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第19−3話 みんなのそばにいたいから

青島は重要な二択を迫られていた。

西谷の持つコマのスキルを消滅させるか、ポイントを獲得するか。

「大分ヤバいな…」

段田が呟いた。

その顔はいつになく強張っていた。

「ただの二択じゃないですか?そんなに心配しなくても…」

天塚は段田に声を掛ける。

菜蔵が代わりに答える。

「選択次第じゃアイツ、コマバトを辞めちまうかもしれねぇんだぞ」

「えっ!?」

菜蔵の衝撃的発言に、天塚は強い衝撃を覚えた。

段田は天塚に状況を説明する。

「青島ちゃんの戦術は知っての通り、最終ターンで相手のパワー1のコマを全破壊して勝負を決める」

「ただポイントをゲットする方法の方が圧倒的に手っ取り早いし話が早い、心に余裕が出来るしまだ勝負は続くからね」

「ただ、ポイントで優位を取るということは青島ちゃんの戦術を自分の意思で曲げる、ということだ」

「あっ」

天塚も気づく。

菜蔵が話し出す。

「そんなことまでしたのにイレギュラーが起きて負けました、なんて目に遭ってみろ」

「大事な一戦の土壇場で自分を裏切る本性を抱えたまま、コマバトを続けていきたいと思うか?」

「本当にターニングポイントなんだよ、アイツにとっても、俺等にとっても」

「…」

天塚は何も言い返せずにいた。


長考の末、青島は答える。

「…『相手のコマのスキルを全消滅させる代わりに、相手に追加ターンを与える』を選択するので…」

その選択に西谷は驚く。

「どうしてポイントを取りに行かないんだい?ポイントを守り続ければ、僕に勝てるかもしれないんだよ?」

青島は答える。

「…そんなの、僕の闘い方じゃないので!」

「僕の闘い方は周りの人からすれば、陰湿で卑怯、誰も闘ってくれなかったので!」

「でもそんな闘い方を、皆は受け入れてくれた!必要だって言ってくれた!」

「僕はただ勝ちたいんじゃなくて、皆と同じ目線で並びたいので!目の前のエサに食いついて、仮に勝てたとしても皆に合わせる顔が無いので!」


「青島…」

菜蔵は青島を勧誘した時の出来事を思い出していた。

"お前の力が必要なんだ!"

「アイツ、あんなに思い詰めていたのに、俺…」

菜蔵は青島が始めての敗北を感情に任せて非難したことの後悔から、涙が止められなかった。

段田が菜蔵の肩に手を当てる。

「落ち着け菜蔵、まだ勝負はついていない」

「どんな結果になろうとも、アイツに謝ろうじゃないか」

「うぅ、ありがとうございます」

菜蔵は段田の優しさに感謝を述べずにいられなかった。


(パチパチパチパチ)

あくまで戦略での勝利を臨む青島の強気な姿勢に、西谷の笑顔と拍手は止まらない。

「誇っていい。君のその真っすぐさ、僕は敬意を払うよ!」

(西谷先輩の余裕からして、多分自分は負けたので…)

(でも、何故だが気持ちが辛くないので)

(皆になんとか許してもらって、次こそは…)


「だけど結果は受け入れて貰うよ!」

「俺ルールカードの効果により、僕はコマのスキルは使えなくなったよ」

「僕はEXデッキからEXモンスター、シーギャング_戦艦住みのオオヤドカリを登場させるよ!」

西谷がそう宣言すると、フィールドを割りながら、背中に戦艦を背負った巨大ヤドカリが姿を現した。

その武器だらけの戦艦の巨大なヤドカリの威圧感は、対峙するものに戦意を失わせるに十分だった。

「シーギャング_戦艦住みのオオヤドカリのスキル発動!フィールドの自分のコマを破壊して、1体につき2ダメージを相手のコマに与える!」

「僕はフィールドのコマ6体を破壊して、青いサンゴ礁と青いクマノミを破壊する!」

ヤドカリの背中の砲台に詰め込まれた西谷のモンスター達は砲弾となって青島の陣地を強襲し、青島のモンスターは全滅した。


青島は暗い顔で控え席に戻る。

(また負けちゃったな、今度はちゃんと謝らなきゃ…)

暗い顔で控え席に戻った青島を迎えたのは涙で顔を濡らした菜蔵の熱い抱擁だった。

「ごめんなぁ青島、さっきはあんなひどいこと言っちまって!もう負けたって責めたりしねぇ!だから最後まで一緒に闘ってくれ!!」

責められるどころか逆に受け入れてくれた、この瞬間青島の緊張は完全に解けた。

「う、うわぁぁん!!」

人目もはばからず青島は泣いた。

その姿に他の3人も目に涙を浮かべている。


熱意は託され、菜蔵は戦場に赴く。

菜蔵は吠えた。

「見てろよ青島、先輩の威厳ってやつを見せてやるぜ!!」


(第19−3話 終)

この作品、全力で書いています。

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