第3-2話 天塚江留VS駒場斗真
(2日後)
「「コマバト勝負開始!」」
菜蔵、段田、青島が見守るなか、駒場と天塚のコマバト勝負が開始された。
駒場は意気揚々と天塚に話し掛ける。
「自分から勝負に誘ってくれるとは嬉しいぜ江留ちゃん!」
天塚も答える。
「私だって皆に負けずに闘えるってところ、見せてやるんだから!」
2人の快活な受け答えにギャラリーの3人も期待が高まる。
「まさかあんなにコマバトを毛嫌いしていた天塚ちゃんがこんなにハマってくれるとは」
「まぁ、本人の使いたいデッキが決まってまずは何よりだ」
「昨日の敵は今日の友って古い言葉もありますので」
試合はまず駒場が動いた。
今回からデッキに投入したリトルサポーターは、スキルで他のコマのパワーを+2することが出来る。
「リトルサポーターのスキルを使用して、リトルナイトのパワーを3にする!」
「そしてリトルナイトで江留ちゃんの見習い天使とバトルだ!」
勝負が開始して初のバトル。
天塚の采配にギャラリーの注目も集まる。
「見習い天使のパワーは1、普通のバトルならリトルナイトがパワーを2残して勝利出来る」
「しかもリトルナイトには昇格がある。ビッグナイトにフィールド上で暴れられたら、流石に逆転は難しいだろうな」
「流石に天塚先輩もそれは承知のハズですので…」
ギャラリーの期待に応えるように、天塚は高らかに宣言を行う。
「この瞬間、天使教官_キャサリンのスキル発動!自分の天使モンスターがバトルする時、パワーが相手のコマより小さい場合に、天使モンスターのパワーを+3する!」
「何!?」
まさかの反撃に駒場も面食らってしまう。
結果的にリトルナイトのパワー3に対して見習い天使はパワー4となり、リトルナイトは破壊され、フィールドにはパワー1の見習い天使だけが残されていた。
まさかの逆転にギャラリーも沸く。
「ハァ?パワーが上がるのバトル中だけじゃなくて永続なのかよ、強えー!」
「自分のコマが相手よりパワーが小さい時のみという条件付きだが、パワーの大きい相手のコマにも積極的にぶつかっていける、良いスキルだ!」
「ディフェンスイズマックスパワーってヤツですので」
天塚は意気揚々とデッキの選択動機を述べ始める。
「どうよこのデッキ!弱きを助け強きを挫く!優しくてエレガントな私にピッタリなデッキだと思わない?」
天塚のデッキ選びに共感を示したギャラリーも、この発言には露骨に拒否感を示す。
「優しくエレガント?他人に厳しくワガママなイメージしか無いが…」
「美化しすぎじゃね?」
「傲慢不遜ってヤツですので」
天塚は語気強めで言い返す。
「うるっさいわね!優しくてエレガントなのよ!」
フィールドを挟んだ喧騒も、駒場は意に介さない。
「圧勝出来る相手じゃないってことか、楽しめそうだぜ!」
(30ターン経過)
「駒場のヤツ、やっぱ勝負運び上手いっすね〜」
菜蔵が呟く。
段田もそれに答える。
「あぁ、下手に天塚のコマとバトルすると返り討ちに合う上に相手にパワーアップされてしまうからな」
「リトルウィザードのスキル攻撃で見習い天使達を破壊する事で戦況的に有利に立ち回っている」
「触らぬ神に祟りなしですので」
現在の戦況について天塚は不満気だ。
(本当だったら駒場くんのコマをバンバン返り討ちにしながらコマを強化し続けてカッコよく攻め込むつもりだったのに〜)
「何チマチマスキル使ってんのよー!男らしくバトルで立ち向かって来なさいよー!」
天塚から駒場への不満が漏れ出す。
天塚をなだめるため、渋々駒場も要求に応える。
「分かった分かった、俺ルールカード発動下剋条例」
「リトルナイトで見習い天使とバトル!見習い天使を破壊する!」
「リトルナイトの昇格条件達成!リトルナイトをビッグナイトに昇格させる!」
ビッグナイトがフィールドに現れた途端、天塚の目が輝いた。
「キタキタキターッ!待ってたわよビッグナイトちゃん!」
「今こそ見せてあげる!私の決まり手!EXデッキから雨のカミタマ_エル・アマガちゃんの登場よ!」
フィールドに現れたその姿は、月桂樹の葉を頭にちょこんと乗せ、赤い衣を纏い、右手には杖を持っている大きなカエルのキャラクターだった。
チャーミングなその姿について、天塚はギャラリーに共感を求める。
「見てよこのキュートなお顔、丸っこいつやつやボディ、最高にキュートだと思わない?」
しかし天塚の熱意は伝わらず、ギャラリーの反応は冷ややかだった。
「ぶっちゃけコマの見た目とかあんま気にしないし」
「見た目良くてもスペック弱かったら意味無いしな」
