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黒曜騎士団(こくよう)と白銀騎士団(しろがね)

今回は大会に出場する選手の説明回という形です


俺達は闘技大会の受付を済ませて武器屋主人アンバーと別れた。


オーク村産の野菜出荷も軌道に乗りそうである


忙しくなるであろうこの時に…


ロンベールも闘技大会に出場すると言うのだから信じられない



野菜の出荷はどうする気なのであろうか?


彼はただのオッサンである。


俺が牛だった頃、牛尾の一撃を躱せなかった男なのだ。


そんな男が闘技大会に…


怪我をしたらどうするつもりなのだろうか?


俺やミントと対戦した場合は、それなりに手加減できるがミネヴァはまだ力加減ができない。


水魔法でうっかり貫通してしまったとか洒落にならない。


甦生呪文があるとはいえ、気まずくなるではないか。


そんな俺の視線を感じたのか、ロンベールが言葉を発する


「大丈夫ですよ!!旦那!!集配はいつも通りやりますから!!それよりお祭りですから普段の倍、収穫お願いしますよ!!」


そうだった。


闘技大会の日は武器屋のアンバーが焼きもろこしを出店するからと倍の注文を貰ったんだ


その手付金も貰ってある


そういえば長老のミネ爺は、今回預かったお金は使っていいと言っていたな


という事はこの手付金もOKという事になる


どす黒い思考が俺を支配しそうになるが、このお金を遣って、みんなで食事してもバチは当たらないだろう。




俺達は街を歩きながら飲食できる店を探す


街は昼間なのに賑やかだ。

(…お…いい香りがするな)



店の外まで漂ってくる揚げ物の香り


そういえば異世界に来てから、揚げ物なんて食べていない


オークの村ではヘルシーな食事が多い。


食肉が手に入りにくいのも理由のひとつたが。


「ここにしよう!!」


俺は店を指差し、迷いのない真っ直ぐな瞳で仲間を見つめる


ミントに聞くと、この辺りでも有名なお店らしい。


店の看板には「月桂樹」と書かれていた。


店内は活気に包まれている


まだ昼間だというのに酒を呑む者達もいるようだ。


けしからん!!まったくけしからん!!



「とりあえずビール」


席に着く前に注文する


いいんだ。 俺達は仕事あがりなのだ。


契約も取れたし祝杯なのである。


「しかしガラが悪いの多いな」


そう。活気を通り越して喧騒に近いのである


お店のチョイス間違えたかな…


まあ座ってしまったものは仕方ない


俺は運ばれてきたビールで祝杯を上げ、サラマンダーの唐揚げを口に運ぶ



うまいっ!!


異世界でも唐揚げとビールの組み合わせは最強である



ミントやロンベールは人間だから大丈夫だろうがミネヴァは揚げ物が口に合うだろうか?


ミネヴァは唐揚げを両手に装備していた


気に入っていただけたようでなによりである。


店の主人がミントに気づいたようで近づいてきて挨拶をする


「勇者様。御来店ありがとうございます。こちらの料理はサービスでございます」


「ああ。ありがとう」


ミントは笑顔で礼を述べてたけど、なんか違うんだよなぁ


オークの村にいた時はもっと無邪気な笑顔だったんだけど…。


その時、店内にドオンという強い衝撃音が響いた


拳を叩きつけた音であろうか。


四人掛けの丸テーブルが真っ二つに割れていた


グラスや食器が落ちてガチャンという高い音が耳を突く


「この店はいつまで客を待たせんだ!!」


額に傷が入った巨躯の男が騒いでいる



(…五月蝿いな)


酔っぱらいだろうか?


床に落ちた瓶の数を見る限り相当呑んでいるようだ


酒は飲んでも呑まれるなである


酩酊するほど呑んでも良いことはひとつもないのだ



先ほどサービスをしてくれた主人が、騒いでいる男を宥めに行っているが、怒りの収まらない男はまだ騒いでいる



その騒ぎ声とは別にボソボソと話し声が聞こえてくる


《あいつ、昨年の闘技大会準優勝のアゲードじゃねぇか?》


《そうだよ。あの額の傷、間違いねぇ》


なんという事でしょう


顔だけで名前がバレてしまう程の有名人が酒に酔って暴れてしまっているのです


異世界だから良いようなものの、元の世界ではネットで拡散されてしまう事でしょう



(フ…異世界で良かったなアゲード)


などという事を考えていたらアゲードが刀剣を抜いた


さすがにやりすぎだ!!


俺が声をかけようとした時、奥に座っていた男が立ち上がった



「おい!!刀を置け!!」



その男は黒髪で精悍な顔をしている


一喝したかと思えば「まあ落ち着け」などと不適な笑みを浮かべて近付いていく。



アゲードの怒りの矛先は黒髪の男に向かう


どちらの力量も判らないが、アゲードは前大会準優勝者


酒乱の男だが前大会準優勝者なのである。




アゲードは切っ先を黒髪の男に向ける


(助けないと!!)


立ち上がろうとした俺の手を引っ張る者がいる。


ミントだ。


「彼に任せて大丈夫」と俺の顔を見つめて言うが全然大丈夫ではないだろう。


俺はミントの手を振りほどこうとしたのだが、その間に勝負は決まっていた


黒髪の男はアゲードの腕を取りアッサリ逆間接を極めたのである


そして黒髪の男は呟く


白狼(はくろう)のヤツが力の差をキッチリ見せねぇからこういうヤツが調子に乗るんだ。俺は白狼程甘くねぇぞ!!」


言い終わるか否か、凄まじい殺気を放つ


その殺気の凄まじさは店内を静寂に変えた


俺ですら手に汗を握るほどである


ロンベールなんてお漏らししてしまうのではないかと心配になる


ロンベール…大丈夫だったけど。


俺はミントに問いかける


「あいつ誰だ?」


「彼は黒曜騎士団隊長のジャスパーという男だ」


ユグドラシルの国には白銀騎士団と黒曜騎士団という2つの親衛隊が存在するらしく、どちらも精鋭中の精鋭らしい。



しかし先程言った白狼とは誰なのだろう?


その謎もミントが説明してくれた


闘技大会の目的の半分はお祭りである。


そのスタンスは間違いない


もうひとつの目的はユグドラシル王都の国力誇示という事だ


豪華な優勝商品で国力を内外に示し、兵力誇示の為に白銀と黒曜の隊長を毎年交互に出場させる


隔年で出場させる理由としては、大会に出場しない隊長が黒曜と白銀の2隊を率い王宮の警護を行うという理由らしい。


人の出入りが激しくなる闘技大会で警護を手薄にするのも得策ではないのであろう。


力を誇示しつつ、警護は怠らない。


この国の指導者はなかなか強かな者らしい


そして去年の優勝者は白銀騎士団の隊長、白狼という事か…



ミントの話に耳を傾けながら思う


(どちらかの隊長さえ出場すれば優勝確実と思っているのか…)


俺は燃えてきた!!


絶対に優勝してやる!!


そして!!


とりあえずビールをおかわりするのであった

御意見御感想ありましたらよろしくお願いいたします

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