表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/45

第6-2話 城・檻・棺桶

「ハァァ…」

駒場の持論に対して、要は物憂げな表情でため息一つを返した。

「残念というほかありませんわ…、私はただ目の前の勝負に一生懸命に取り組んでおりましたのに、そのような雑念にお熱でしたなんて…」

「それでも構いませんわ、闘うのがお嫌いでしたらそのままで結構」

「その結果、大事なポイントを獲得するチャンスを袖にした、それだけはお忘れ無いようにお願いいたしますわ」

「強欲なるブーちゃん像のスキル発動!パワーを-5、コストを+5ですわ!」

これで強欲なるブーちゃん像のパワーは5、ポイントは45となった。

この機会を逃せば、駒場に獲得ポイント数で逆転する手段は無くなる。

「最後の5ターン、悔いのない選択をお祈りいしたしますわ」


「おいおい大丈夫かよ駒場!相手全然ビビってねぇじゃねぇか!?」

「段田さんどう思います?駒場の考えは当たっていると思います?」

菜蔵が段田に問いかける。

「普通人間は相手に本心を暴かれたとき、口調の変化や目が泳ぐなど身体的に目立つ変調が表れるもんだ。あの落ち着いた様子だと、本当に駒場の予想が検討違いだった線も否定出来ない。」

「でもでも、ここで強欲なるブーちゃん像を倒せなかったら…」

「危険を承知で飛び込むしかないだろうな…」

「Dead_or_Diveなので」


運命の時。

駒場が動き出す。

「男の決断に5ターンは要らねえ、1ターンで決めてやるぜ!」

「リトルスローワーを昇格プロモーション!昇格条件はスキルを3回以上使用すること、勿論達成済みだぜ!」

「EXデッキから登板の時間だぜ!仲間の思い、仲間ごと相手にぶつけてやれ!ビッグスローワー!」

画面外からリトルスローワーのマスに向かって、リリーフカーに乗ってビッグスローワーが現れる。

リトルスローワーとビッグスローワーがタッチすると、帰りのリリーフカーに乗ってリトルスローワーは退場していった。

「プロ野球選手かよ!?世界観どうなってんだ!?」

思わず菜蔵が画面越しに突っ込む。


「ビッグスローワーのスキル発動!このコマ隣接するマスに配置されている自分のコマを1体選ぶ。そして相手のコマ1体を選び、選んだ自分のコマとバトルさせる!」

「俺は自分のコマからリトルナイトを選ぶ!対戦相手は勿論強欲なるブーちゃん像だ!」

ビッグスローワーがリトルナイトの頭を鷲掴みしたかと思うと、そのまま綺麗な投球フォームでリトルナイトを投擲した。


パワーが1のリトルナイトをバトルさせようとする蛮行に、流石に要も驚く。

「あらあらまぁまぁ、急に算数をお忘れになって?それとも打つ手なしで勝負を"投げる"と意味を掛けておられまして?」

「俺がやっているのは算数じゃねぇ、コマバトだ!俺ルールカード発動下剋条例!!直後に行われるバトルの勝敗結果を逆転させる!自分のコマはこのバトルによるダメージを受けない!」

