切にしてもらいたいものである。


第3試合


黒曜騎士団隊長ジャスパーVSジェード



まさかの隊長と一回戦から激突か。楽しみである。


第4試合


勇者ミントVS傭兵シェル


優勝を狙う俺だが、やはり優勝候補はミントであろうか


情報のない傭兵シェルだが、どんな戦いをするか楽しみである


第1試合と第2試合の勝者


第3試合と第4試合の勝者が次に対戦するトーナメント方式だ。


3回勝てば優勝となる


頼まれた訳でもないのだが、大怪我した者は俺が回復させてやろう。


そして第1試合のミネヴァとシドを闘技場に残し俺達は選手控室に通される


今度の控室は試合会場の横にある


柵で区切られてはいるが、本選からは俺達も観戦できるようになった



「ミネヴァ頑張るのだぞ」


「うん!!」


ミントとミネヴァが拳を合わせている


本当に仲が良い



ピエロが闘技場中央に進み声高らかにルールを説明する


「ルールはギブアップさせるか、相手を戦闘不能にする事のみ!!尚!!魔法攻撃で観客に被害が出ないよう闘技場内は結界が張っております!!」


なるほど…会場の四隅にローブを被った者達がいたが、そういう事だったのか。


「では!!第1試合開始!!」



シドが叫ぶ


「おい!!女!!ギブアップしろ!!俺は女と戦う気はねぇ」



ミネヴァはニコニコしている


「もう攻撃していいんだよね?」とピエロに聞く


指先をシドに向けウンディーネを発動した


危険を察知したシドが慌てて横に飛び退く


魔法の発動を認識してから躱したシドの反射神経を誉めるべきであろうか。


開始5秒で死人が出なくて良かった。


孔の空いた地面を見てシドは顔色失う


そして見上げたミネヴァの肩には小さな妖精がとまっていた。


絵本から飛び出してきたような愛らしい妖精は、なにかを忠告するようにシドをジッと見つめている


この妖精の名前こそウンディーネである。



言葉は発しないのだが、ミネヴァとは思念を通して会話が出来るようだ。



なぜミネヴァが急に水魔法が使えるようになったのか?


そしてこの妖精は何者なのか?


それはウンディーネがミネヴァの口を介して教えてくれた。


それは偶然の重なりだった。


それはミネヴァがミントの魔法で炎に包まれた時の事。


炎に包まれたミネヴァは水を欲し、そして水を浴びた。


そして水を浴びたミネヴァに対して、俺は陽の力である甦生魔法を強烈にかけた


妖精は全ての水に宿っているらしいのだが、その水に強烈な陽の力が流れ込んできた為、意思を持ったウンディーネが生まれたという


そして水を欲してたミネヴァの意思とリンクし、ミネヴァに溶け込みそして傍にいるようになったらしい。



実はその時からミネヴァは妖精の存在を体内に感じていたみたいだ。


そして修行中のある時、ウンディーネに会ってみたいと願ったら具象化出来たらしい。


今まで具象化出来なかったのはミネヴァの魔力が弱かったのか、妖精が恥ずかしがり屋だったのかわからないが、ウンディーネ自体も攻守に加わるので、発動された相手はたまらない


かといって魔法を使うのに妖精が必要かというとそうではないらしく、空気中に存在する精霊の力を借りるのが普通だという話で、ミネヴァが普通と違うのだ


そして戦いに動きがおこる


シドは正面から突っ込みミネヴァに拳を振るが、ウンディーネがそれを許さない


水の盾となり弾き返す


「くそう!!ならば…七星歩(しちせいほ)


シドは緩急をつけた独特の歩法をする


ゆらりゆらりとミネヴァに近付いていくとシドが七人に増える


錯覚を利用した残像であろうか?


七人になったシドは一斉にミネヴァへ襲いかかった


その刹那である


「ウォーターウォール!!」


ミネヴァの回りに水の壁が立ち上る


一斉に飛び掛かったハズのシドは数メートルも吹き飛ばされ、そして一人に戻った。


消えたところを見るとやはり分身ではなく残像だったのであろう。


あまりの水圧にあっけに取られたシドはそのままギブアップを宣言する


それはそうだろう。


ミネヴァは試合開始場所から一歩も動いていないのだ


格が違いすぎた


「第1試合勝者!!ミネヴァ!!」


ピエロが高らかに宣言を上げる


まさかの黒曜騎士団副官の敗退に会場中どよめきが収まらない


そのどよめきの中、試合を終えた二人が控室に帰ってくる


ミネヴァは「勝ったよー!!」と笑顔で手を振りながら戻ってきた。


隣にはシドがいるのになかなかの無慈悲っぷりである。


しかし、シドはなかなか見所のある男だ


負けには負けだが、一度も剣を抜かなかったのだ。


試合だから拳は向けたのだろうが、剣だけは抜かなかった


騎士道精神なのだろうか。



控室に戻ってきたシドは隊長のジャスパーに頭を下げている


俺の座っていた角度からは俯くシドの頬を伝うものが見えた


ジャスパーは「仕方ねぇさ」とひとことだけ言葉を放ち、シドの頭をグシャグシャと撫でた

次回はロンベールおじさんが戦います


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