第12-2話 痺れる一手
(33ターン目)
「見習い天使を移動」
「トップウダケのスキル発動しまっしゅ、見習い天使を3マス後ろに下げまっしゅ」
「えっ、3マス後ろって…」
3マス後ろにはずっとバトルを躊躇っていたプヨプヨブナシメジが立っている。
勿論強制バトルである。
「天使教官_キャサリンのスキルで見習い天使のパワーを+2、バトルは見習い天使の勝ちよ!」
結果として見習い天使は毒マスに乗ってしまう。
「ちなみに毒マスの効果は、各ターンの始めにキノコモンスター以外のモンスターは1ダメージ食らいまっしゅ」
「やっぱりロクな効果じゃないじゃない!」
(36ターン目)
(よし、後1ターンあればアシツルダケに手が届く!)
「見習い天使を移動」
「カミンダケのスキル発動しまっしゅ、見習い天使を3ターン移動力ゼロにしまっしゅ」
「もう、何なのよ〜」
(42ターン目)
3回目の挑戦で、天塚はアシツルダケを倒すことが出来た。
「よ、ようやく倒し終えたわ…」
「ご苦労様でございまっしゅ!アミーもやりたいこと大体出来て良かったでしゅ」
しかしその結果は対照的だった。
天塚はコマを半分以上減らし、編笠はキノコモンスターを20体に戻していた。
天塚は考える。
(損害は大きかったけれど、これでEXモンスターを自由に出せる、後3ターン待てばこの天地鳴動で…)
(…天地鳴動?)
天塚は少し考え込み、ようやく己の失策に気付いた。
(いやいやいや、アシツルダケをわざわざ倒しに行く必要無かったじゃん!雨のカミタマ_エル・アマガちゃんや復活のカミタマ_エル・ヨミガちゃんを出さなくても解決できる状況だったし!他のキノコモンスターも移動力ゼロでこっちに来られないの分かっていたし!適当にターンを潰して天地鳴動を打っていれば楽々勝てた勝負じゃない!うわーやらかしたー)
固まった天塚を心配してか、編笠が声を掛けてくる。
「あのー、どうかしまっしゅたか?気分がよくないように見えまっしゅが…」
「だ、大丈夫大丈夫、心配しないで!」
天塚は気持ちを切り替える。
(よし分かった、私もう天地鳴動を打つまで何もしない!)
(44ターン目)
編笠が話し掛ける。
「天塚さん、動きが静かになりまっしゅたね」
先ほどとは打って変わって陣地から動こうとしない天塚に揺さぶりをかけようとしているのだろうか?
「さぁ?どうでしょうね?」
(耐えるのよ私、ココでアイツに勘付かれたら全てが水の泡よ)
編笠は続ける。
「うーん、ゲーム終盤の40、45ターンは戦況を逆転させるためのスキルや俺ルールが飛んでくるってよく聞きまっしゅので念のため…」
「EXデッキからEXモンスターキノコ界のスーパースター_マツタケダ・ケンを登場させまっしゅ!」
「ここでEXモンスター!?」
「キノコ界のスーパースター_マツタケダ・ケンの登場時スキル発動!自分のキノコモンスターを好きな数破壊出来まっしゅ!」
「また自分のモンスターを破壊するの!?」
「アミーは、自分のキノコモンスター全部を破壊しまっしゅ!」
「全部…、えっ全部!?」
「こうして破壊したキノコモンスターの数✕2までキノコ界のスーパースター_マツタケダ・ケンはパワーを上げられまっしゅ!」
スキル処理後のキノコ界のスーパースター マツタケダ・ケンのパワーは、素点5と破壊したキノコモンスター20体分を合わせて45の大型モンスターとなっている。
しかしそれより何より、
(終わった…、もう天地鳴動なんかじゃ相手のモンスターを倒せない…)
天塚は頼みの綱だった天地鳴動によるキルが不可能になったことに気付き、絶望仕掛けるが、
(諦めちゃダメ!天地鳴動の前にEXモンスター全部を天使教官_キャサリンのパワーアップ込みでぶつけて、最後に天地鳴動を放てば数値的には逆転出来---)
逆転への構想を練っている天塚の耳に編笠の声が木霊する。
「ダメ押しでこれも唱えておきまっしゅ!俺ルールカード麻痺胞子発動!これから先、全てのモンスターはスキルが発動出来なくなりまっしゅ!」
(!!?)
天塚に衝撃が走る。
「さぁ、やれることは全部やり切ったでしゅ、キノコ界のスーパースター_マツタケダ・ケンが倒されればアミーの負けでしゅ!」
天塚は悲痛の表情で編笠に告げる。
「…負けました」
「やったー!勝ったでましゅー!」
試合中盤の見習い天使撃破によるポイント差をキノコ界のスーパースター_マツタケダ・ケンの登場によって埋める術が無くなり、俺ルールカード麻痺胞子によってキノコ界のスーパースター_マツタケダ・ケンの撃破自体も不可能となった天塚には敗北宣言しか残されていなかった。
悲痛な表情のまま天塚は控え席に戻る。
天塚はまず4人に対して謝罪を行う。
「動かなければ勝てるはずの勝負だったのに、余計なことをして負けちゃってごめんなさい…」
天塚への4人の回答は励ましだった。
「気にすんな、知らないものに突っ込みたくなんて初心者あるあるだぜ」
「落ち込みすぎないでほしいので」
「悔しいってことは、また一歩コマバトラーらしくなってきたってことだぜ!」
「今回は相手のプレイも上手かった、パワーの低いモンスターは積極的に破壊してポイントを稼がせないようにしたうえでのスキル封じで逆転の目を摘む、そんな悲観するような敗北じゃないさ」
段田は試合場に向かう。
「よし、また先輩の威厳を見せるために、パパっと勝ってきますか!」
「段田先輩、よろしくお願いします!」
(第12-2話 終)
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