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歯車都市クロノギア 〜管理された世界で“自由”に目覚めた俺は、世界の外側を壊す〜  作者: HATENA 
第1章:静かな歯車

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第4話「管理者」

レイは走っていた。


上層区の整った街並みを、ただひたすらに。


背後では、空気が歪む音が続いている。


振り返らなくても分かる。


あの少女——いや、“あれ”はまだ追ってきている。


「なんなんだよ、あいつは……!」


角を曲がる。


だが、その先にいた。


白いコートの少女が。


「——っ!?」


一瞬で距離を詰められる。


ありえない速度。


「逃走行動を確認」


「逸脱レベル:3へ上昇」


少女の瞳が淡く発光する。


「強制修正を実行します」


手が、レイに向けられる。


その瞬間。


「だから言っただろ」


ガキンッ、と金属音。


黒コートの男が、少女の腕を弾いていた。


「ちっ、面倒なモードに入りやがったな」


レイは息を荒げながら叫ぶ。


「お前、何者だよ!?」


男は振り返らずに答える。


「説明してる暇はない」


「死にたくなかったら動け」


その言葉と同時に、少女の周囲の空間が歪む。


時間が引き伸ばされるような感覚。


音が遅れる。


光が鈍る。


「またかよ……!」


レイの体が重くなる。


だが——


「気合で動け。慣れろ」


「無茶言うな!!」


それでもレイは足を動かす。


一歩。


もう一歩。


少女の声が響く。


「対象の耐性を確認」


「予測を更新」


「は?」


「あなたは——異常です」


その瞬間。


世界が“完全に停止”した。


風が止まる。


音が消える。


人が固まる。


レイも動けない。


だが。


「……動けるのは、俺たちだけだ」


男だけが普通に歩いている。


「なんで……お前は……」


男はゆっくりとレイの方を見る。


「簡単な話だ」


そして、こう言った。


「俺は“管理されてない側”だからだ」


レイの思考が止まる。


「……は?」


少女が、初めて感情のような反応を見せる。


「危険対象認定」


「優先排除対象に変更」


空気が震える。


男はため息をつく。


「バレるの早すぎだろ……」


そして、レイに向かって言う。


「お前、もう普通には戻れないぞ」


その一言で、理解する。


これは偶然じゃない。


自分は“見てはいけないもの”を見た。


「……だったら」


レイは歯を食いしばる。


「最初から戻る気なんてねぇよ」


一瞬の沈黙。


男が、少しだけ笑う。


「いいね、そういうの嫌いじゃない」


少女の周囲に、見えない圧力が集まる。


「排除、開始」


その瞬間。


地面が砕けた。

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