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第19-1話 断罪のスナイパー

試合場に向かう青島の気持ちは昂ぶっていた。

(駒場先輩があんなに格好良く勝利を掴んだあとなので、僕だってこの波に乗って勝ち上がって、後に控える菜蔵先輩や段田先輩に褒めてもらいたいので!)

青島はテーブルに到着し、対戦相手の西谷に声を掛ける。

「お待たせしましたなので!早速お願いしますなので!」

西谷は興奮状態の青島を確認し、こう話しかけた。

「やる気があるのは結構なんだけどさ、興奮したまま試合したって良いことなんも無いよ?」

「こっちは構わないからさ、一端椅子に座って深呼吸でも---」

西谷の提案を青島ははねのける。

「結構ですので、対戦よろしくお願いします!」

(駒場先輩から授けられた勝負の熱が、きっと僕を勝利へと導いてくれるに違いないので!)

と青島は考えていた。

西谷は答える。

「あぁ、そう」

試合準備に移る西谷だったが、何故か眼差しはどこか呆れたように虚空を見つめていた。


西谷拓一: デッキ名「シーギャング」

デッキの世界観は海の生き物で結成されたギャング団。

ダツ、サメ、ウツボなど、海の生き物の中でも攻撃性の高いヤツらが揃っている。

その中に何故かカレイが混じっているがその理由は?


(3ターン目)

西谷が動く。

「シーギャング_ダツのスキル発動、選んだコマ1体に1ダメージ!」

「僕は青いサンゴ礁を選ぶよ」

ダツは口に水を含み、青いサンゴ礁を狙おうとしている。

無論、青島はそれを見逃さない。

「青いクマノミのスキル発動!シーギャング_ダツのスキルをキャンセルするので!」

その宣言により、シーギャング_ダツは元の状態に戻る。

(青いサンゴ礁が真っ先に狙われるなんて、いつものことなので)

青島は落ち着いていた。

この繰り返しを続けていればいつだって勝てていた。

この瞬間までは。


再び西谷にターンが渡った瞬間---

〈ドン〉

青いタツノオトシゴの1体が凶弾を受け、フィールドから姿を消した。

「え…?」

余りの光景に、青島も一瞬言葉を失う。

「ひどいなぁ〜、せっかくのスキル発動をキャンセルしちゃうなんて」

明るい口調で西谷が話しかけてくる。

「でもキミは選んだんだ、結果は受けてもらわないとね」


青島が西谷の陣地を確認すると、シーギャング_カレイのスナイパー銃から煙が流れていた。

「そんな、なんで急に…?」

青島の動揺を察して、西谷は説明に入る。

「シーギャング_カレイは、スキル発動がキャンセルされたときに、相手のコマに2ダメージを与えることが出来るんだ」

「ス、スキルならなんで青いクマノミで止められなかったので!?」

「カレイは砂に潜る、潜ったカレイを見つけるのは至難の技」

「シーギャング_カレイはそんな生態を意識しているのか、相手のコマのスキルを受けない」

「だから止められない、分かったかな?」

「普段は静かに砂に隠れて、不義を仕掛けた相手に不可避の断罪を撃ち込む、僕のお気に入りさ」


青島は状況を飲み込めていない様子だ。

西谷は続けて言う。

「飲み込めていないみたいだね、だから落ち着いた方がいいって言っておいたのに」

「君にはこれから選択肢が与えられる、僕のスキルをそのまま通すか、キャンセルしてシーギャング_カレイに前列からコマを撃ち抜かれるか」

「よく考えて選択したほうがいいよ?」


青島は冷や汗をかいている、先ほどまでの熱気は完全に霧散していた。

(青いサンゴ礁を狙われ続けるのが一番ダメ、でもキャンセルするとシーギャング_カレイにコマ達がやられていく…)

(どっちを選んでも、僕にメリットは無いので…!)

西谷から突然突きつけられた選択の二重拘束、果たして青島は正解にたどり着けるのか…?


(第19-1話 終)

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