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第7-1話 決死の磁力戦

試合場となるテーブルを挟み、鉄鉱中の乃関

弓(のぜき_ゆみ)と青島は向かい合っている。

乃関が青島に語りかける。

「やぁやぁやぁ、お互い一対一でプラマイゼロ、気負わず楽しくやろうねぇ〜」

両手を前に広げて笑顔で友好的な態度を見せる乃関。

しかしその目は笑っておらず、何か企みがあるような様子である。

「先輩達に見せて、いや魅せてやりますので…」

「最強伝説青島の始まりってやつを…」


乃関弓: デッキ名「ギュンギュンマグネッツ」

岩石や大理石のような見た目をしたキャラクターが多い。

相手のコマを手前か奥のマスに移動させるという、まさしく磁石のような共通スキルを持つ。


乃関が先に仕掛ける。

「マグネッツI型のスキル発動!自分の陣地にいるベビーマグネッツを、同一の列にいる青いタツノオトシゴに向けて射出!3ダメージを受けてもらうねぇ~!」

青島はそれに対抗する。

「青いクマノミのスキル発動!マグネッツI型のスキルをキャンセルして、ダメージを無効にしますので!」

「青いイルカのスキル発動!マグネッツI型のパワーを1に変更!」

「うややや、困ったねぇ~」


試合の様子について、天塚は感想を口に出す。

「やっぱり青島ちゃんのデッキって強いですよね!相手に何もさせないで相手のパワーを一方的に下げ続けて、最後は俺ルールカードで一撃必殺!今回も楽々勝てるんじゃないでしょうか?」

「いや、そうとは限らねぇ」

天塚の楽観的展望を、駒場が切り捨てる。

「確かに相手が正攻法で向かってきてくれるうちは青島に勝てるデッキはほとんど無いだろう」

「ただしあのデッキには致命的な弱点がある!そこを相手に気付かれでもしたら、青島も大分苦戦することになるぜ!」

「致命的な弱点?」

菜蔵が話し始める。

「青島も乃関ってやつのモンスターをどんどんパワー1に弱体化させてっけど、さっきからマグネッツI型のスキルでベビーマグネッツを飛ばそうとばかりしてっから、多分バトルに向かって来ねえぞアイツ」

段田も続く。

「乃関のフィールドにはまだ未行動のマグネッツU型がいる」

「相手のキャラクターモチーフが磁石で、マグネッツI型のスキルが磁石の斥力を再現しているとしたら、嫌な予感がするな…」


(20ターン目)

