第2-7話 止めろ!駒場の異世界転生
(3階)
駒場が窓から身を乗り出し、今にも飛び出そうとしていた。
それを止めようと駒場の腕を掴んでいるのは段田。
先ほどまで自分がそちら側の人間だったとは思えない必死ぶりである。
「ふっざけんなお前!何考えてやがるんだ!?」
「何って、窓から飛べばその異世界ってところにワンチャン行ける、ってことっすよね?人数が多いことに越したことは無いんで、ちょっくら向こうで部員集めしてきます。」
「ハァッ!?」
余りに常軌を逸した回答に、段田も聞いておきながらキレそうになっている。
(本当にコイツは異世界人ではなかろうか?)
と段田も困惑気味だ。
「駒場ァー!、何やってんだお前はー!!」
「菜蔵くん!?」
状況を遠目で見守る天塚の耳に、菜蔵の声が響く。
外を見ると校庭に菜蔵と知らない女子生徒の姿が見える。
しかもその先には体育の授業で使用するマットが!恐らくは授業後に係の生徒がしまい忘れたのだろうか?
天塚はあらん限りの声量で、菜蔵に指示を出す。
「菜蔵くーん!あそこの体育マットでー!駒場くんをー!受け止めてー!!」
菜蔵と青山はすぐに体育マットに駆け寄る。
しかし体育マットを運ぶ二人の足取りは遅いものだった。
そこに騒ぎを聞きつけた担任教師が入って来た。
「お前らぁー!これは一体、何のだぁー!!?」
担任教師の一括で一斉に硬直するその場の生徒全員。
しかし段田も駒場を抑える手を離してしまったため、反動で駒場は窓から転落してしまう。
「あっ」「あっ」「あっ」
「うわぁぁぁ〜」
さっきの威勢とは裏腹に情けないビブラートを響かせながら、天塚の視界から駒場は消えた。
「駒場くーん!!」
駒場が窓から転落した瞬間、菜蔵の火事場の馬鹿力が発動した。
「手ぇ離せ煽り魔!!」
「ぴゃ、はい!」
菜蔵の怒号に、青島はたまらず体育マットから手を離す。
「どりゃあああ!!!」
菜蔵は身体全体を捻り上げ、ジャイアントスイングの要領で体育マットを力任せにぶん投げた!
体育マットはコマのように回転しながら駒場の落下地点に近づいていく!
そして間一髪体育マットの角ギリギリの位置に駒場が落下してきたのであった。
「イッテテテ、やっぱり飛んでも異世界行きはノーチャンだったか…」
(良かった…)
体育マットの上で蠢く駒場の姿を見て、天塚は胸を撫で下ろした。
後ろで担任教師の怒号が聞こえている。
「貴様らぁ!この受験開始前という大事な時期に何だこの騒ぎは!此処に並べぇ!!」
天塚は、
(今日は家でアニメ見るのは間に合わなさそう、でも駒場くんが助かって良かった…)
といういっそ晴れ晴れとした表情で、上級生達の懺悔の列に加わるのであった。
(第2-7話 終)
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