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鍋貫通式典

御意見御感想ありましたらよろしくお願いいたします

そうだっ!!


ミネヴァは!!?


俺はミントに問いかける


「あの木の下にいるぞ」


良かった…


あの仮面の男、呪いを解除した者を探していたようだから俺ではなくミネヴァに向かう可能性もあったのだ


俺は自己再生を持っているから生きているが、ミネヴァだったら危なかったかもしれない


(剣…か)


鞭が悪いわけではない


もちろん修行を積んでいけば鞭でも対抗できるようになるかもしれないが


しかし懐に入られると防御ができない


昨日の修行でやった試作


鞭を棒状に形態変化させれば防げるかもしれないが、攻撃は不可能である。


刃のない攻撃ではダメージは与えられない。


それに先程の相手には通用しないであろう


形状変化はタイムラグがある


あれほど踏み込みの鋭い者だと形状変化している間に貫かれる


実際鞭を振るう前に一撃入れられたし。


しかしミネヴァはなぜこちらに近づいてこないんだろう?


仮面の男は既にいないのに


理由はすぐにわかった


「おーい。泣き止んだから来ていいぞ」


(まさか!!!!)



そのまさかであった


俺が泣いている間、ミントは傍にしてくれた。


そして泣いてる俺に気を使ってミネヴァを近寄らないようにしてくれていたのが…が。


俺の中でミントは《ドS勇者》という位置付けになったのである。


呼ばれてミネヴァが駆け寄ってくる


「大丈夫だった?」


ミネヴァは優しいなと思っていたらミネヴァの特技《無慈悲》発動


「大人の男性が泣いたのって初めて見たー」


離れてただけで、しっかり御覧になっていたようですね。


俺は異世界に来て、美女二人の前で号泣したのである


しかも…あの状況だと、ただ負けて泣いたみたいにしか思われてないだろう


いや。あれは複雑な心理が絡み合ってねなんて言えるわけがない。


傷に塩を擦り込むようなものだ。


しかし仮面の男は何者だったのか…


しかもいきなり斬りつけてくるとか、どんな教育をうけてきたんだよと言いたいものである


呪いを解除したのは誰だ?と聞いてきたから、たぶんエルフに呪いをかけたセドの手の者なんだろうけど…


もしやセドって生きてるのか?


解除されて気付くとか呪いはセドと繋がってるのか?


え?もしやセドってエルフの村にまだ未練あるの?


どんだけ執念深いんだよと思ったがここで疑問が残る


ロンベールは《この辺りのお伽噺で》と言ってたから昔話くらいに思ってたけど



でも…子供の頃の話とはいえミネ爺(長老)は生きてるし…



ってか…ミネ爺っていくつだよ!!


お伽噺リアルタイムで体験しているとか。


「ミネヴァ。ミネ爺っていくつなんだ?」


「えー?ジェード忘れたの?昨年、長老生誕300年祝いやったじゃない」


「あ…ああ。そうだったな」


そうだったのか。


俺がジェードを乗っ取る前にそんなお誕生日会が。


ってか、メッチャ長寿だな!!


浦島太郎が竜宮城から帰ってきても、生きて出迎えられるぞ


それはお伽噺になるわ


300年続く呪いか…


ミネ爺の長寿っぷりと、セドのしつこさに驚きながらも慌てて畑に向かう


急がないとロンベールを待たせてしまう事になる


輸送初日から納品が遅れるなんて最悪だ。



慌てて畑に付き、村人。いや村オーク達と挨拶を交わす


俺の服は先程の戦闘で血まみれだが、村の仲間たちはいつものように華麗にスルーをする。


時々「目付いてるのかな?」と思うこともあるが、まあ慣れた。


横一列に並び、みんなでトウモロコシを収穫していく


ミントは生のトウモロコシにかぶりついている


先日、朝採れのトウモロコシは生で食べてもジューシーだぞという言葉を覚えていたらしい。


「旦那ー!おはようございます!!」


ロンベールだ。


それと…


ガーネットも一緒にいる


「ロンベールの野郎が、一人で魔物の村に行くのは怖いって言うもんで付き添いですわ」


この二人はホントに仲が良い。


まぁ異世界ではネットもテレビもないのだから、仲間と会話するのが娯楽なのかもしれないな。


「道に迷わなかったか?」


俺は昨日ロンベールに村の地図を渡していた。


しかし地図を渡さなくてもオーク村の場所自体はだいたい分かっていたみたいだ。


ロンベールは言わなかったが、人間同士で《あの辺りはオークの住み処だから近付くな》くらいには知られてた地域だったのかもしれない。


「それより旦那。怪我は大丈夫なんで?」


そうそう!!この反応を待っていたんだよ!!