現状相手のスキルを完封し、順調に50ターン目のOTK!発動への布石を積み、青島はご機嫌状態で乃関を煽り始めていた。

「乃関ちゃーん、どこを狙っているんでちゅかね〜?全然攻撃が届いてないちゅよ〜?」

「う〜、それはわっちの発動するスキルを片っ端からあのクマノミがキャンセルしていくせいだねぇ~」

「言い訳はい♡い♡わ♡け♡もっと頭を使わないと、このまま負けちゃいまちゅよ〜?」

「う〜、それもこれもあのクマノミのせいなんだねぇ〜!」

「マグネッツU型のスキル発動!このコマと同列の相手のコマを1体選び、5-Eマスに移動させるねぇ~!」

「無駄でちゅねぇ〜♡そんなスキル青いクマノミの効果で…」

「マグネッツU型のスキル発動は、相手のコマのスキルでキャンセル出来ないんだねぇ~!」

「えっ!?」

「さっきから後ろに隠れて悪さしてさ、ユー!オモテに出ちゃいなよ!」

乃関にとってこの試合始めてのスキル発動が成立し、青いクマノミがフィールドの5-Eマスに移動させられる。

「おやおや?」

乃関があることに気付く。

先ほどまで青島の陣地にいた時は相手を下に見るような表情で真っ青な姿をしていた青いクマノミが、怯えた表情で目線を下げ、体色も大分色褪せた様に見える。

「おやおやおやおや、スキルも消えちゃってるねぇ~」

乃関は念のため現状の青いクマノミのステータスを確認してみた。

するとスキルキャンセルについての表示が消失しており、スキル無しのモンスターとして表示されていた。

「まいったねぇ~、これはノーベル賞モノの大発見だねぇ〜」

乃関の口角が吊り上がっていく。

青島の方はというと、

「あの、今のクマノミちゃんはちょっと、人前に出されて緊張しちゃってるので…」

先ほどまでの余裕は消え失せ、挙動不審の言動を繰り返している。


天塚は駒場に問いかける。

「何が起こったの?青島ちゃんの青いクマノミが、急にスキル無しになっちゃうなんて!」

「そう、アレが青島のデッキの最大弱点、青いモンスターは青いサンゴ礁のある自分の陣地の中でだけ、強力なスキルを使用できる」

「だからああやって何かしらの方法で自分の陣地から移動させられちゃうと…」

「スキル無しのバニラモンスターに早変わり!諸刃の刃ってやつだ」

「そんな…じゃああんな感じでマグネッツU型に引っ張られちゃったら…」

「…青島ちゃんは負けるだろうね」

「そんな…」


青いクマノミのスキル消失化により状況は一変する。

スキルキャンセルが封じられ、一気に苦境に立たされる青島。

乃関が青島を挑発する。

「おやおやおやおや〜?さっきまでの人を舐めきったような態度はどうしたんだねぇ~?まさかこんな小技でお手上げ宣言なんてしないよねぇ~?」

「甘く見ないで欲しいので!スキルがキャンセル出来ないなら、スキルを発動しにくくするだけなので!」

「青いハタのスキル発動!マグネッツU型のスキル発動までに掛かるターンを+3する!」

「うややー!何でイジワルなスキルばっかり使うのね〜!」


青島のプレイに控え席も反応を示す。

「よし、良いぞ青島!そのまま最終ターンまでマグネッツU型のスキルを金縛りにしちまえー!」

「とりあえず各個撃破で陣形崩壊の危機は回避できたが…」

「こっから先は乃関のスキルはバンバン通る、青島がそれを凌ぎきれるか…」

「青島ちゃん…」


「ここから先がマグネッツモンスター達の本領発揮なんだねぇ~!」

乃関の攻撃が幕を開ける。

「マグネッツI型のスキルを発動!ベビーマグネッツを、同一の列にいる青いタツノオトシゴに向けて射出!3ダメージを受けてもらうねぇ~!」

無論スキル発動は通り、パワー2の青いタツノオトシゴは撃破されてしまう。

「スキル発動後のベビーマグネッツは墓地に送られるねぇ~」

「青いイルカのスキル発動!マグネッツU型のパワーを1に変更!」

「墓地にいるベビーマグネッツのスキル発動!マグネッツI型のスキルで墓地に送られた場合、フィールド上に復活させられるねぇ~!」

「えっ!?」

マグネッツI型のスキルで消耗され、マグネッツI型の実質的なスキル発動残数だと思われていたベビーマグネッツの墓地からの復活に、青島も驚きを隠せない。


「アイツ達のスキル良いなあ〜」

段田はマグネッツI型とベビーマグネッツのコンビ攻撃を羨ましがっていた。

菜蔵が段田に尋ねる。

「やっぱ爆弾モンスター達と違ってスキルを使っても消えないからですか?」

「そうなんだよ、俺も割り切っているつもりなんだけどさ、攻撃の度に使えるコマがどんどんフィールド上から減っていくのは気持ち的に辛くてな〜」

「再利用できる爆弾とか聞いたことないですもんね」

「俺も今日からマグネッツモンスターにデッキ切り替えようか…」

「そりゃ爆弾発言ですよ!」

二人の戯言は聞き流し、駒場は戦況を分析する。

「あの乃関ってやつプレイが上手いな」

「そうなの?」

天塚が聞き返す。

「さっき5-Eマスに移動させた青いクマノミ以外のコマにだけベビーマグネッツで攻撃を当てている」

「でもそれっておかしくない?青島ちゃんの他のコマの効果で元の場所に青いクマノミを戻されちゃったらまたスキルキャンセルで攻撃を止まられちゃうのに…」

「おそらく青島の行動パターンだとそういったスキル持ちが居ないっていうのに乃関が気付いたんだろう」

「下手に撃破してしまうと仮に蘇生スキル持ちがいた場合、青いクマノミを復活させられて最初の状態に戻っちまう」

「無闇にフィールド状況を変えようとしない、熟練した判断ができる証拠だぜ」

「じゃあこのままじゃ…」

「フィールドを見てみな」

駒場に促され、天塚は画面を確認する。

「あっ!」

そこにはほとんどのパワーが1に変更されてしまった乃関のコマ達が写し出されていた。

「残り12ターン、イレギュラーが起こらなければ青島にも勝利の目がある!」

「青島ちゃん頑張って…」


(第7-1話 終)

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