第7話「侵入者」
風が止まる。
空間が歪む。
白い光の中から現れる少女。
「対象確認」
「レイ・アストラ」
「逸脱レベル:最大」
レイは舌打ちする。
「追ってくるとか、しつこすぎだろ……!」
男は前に出る。
「当たり前だ」
「ここに来た時点で、お前は“完全な異常”だ」
少女の視線が動く。
「追加対象確認」
「識別コード:不明」
「危険度:最高」
男が笑う。
「光栄だな」
少女が手を上げる。
「排除プロトコル開始」
その瞬間。
空間が凍る。
レイの体が動かなくなる。
「くっ……!」
だが。
男は普通に動いている。
「だから言っただろ」
「ここじゃ俺の方が上だ」
男が一歩踏み込む。
次の瞬間。
空間が割れた。
ガラスのように。
「なっ——!?」
少女の表情が初めて変わる。
「異常……確認」
男は言う。
「ここは“自由系統”だ」
「ルールは存在しない」
「だから——」
拳を握る。
「ぶっ壊せる」
振り抜く。
衝撃。
少女の体が吹き飛ぶ。
「……は?」
レイは呆然とする。
「そんなこと……」
「できるんだよ」
男は振り返る。
「ここではな」
レイは理解する。
この場所は。
「……何でもありかよ」
男は首を振る。
「違う」
「“何も決まってない”だけだ」
その言葉の意味を理解する前に。
少女が立ち上がる。
「再構築完了」
「戦闘継続」
レイの背筋が凍る。
「……壊しても意味ないのかよ」
男は少しだけ笑う。
「あるさ」
「壊し方が足りないだけだ」
そして、静かに言った。
「“存在ごと消せ”」




