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第7-2話 青島の慢心

(40ターン目)

(あと10ターン、何事も起きなければ僕の勝ちなので…)

青島は粘っていた。

青いクマノミのスキルキャンセル戦術を封じられ、経験したことのない程の猛攻撃に晒されることとなった。

しかし青いハタのスキル遅延で攻撃を足止めしながら青いイルカでパワーを下げ続け、ついに乃関のコマ全てのパワーをOTK!の効果圏内に揃えることに成功した。

(何か狙っているねぇ〜)

一方的に攻撃晒されながらも反撃に来ず、それでいて目に力を感じる青島の様子に乃関は不審感を覚えた。

(そろそろ試してみるかねぇ〜)

「EXデッキから炎のマグネッツロボSを登場させるねぇ!場所は1-Aマスだねぇ!」

乃関がそう宣言すると、青島の陣地隅に真っ赤なカラーリングのロボットが姿を現した。

「予告するねぇ!3ターン以内に炎のマグネッツロボSを撃破して置かないと、大変なことになるんだねぇ!」


「なんでぇ脅かしやがって、ただのバニラモンスターじゃねぇか!」

画面からステータスを確認した菜蔵がぼやく。

段田も話し出す。

「確かにスキル表記は無いパワー5のモンスターだ」

「しかし乃関のデッキコンセプトが磁石なことを考えると、大分ヤバいことになる気がするぜ」


青島は乃関に言う。

「フ、フン!何なので今更こんな弱々モンスター!」

「御大層にEXデッキから登場したりして、期待外れもいいとこなので!」

「こんなやつ、青いイルカのスキルで鉄くずに変えてやるので!」


(43ターン目)

「う〜ふっふっふ、結局わっちの忠告を無視したねぇ~」

「騙されないので!どうせ名前にNって付いた似たようなコマが出てくるだけなので!」

「半分正解だけどもねぇ〜、そんな甘い効果じゃ済まさないんだねぇ〜!」

「EXデッキから氷のマグネッツロボNを1-Iマスに登場させるねぇ!ちなみに登場条件は炎のマグネッツロボSが登場してから3ターン経過することだねぇ〜」

「それ見たことかなので!」

「磁石の怖さはここからなのねぇ~!俺ルールカード電磁合体発動!!なのねぇ~」

「ここで俺ルールカードなので!?」

「フィールドの同じ列に炎のマグネッツロボSと氷のマグネッツロボNが存在するときのみ発動できるのねぇ〜!2体を破壊し、その中間となるマスにA級機関_マグネッツロボVを登場させるねぇ~!!」

「更に2体の間に存在するコマは無条件で破壊されるねぇ〜!!」

「えぇっ嘘でしょで!?」

炎のマグネッツロボSと氷のマグネッツロボNの間には青いイルカ、青いハタ、そして青島のデッキの根幹のコマ青いサンゴ礁が存在している。

「ねぇ、ちょっと止めて、待って---」

「無駄無駄ァ!!既に効果処理は始まっているのねぇ〜!!」

「イヤァァァァ!!」

青島の悲鳴が木霊するなか青島のコマ達は次々と粉々にされていき、ついに乃関のエースが登場した。

「磁石の力は無敵の力!悪いヤツらは挟んで爆砕!A級機関_マグネッツロボVただいま見参!なのねぇ~!」

「さぁさぁ、こっからどうやって捲ってくれるのかねぇ~?EXデッキから代用モンスターが出てくるのかねぇ~?それとも俺ルールカードで弱体化---」

「降参します」

「うや?」

「もう負けでいいです、対戦ありがとうございました」

乃関は青島の顔を見た。

その顔には険しさや熱気が無くなり、勝機を失った状態であるのが明らかな様子だった。


天塚が菜蔵に問いかける。

「あの青島ちゃんのEXデッキってEXモンスター---」

「元から入ってねぇよ」

段田も付け足す。

「今までEXモンスターに頼らずとも圧勝出来てたから投入する必要すら無かったんだろうね」

「こっからどうするかが今後のアイツの課題だな」


試合場では正式に試合結果がジャッジにより宣告され、第3試合は乃関の勝利となった。

敗北を受けとめ暗い表情の青島に乃関は語りかける。

「どうして備えなかったのね?」

「え?」

「ユーのデッキならもっと高みを目指せるはずなのね、それなのにEXモンスターも無し、サンゴ礁へのケアも無しなんて、余りにも見通しが甘すぎるのねぇ!」

「こんな闘い方するんじゃ、コマ達もユーの仲間達も可哀想なのねぇ~!」

「…」

「次闘うことがあったとしたら、もっと楽しめる勝負にしようなのねぇ~」


控え席に戻った青島は、明るい口調で切り出した。

「いやー参った参ったなので!」

「あとちょっと耐えられれば僕の圧勝だったのに、あんな初見殺し避けられるワケ無いので!」

「まぁ段田パイセンと天塚ちゃんが頑張れば2回戦に進めるので、そっちこそ頑張るので!」

自身の敗北に対する負い目をまるで感じ無い青島の態度に、菜蔵が掴みかかる。

「ふざけんじゃねぇぞクソ根暗!!」

「負けたにしたって謝り方ってもんがあんだろうが!何段田先輩と天塚ちゃんに責任押し付けてんだよ!!」

「次負けちまったら俺達の負けなんだぞ!段田先輩にどれだけ---」

「もう止めろ菜蔵!」

「そうよ、流石に落ち着きましょう!」

駒場と天塚が二人の間に割って入る。

段田は菜蔵に語り掛ける。

「気負い過ぎんな菜蔵、ここは先輩の意地でサクっと勝ってきてやるから、あんま青島をイジメてやんな」

「ケッ」

菜蔵は青島から手を話す。

「そうなので、これでもしっかり反省してますので!」

「ちょっとトイレ行って来ますので!」

青島は1人控え席から廊下に向かう。


(女子トイレ)

「うぁぁぁぁ!!」

青島は声を出して泣いていた。

人生始めてのコマバト勝負での敗北。

始めて対戦相手から受けた叱責。

仲間からの期待を裏切り、さらに険悪な状況を作り出してしまった罪悪感。

菜蔵達の前でおちゃらけてしまい、素の感情を伝えられなかった後悔。

どれもが今の青島には受け入れがたく、感情を抑える術を持たなかった。

青島は鏡の中の己に誓う。

「今度こそ…、今度こそ勝って見せますので…」


(鉄鉱中控え席)

対戦を心待ちにしている少女がいる。

次の段田の対戦相手大玉転路である。

「来てるよ来てるよ良い流れ!ココで勝てなきゃ女がすたる!ジャンジャンバリバリ玉出して!掴む全国出現権!」


(第7-2話 終)

この作品、全力で書いています。

「面白かった」と思っていただけたなら、ブックマーク・ポイント・コメントのどれか一つだけでも押していただけると、執筆の大きな原動力になります。

皆さんの反応が、次の話を書く燃料です。

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