うん。大丈夫だが、後でガーネットに頼みがあると伝え、俺は二人を切り株の椅子にエスコートする


その間にオーク達は収穫したトウモロコシを木箱に詰め荷車に積んでいく



俺は二人の来訪者の為に茶器を並べる


茶器と茶葉はミネヴァに頼んでおいたのだけどね



魔獣の村とはいえミネヴァは長老の曾孫で、ティーセットは来客に耐えうる素敵なものを持っている


それにこれには狙いがある


先程、何気なくガーネットが言った「魔物の村に一人で…」と。


この言葉は否定しない


俺も人間なら魔物の村に行くのは怖い


これだけ俺と付き合いのあるオッサン達だって魔物と会話する時、恐怖感はあるのだろう。


しかし魔物にもお茶を嗜む文化があるという事で少しでも恐怖感が薄まってくれればと思っている。


それにこの茶葉もオーク産だ。


オークの村ではお茶も採れますよと然り気無くアピールし、あわよくば仕入れてもらおうという算段だ。


お店を間借りさせてもらう武器屋の主人用にも、茶葉のお土産を用意してある


試供品ではなくお土産だ


お土産だけど気に入ってもらえるといいな。


気に入って仕入れてくれるといいな。


決して私腹を肥やそうとしているわけではない。



ミントとミネヴァはお湯を用意する係りだ


俺はその様子を横目で眺める


ミントはトウモロコシを茹でる為に鍋を持参している


畑でお茶は飲むと言ったがトウモロコシを食べるとは言っていないぞ


しかもミント…その鍋。一人用だろ?


自分だけ食べる気か?


命の恩人だが後で言わねばなるまい。



ミネヴァが薪を用意しミントが魔法で火をつける


手慣れた段取りである


あれ?鍋に水が入っていないぞ?



「ジェード!!来て来て!!私の水魔法のお披露目会!!」



そうか。水魔法覚えたと言っていたな


ロンベールとガーネットも興味深そうに近寄ってくる


ミネヴァが美人だから近寄ってきたわけではないだろう。


鼻の下伸びてるけど。


ミネヴァは鍋に人差し指を向ける


「いくよっ!!ウンディーネッ!!」


指先から水が放たれる


《キュイン》



え?


…鍋、に穴が空いちゃったけど


ミネヴァはテヘペロな顔をしている


いやいや!!そこはテヘペロじゃないから!!


もし俺が、何も知らずに喉乾いたから水ちょうだい


「はい。あーん」


なんてやったら大惨事だから!!


結局俺はミントに頭を下げ、一人用鍋で沸かしていたお湯を貰うのであった。


俺は気を取り直してお茶を淹れる


「うまい!!」


「うまいな!!」


オッサン二人は素直に喜んでくれる。


人に喜ばれるのは不思議と嬉しいものだ。


先程のは水魔法お披露目、鍋貫通式典として説明した。



ミントもミネヴァも同席する


ミントはまだトウモロコシを食べている


両手に握ってるところを見ると俺達に渡す気はないようだ。



俺は今日の輸送の成功を祈り二人に頭を下げた



そして…


「ガーネット。鞭を貰った矢先に申し訳ないのだが、俺とミネヴァに武器を譲ってくれないだろうか?支払いは後払いになってしまうが」


「どうなさったんで?」


俺はミントとミネヴァに目配せをする


頷いているからわかってくれたようだ。



俺の怪我は今朝、ミントとの修行で受けた傷という事にした。


仮面男の狙いは俺のようだが、もし、自分の存在を知られたくないと考える奴だとしたらロンベールとガーネットに危害が及ぶ可能性はゼロではないと考えたのだ。


ガーネットは腕組みをして考えている


やはり後払いはまずかったかっ思っているとガーネットが口を開く


「旦那!!任せてください。しかし失礼ながら旦那は今、お金がないようですし、オイラの依頼を受けてもらえればタダでもいいス」


依頼内容はこうだった


ガーネットの加工する武器は魔力で変化をする


それは特殊な場所でしか採れない鉱物や植物だそうだ


いつもは傭兵に依頼して採取に行ってもらうのだが、それを今回俺に頼もうと言うのだ


心配そうな顔をしてガーネットは続ける


「すんません魔獣は出ますが…」


俺は快諾する


なんといっても金がないのだ


それに、武器を譲ってもらってばかりでは俺も義理が立たなくなる


タダより高い物はないのだ


この依頼は願ったり叶ったりなのである


俺は依頼を引き受けそしてオッサン二人を見送った



オークの村が楽しすぎてなかなか外出しなくて申し訳ありません

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