「スペック強けりゃ見た目ゴキブリでも喜んで使いますので」
「この薄情者ども~!」
天塚はギャラリーに吠える。
呆れて駒場は話題を切り替える。
「見た目の良し悪しは一旦置いておいてさ、その江留ちゃんのコマはどう使うんだ?」
天塚は駒場の方に向き直る。
「良くぞ聞いてくれたわね!雨のカミタマ_エル・アマガちゃんのスキル、それは登場時にフィールド上のコマ1体の移動力をゼロにすることよ!」
「「「「な、何ぃ〜!?」」」」
まさかの効果に全員が驚愕する。
天塚は発言を続ける。
「勿論選ぶのはビッグナイトちゃん!あなたには固まってて貰うわね!」
天塚がそう宣言すると、雨のカミタマ_エル・アマガの口からリング状の光線が放たれ、ビッグナイトは体色が灰色になり動きを止めてしまった。
その光景にギャラリーも感想を口にする。
「うわー、ビッグナイト潰しにそういう手があったかー!」
「いくらパワーがあっても、ああなったらオシマイだわな」
「ただのカカシですので」
駒場の決まり手であるビッグナイトを無力化した天塚に駒場も称賛を送る。
「くぅ~、考えたじゃねぇか江留ちゃん!」
「私だって、何も考えずに勝負を見てたわけじゃないんだからね!」
(45ターン目)
また菜蔵が呟く。
「この勝負は駒場の勝ちっすね」
段田も頷く。
「そのようだな」
雨のカミタマ_エル・アマガのスキルによって駒場の最高戦力であるビッグナイトこそ無力化出来たものの、相変わらずリトルウィザードからの遠距離攻撃は続いていた。
その結果、天塚の陣地には天使教官_キャサリンと雨のカミタマ_エル・アマガの2体だけ、駒場の陣地には十分な布陣が残されたままの状態だった。
駒場は天塚に称賛を送る。
「始めてにしては良く闘えたほうだと思うぜ?まぁ、こっから色々覚えて強くなっていけば---」
駒場の言葉を天塚が遮る。
「駒場くん、私がこのデッキに決めたもう一つの理由はね…」
「このデッキなら駒場くんに絶対勝てるからよ!俺ルールカード発動!天地鳴動!フィールド上全てのコマに3ダメージを与えるわ!!」
「「「「な、何ぃ〜っ!?」」」」
天塚の俺ルールカードのまさかの効果に一同に衝撃が走る。
「待て待て!全部のコマに3ダメージって駒場の陣地で3以上のパワーがあるのって、リトルキングと置物状態のビッグナイトしか居ないからほぼほぼ全滅じゃねぇか!!」
「しかも天塚ちゃんの陣地に残る2体はどっちもパワー4以上だから天地鳴動の効果後でも生き残れる、完全な逆転だ…」
「ボクにも大ダメージですので」
ギャラリーが一通りの状況を述べた辺りでフィールドに雷鳴が轟いたかと思うと、一瞬のうちにパワー3以下のコマはフィールドから姿を消していた。
余裕の表情で天塚は駒場に問いかける。
「どう?残り4ターンで逆転できそう?」
少しの沈黙の後、駒場は顔を引きつらせながら渋々両手を上げる。
「いや、降参します」
コマも無し、ターンも無しでは流石に駒場でも手のうちようが無かった。
その言葉に天塚は狂喜乱舞する。
「いぇーい、勝った勝った〜、ヤッフー!」
こうして天塚の初コマバト勝負は駒場を倒すまさかの大勝利で幕を閉じた。
「エグい強さしてましたね天塚のデッキ…」
「お飾りじゃなくてガッツリ戦闘要員だな」
「全体3ダメとか嫌すぎるので…」
駒場からの勝利を噛みしめる天塚の肩を、当の駒場が叩きながら話し掛けてくる。
「マジで強いな、江留ちゃんのデッキ!」(バンバンバンバン)
「こっから先、優勝目指して頑張ろうぜ!!」(バンバンバンバン)
「痛っ、ちょっと、嬉しかったのは分かったからっ、叩くの止めてっ」
天塚は痛さ半分、コマバト勝負においては憧れだった駒場から実力を認められ嬉しさ半分といった様子で駒場を取り押さえる。
5人は教室で円陣を組む。
駒場が話し出す。
「頼もしい江留ちゃんも含めて、これで5人が揃った!行けるぜ大会!目指すぜ全国優勝!」
「「「「オォーッ!!」」」」
ここから六角中学校代表として、『全国コマバト選手権』の優勝を目指す激闘の日々が幕を開けるのであった。
青島が口を開く。
「全国優勝目指す、は県大会に勝ってから宣言すべきですので」
空気を読まない一言に4人は脱力する。
「いや実際はそうだけども気持ちよ気持ち!」
「肝心なところで水差すなよな〜」
「まぁまぁ2人とも落ち着いて…」
「何でもいいや、行くぜ!大会!」
(第3-2話 終)
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