第13-2話 水豚乱舞
(40ターン目)
小崎のターン、それが終わり次第超重量!ボムの富士のスキルが発動して試合が終了する、そんな瀬戸際のターンである。
段田が小崎に問いかける。
「次でこの勝負の決着が着くだろうが、何か言っておくことはあるか?」
小崎が話し出す。
「わたちゅ、嘘を付いてました、一つはハムリーズは皆穴を掘る共通スキルを持ちゅってとこと…」
「そしてこの状況が突破できなくもないってこと」
「マジかよ!?」
小崎のまさかの発言に段田は驚く。
「EXデッキからEXモンスターみんなの兄さん_カピバラさんを登場させまちゅ!登場条件は40ターン経過以降、今が丁度達成ターンでちゅ!」
小崎がそう唱えると、フィールドにカピバラの姿をしたモンスターが登場した。
ウサギっちやモルモッちと大きさを比較すると、画面上倍近く大きく見える。
「みんなの兄さん_カピバラさんのスキル発動!自分のハムリーズをみんなの兄さん_カピバラさんの上に乗せて、一緒に移動させることが出来まちゅ!」
小崎がそう説明すると、フィールドのウサギっちやモルモッちが、みんなの兄さん_カピバラさんの体毛を上り始め、背中の頂上まで移動を完了させた。
小崎が声を上げる。
「みんなの兄さん_カピバラさん、出発でちゅ!」
みんなの兄さん_カピバラさんは走り出し、一度の移動で中間エリアの5-Eマスまで移動してしまった。
「そんな回避方法有りなのかよー!」
段田は目の前の光景に驚愕する。
当然小崎の陣地はもぬけの殻となり、超重量!ボムの富士の渾身の大爆発も空振りする結果となった。
「ふぅ~、危ないところでちゅた」
小崎は大げさに額に手を当てる。
1ターンキルの可能性こそ潰えたが、段田は諦めない。
(1ターンキルこそ失敗したが、小崎の獲得ポイントは自爆のボム太郎1体分の6、こっちはハムっち8体分の16)
(みんなの兄さん_カピバラさんがどんなパワーかは知らねぇが、パワーが10の自爆のボム太郎3体のバトル+自爆スキルでぶつかっていけばどんな相手でも倒しきれるはず…)
段田が防御策を考えているところに小崎が話し掛ける。
「考え込み中のところ失礼なのでちゅが、もうわたちゅの勝ちなんでちゅ」
「はっ!?」
小崎の突拍子の無い勝利宣言に段田も驚きを隠せない。
「俺ルールカード発動水豚乱舞!このターンしか効果が適用されない、みんなの兄さん_カピバラさん専用のカードでちゅ!」
「まず、みんなの兄さん_カピバラさんのパワーは、みんなの兄さん_カピバラさんの上に乗っかっているハムリーズの数✕8アップしまちゅ!」
「今みんなの兄さん_カピバラさんの上に乗っているハムリーズはウサギっちが3体、モルモッちが4体でちゅ」
「つまり、みんなの兄さん_カピバラさんのパワーは、元のパワーに水豚乱舞の効果がプラスされて、パワー68でちゅ!」
「パワー68!?」
段田の陣地の総パワーは60のため、この時点で正攻法での勝ちは無くなってしまうが、
「更にみんなの兄さん_カピバラさんはこのターン、パワーがゼロになるまで連続でバトル出来まちゅ!」
「小細工もさせてくれねぇのかよー!?」
段田の叫びも虚しく、みんなの兄さん_カピバラさんは虹のオーラを纏って段田の陣地に突っ込んだ。
段田の陣地にコマは残らず、小崎の完全勝利となった。
控え席に戻った段田は4人に謝罪する。
「面目ねぇ!!俺が念を入れてハムリーズの数を減らしておけばこんな結果ならなかったのに!!」
4人は段田の謝罪を受け入れたが顔色は悪い。
試合は既に2敗、残る菜蔵か青島が負けた瞬間、全国コマバト選手権出場が叶わなくなる。
重い空気のなか、青島が次の勝負名乗りを上げる。
「つ、次は僕が---」
「いや、俺が行く!」
菜蔵は青島の希望を遮る。
「前の試合はコイツの想定不足で負けたんだ、そんなやつが一朝一夕で対策を練れると?俺は思わない!」
「どうせ勝負が決まるっていうなら闘って負けたい!良いだろ?」
「ううう…」
試合の自分の負い目を出されると、青島は返す余地が無くなってしまう。
「ちょっと菜蔵くん、そんな言い方は酷いよ!」
菜蔵の余りの突き放しぶりに天塚は抗議を口にするが、駒場がそれを止める。
「行かせてやろうぜ江留ちゃん、アイツだって俺達と同じく優勝するために全力で闘ってんだ」
「ここで行かせなきゃ、仮に青島が勝ったとしても菜蔵に睨まれっぱなしだぜ!」
「わ、分かったわよ…」
こうして半ば強引に勝負の第4戦は菜蔵が出ることに決まった。
テーブルでは既に割当中の富野太郎が待ち構えている。
「見せてもらおうか、六角中の最後の足掻きというものを!」
(第13-2 終)
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