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第2-6話 青島承認フィーバー!

(50ターン目)

菜蔵と青島のコマバト勝負も、ついに決着の時が近づいていた。

「先輩ちゃん静かになっちゃいまちたね〜♡本当にバブちゃんだからおねむになっちゃいまちたかね〜♡」

青島は相変わらず煽っているが菜蔵は何も話さない。

いや、話せる気分に無いといったほうが正しいだろうか。

下級生達が話し出す。

「ひどい惨状を見た」

「結局あの先輩が出した俺ルールもEXモンスターも青島が余裕綽々と対処して、先輩の陣地にはパワー1に変更された野菜モンスターしかいない」

「折角色とりどり綺麗だったのに、今じゃモヤシみたいに真っ白け」

「それで言うと山森先輩はもやし農家だな」

「オイ、あとで怒られるぞ!」

自身のパワー戦法を根本から否定され散々な状態の菜蔵だが、まだギブアップしない気力は残されていた。

(や、やっと終われる。)

50ターン経過時点でお互いの破壊されたコマはゼロでポイントもゼロの引き分けとなる…はずだった。

「この試合はバブちゃんな先輩の負・け♡、ということで♡」

「ハァッ!?」

青島のまさかの勝利宣言にさすがの菜蔵も顔色がちょっと良くなる。

「俺ルールカード発動!OTK!(One_Turn_Kill!)、発動条件は50ターンが経過した後!効果はフィールド上の全てのパワー1のコマ全てを破壊するので!!」

「な、何ぃ〜!!?」

露骨な引き分け狙いの遅延戦術だと断定していた青島の戦術が、まさかの大勝ち狙いだった事実に菜蔵も驚きを隠せない。

下級生達から一斉にため息が漏れる。

「出た出た青島の俺ルール」

「自分は相手との駆け引きを拒否しまくった上で勝ちは頂くとかヒドすぎだよな」

こうして1階の勝負は菜蔵の完全敗北で幕を閉じた。


勝負の熱が引き、青島は冷静になって周りを見渡す。

すると目の前では完全に生気を失って突っ伏す先輩の姿が。

青島の脳裏にトラウマがフラッシュバックする。


(以下、回想)

クラスの男子生徒と青島はコマバト勝負を行っている。

相手の強みを瞬時に察知し、初動で叩き潰す青島のデッキに敵うものは誰も居なかった。

「ねぇねぇ、もう一回やろ?」

勝利に気を良くした青島は再戦を申し出る。

しかし…、

「もうお前とはコマバト勝負なんてやらねぇよ!」

「えっ?」

強い口調で再戦を断られ、青島も表情が強張る。

男子生徒は答える。

「テメェと闘ってもコッチは何一つ面白くないんだよ!」

周りのギャラリーも口々に騒ぐ。

「そうだそうだ!いっつもヘラヘラしてプレイの邪魔ばっかりしやがって!」

「女だから殴られねぇと思ってチョーシ乗ってンだろ?」

「クズ!!」

「あ、ちょっと皆、待ってよ、僕そんなつもりじゃ…」

こうして青島は男子生徒から嫌われる運びとなったのであった。

(回想終わり)


(また相手を傷付けてしまった、しかも公衆の面前で仮にも先輩を辱めるだなんて…)

自分の行った罪の重さから、居ても立ってもいられない青島は頭を下げた。

「ほ、本当にゴメンなさい!相手を不快にさせないプレイを心掛けようって誓ったはずなのに、また僕…」

謝罪を続けようとする青島を、菜蔵は手を突きだして制止する。

「た、確かにお前の実力はスゴかった。冷静になったらぶん殴りたくなるくらいに…」

菜蔵から漂う余りの殺気に、青島も震えが止まらない。

「あぱぱぱ…、だから本当に申し訳なかったので…」

「だからこそ頼む、俺達の部員になってくれ!」

「「「えぇー!?」」」

菜蔵の取った行動は謝罪の要求でも報復でもなく、まさかの勧誘のための土下座であった。


駒場と天塚、菜蔵が部員探しのため二手に分かれる直前、駒場は菜蔵にスカウトする部員の条件について指示を出していた。

「条件はただ一つ、闘ってて一番ムカつく戦法を取って来たヤツだ。」

「何でそんなややこしい条件を…。普通に闘って、俺に勝ったヤツで良いんじゃねぇか?」

「菜蔵は俺と闘ったとき、動かなかった俺の態度にムカついてただろ?」

「ムカついたってことは自分に予測出来ない、対処出来ない戦法、つまりはニガテだったってことだ。」

「な、なるほど…?」

「大会じゃ相手がどんな戦法を使ってくるか分からない、ニガテだらけだ。だから今のうちにニガテな戦法のヤツらと仲良くなって、ニガテを克服しなきゃいけないんだ。」

「な、なるほどぉ〜」

「ニガテがデキルになった瞬間はタマンねぇぞ〜?」

「オォーッ!」

また菜蔵は駒場の言葉に載せられていた。

そんなこんなで青島に白羽の矢が立ったのであった。


(求められている、ボク必要とされている…?)

今まで人が遠ざかっていくばかりの人生に差し込んだ一筋の光。

状況を理解した青島の脳内に到来したのは、例えようのない自己肯定感の濁流だった。

(嫌われてばかりだった僕の闘い方を、必要としてくれている人がいる!こんな感情生まれて始めて…)

「ふ、ふつつかものですが、よろしくおねがいしますので…」

「お、おう…。これからよろしくな。」

やたら顔を赤らめる青島の姿を不思議がりながらも、菜蔵は部員の勧誘に成功したことにほっと胸を撫で下ろす。

その直後であった。

「キャーッ!誰か駒場くん止めてー!!」

「一体今度は何だよ!アイツ何やらかしたンだよ!」

声の正体を確かめるため、菜蔵とついでに青島は一旦正門を目指し走り出す。


(第2-6話 終)

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