「な、な、な、何ですって〜っ!?」

加速に乗って弾丸と化したリトルナイトは、ブーブー守護兵達の間をすり抜け、強欲なるブーちゃん像に直撃した。

粉々になり崩れ落ちる強欲なるブーちゃん像。

そして駒場のポイント表示には45が刻まれていた。


「やったー、ポイント数で勝ったー!」

天塚は単純に喜んでいる。

しかし菜蔵、段田は浮かない顔で勝負の行方を注視している。

「遂にやりましたね…」

「あぁ、後は鬼が出るか、蛇が出るか…」

「はたまた豚が出るか…」

「青島ぁ!真剣な時にふざけるじゃなあい!」


「あ~ららら…」

要は少しショックを感じた様子で俯いている。

「私の可愛いブーちゃんを壊した殿方には、お仕置きが必要ですわね」

要は胸元から俺ルールカードを取り出す。

「俺ルールカード発動ですわ!九連防豚!!自分の陣地マスから一行手前に、ブーブー防御トークンを9体、フィールドに登場させますわ!!」

要がそう宣言すると、フィールドの地面から一斉に機動隊の防具を装着した豚達が一斉に這い出してきた。


「マジかよ…」

控え席のモニターに表示されたブーブー防御トークンのステータスを見て菜蔵は絶句する。

「相手のコマはこのコマとバトルを行う事が出来ないって何だよ…」

「しかもそんなコマが横一列、特殊な移動方法のコマじゃないと突破不可能、まさしく檻だな」

「やっぱり駒場くんの考えは合ってたんだ!」

「菜蔵パイセン菜蔵パイセン」

「何だよ青島」

「豚、出てきましたよね」

「出たからなんだってんだよ」

「謝って下さい」

「いきなり何だ---」

「あやまってください」

「…ゴメンナサイ…」

「よろしいので…」


要はさらに続ける。

「私はEXデッキからEXモンスターを登場させますわ!登場条件はあなたの御明察通り自分の陣地内に相手のコマが1体以上存在すること!」

「おいでなさい!私のエース!豚将_ブタマルク!!」

「ブイィィィヤァァァ!!」

要がそう宣言すると、雄叫びをあげながら巨大な豚に跨り、禍々しい装飾の黒い甲冑を身に着けた豚の戦士が駒場の陣地に出現した。

そのパワーは驚愕の40!

豚将_ブタマルク1体で駒場の陣地に残るコマ全ての合計パワーを上回っている。

「この子は私の陣地から相手のコマが居なくなると破壊されてしまうというのが玉にキズですが、こうやって相手のコマを閉じ込めてしまえば強力無比!誰にも止められませんわ〜!」

「そのまま豚将_ブタマルクでリトルプリーストとバトル!リトルプリーストを破壊いたしますわ!」

「どうですこの圧倒的強さ!もうイタチごっこは許しませんわ!あなたはこれから9ターンで逃げ切れる---」

(パンパンパンパン)

要の言葉を遮る様に駒場は拍手をならす。

「いやー強い強い!こんなモンスターは俺のデッキじゃ止められませんわー!」

急に相手のコマを褒めちぎる駒場の態度を要は不思議がる。

「…何が言いたいんですの?」

「俺のデッキじゃ止められないから、アンタのお城で止めといて欲しいなって!」

「!いきなり何を---」

「リトルテレポーターをビッグテレポーターに昇格プロモーション!昇格条件はゲーム中スキルを5回以上使用すること、勿論こっちもクリア済みだぜ!」

「そんなっ…、まだEXモンスターをお持ちでしたの!?」

「来たれ!万物を有るべきところへ戻せ!ビッグテレポーター!!」

「ビッグテレポーターのスキル発動!選んだコマ1体を、指定したマスに移動させる!選ぶのはもちろん豚将_ブタマルクだぜ!!」


一瞬のうちに要の陣地に転送される豚将_ブタマルク。

陣地を出ようにも、ブーブー防御トークンが道を塞いでいる以上、もう相手の陣地まで移動することは出来ない。

駒場が要に語りかける。

「檻というか棺桶みたいな状況だろうけど、残り9ターン、楽しもうぜ!」

「いやぁぁぁぁ!!」


控え席では歓喜に沸いていた。

「いやったぁぁぁ!!」

「これで要選手はまともに攻撃出来ない!ブーブー弓兵のスキルなんかじゃこのポイント差はひっくり返しようがない!駒場の完全勝利だ!」

「出れねぇ豚はただの豚、なので!」

その後大きな波乱も起きず、駒場の獲得ポイント45、要の獲得ポイント37で第二戦は駒場の勝利で決着した。


勝負後、要は駒場に問いかける。

「どうして疑わなかったんですの?」

「40ターンのあの場面、私は動揺を完璧に隠しきって凌いで見せたはず、それなのに何故…」

「俺を曲げたくないから」

「え?」

「試合中のアンタのコマの動きを見て、アンタの顔の動きを見て、アンタの試合中の全てを見て考え抜いて出した答えが"何か隠してる"だったからさ」

「それが土壇場で考えを変えてしまうようじゃ、俺が俺を信じられなくなる!そうなったら勝負を楽しめなくなる!だから突っ込んだ!それだけのことだぜ!」

「…熱いお方ですのね、楽しいバトルをありがとうございましたわ、幸運をお祈り申し上げますわ」

「おう、また勝負しようぜ!」

控え席に去りゆく駒場の背中を、要は名残惜しそうに見つめていた。


菜蔵が活を入れる。

「よぅし、これで一対一の同点だ!任せたぜ青島!」

「グッドラックですので!」

青島は親指を立てる。

「いや、次お前の出番なの!」

菜蔵は青島の背中を押す。


(鉄鉱中控え席)

乃関弓は怪しく微笑む。

「要っちは残念だったねぇ〜」

「でも安心して、わっちが勝利を引き寄せて見せるからねぇ〜」


(6-2話 終)

この作品、全力で書いています。

「面白かった」と思っていただけたなら、ブックマーク・ポイント・コメントのどれか一つだけでも押していただけると、執筆の大きな原動力になります。

皆さんの反応が、次の話を書く燃料です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